HOME > 停車場風景

孫田稔「赤外線写真展」から 植物と赤外線

  • 孫田稔「赤外線写真展」から 植物と赤外線

 孫田さんは、「赤外線写真展ガイドブック」を準備してくれている。通常のカラー写真と赤外線写真を比較しながら、赤外線の特性を説明し、赤外線写真の楽しみ方を丁寧に説明してくれているのである。その中で、植物と赤外線について説明されている箇所(上の写真)があるので紹介したい。

 

 「植物の葉や花は、光合成に不要な赤外線を強力に反射するので白く輝きます。部分的に枯れた葉などがあれば、その部分は赤外線を反射しなくなるため黒っぽく写ります。コンクリートなどの人工物は赤外線による変化が起きにくいため、そのままの質感で写りますが、ひび割れた部分や水が染み込んだ部分は光が吸収されて黒く写ることがあります。」

 

 

 中学時代の理科の授業で、「夕日が赤いのは、波長が長くて直進性のある赤い光が届くからだ」、「光合成は葉緑素(クロロフィル)で行われる」、「葉緑素によって葉は緑色に見える」などと習ったものだ。確かに植物は酸素と炭水化物という生命基盤の生産者であった。赤外線写真を見て、改めてこのことに気づかされた。しかし可視光線の中で生きて来た私には、生きるエネルギーと共に癒しと安らぎを与えるその姿は、やはり「様々な緑色」で眺めていたいと思う。

 次回は植物と紫外線について紹介したい。

2026.08.19:orada4:コメント(0):[停車場風景]

孫田稔「赤外線写真展」から  「踏切」から見えるもの

  • 孫田稔「赤外線写真展」から  「踏切」から見えるもの

 今回出品されている作品の中で、特に印象深い作品の一つが上の写真である。踏切の警報器は黄色と黒の「警戒色」、そして警報音と共に点滅する赤いランプで構成されるものである。すなわち色彩自体が社会的な意味を持っているのである。社会的規範としてインプットされて来たその情報が消し去られた時、人の脳はどのように思考するのであろうか。

 

 作品を見ながら意識の動く方向を探っていると、「警報器」に新たな意味づけを行おうとしている自分が見えて来た。踏切は単なる警報器を超えた存在として、自分の目の前に立ちはだかるのである。そんな不思議な印象を持つようになったのは、オーロラのように妖しい光を放っている雲の筋の存在が大きいであろう。これは単なるモノクロ写真では表現できない、赤外線写真ならではのものである。

 

 いすみ鉄道の「ここには何もないがある」のポスターにも「踏切」が使われている。小椋佳の「白い一日」という曲にも、「踏切」が出てくる。踏切は多様な感情を沸かせるものである。警報器の色を削ぎ落し、「踏切」の前に立ってみるのも面白いのかもしれない。

  → 停車場憧憬  踏切にて:山形鉄道 おらだの会

2026.08.17:orada4:コメント(0):[停車場風景]

孫田稔「赤外線写真展」から  懐かしい風景のような

  • 孫田稔「赤外線写真展」から  懐かしい風景のような

 孫田さんは赤外線写真の解説書を準備してくれています。ポスターに使われている写真を見ながら、赤外線写真の特徴や楽しみ方を紹介したいと思います。

 

 植物は光合成に不要な赤外線を吸収せずに反射させます。そのため線路沿いの草花は雪が積もったように真っ白になります。樹木は種類によって赤外線を反射する強さが異なり、広葉樹は赤外線を強く反射して白くなりますが、写真の正面奥にある針葉樹は反射が弱くグレーっぽく写ります。また緑色の葉に隠れて見えなかった樹木の枝が、墨のような質感で浮き上がってきます。

 

 赤外線は直進性があって、大気中の微粒子があっても散乱しにくいという性質があります。このため遠くにある山や雲が肉眼では霞んで見えない場合でも、赤外線で見るとはっきりと見ることができます。遠くのものが目の前にあるかのようにくっきりと見えるため、絵画のような超現実的な世界が生まれるのだそうです。

 

 この撮影地は梨郷第7踏切付近から最上川橋梁に向かう場所です。懐かしい風景のような、あるいは重苦しい夢のようなこの作品を観て、あなたはどのような心象風景を思い描くのでしょうか。それも写真の楽しみ方の一つなのかもしれませんね。

  想い出のあの日に駆けるや機関車の ガタガタゴーと鉄橋を渡る

2026.08.11:orada4:コメント(0):[停車場風景]

孫田稔「赤外線写真展」から  赤湯駅

  • 孫田稔「赤外線写真展」から    赤湯駅

 これまで荒砥駅と梨郷駅を見てきたが、赤外線写真で映し出された駅舎は存在感が増して、いづれも威風堂々と見えたのであるが、赤湯駅もそうである。

 赤湯駅は、昭和63年(1988年)10月25日に長井線開業に合わせて建設された。長井線リポートでは「湖畔の別荘」と書いたが、当時の新聞では「河畔の駅」と評されたという。

 写真では周辺の樹木などの色彩が排除されて、駅舎の姿が浮かび上がっている。それは、当時の住民の期待の大きさを映しているようにも思える。「駅」というものの存在に思いを致しても良いのではないだろうか。

 

 → 長井線リポート(33) 湖畔の別荘・赤湯駅:おらだの会

2026.08.09:orada4:コメント(0):[停車場風景]

孫田稔「赤外線写真展」から 荒砥駅

  • 孫田稔「赤外線写真展」から 荒砥駅

 梨郷駅に続いて、荒砥駅を見てみる。荒砥駅は2003年(平成15年)には「東北の駅百選」に選定されている駅である。外観はその色彩を含めて、高級感のある落ち着いたモダンな駅である。エントランスを入ると開放的な高い天井と洒落たステンドグラスがある。シンプルだけどオシャレで洗練された空間が広がっている。

 作品を見ていると様々な雑念が浮かんでくる。雲はそんなに強いオーラを出していたのか、まるで古い城から霊気が立ち上っているようではないか。その時の空の色はどうだったのか、などと写真に問うている。

 しばらくして建物の色はどんな色だったのかと、必死になって思い出そうとしていた。ステンドグラスから差し込んで来た光とイルミネーションの灯りが思い出された。「思い出はモノクローム」というコマーシャルソングがあったが、色彩は記憶にとって重要な要素なのだと思う。

  → 荒砥駅にイルミネーション:おらだの会

  → 長井線リポート(9)  丸型ポスト復活物語:おらだの会

 

 モノクロ写真についての感想はこちらからどうぞ

  → フォトキャン入賞作品 その2:おらだの会

2026.08.07:orada4:コメント(0):[停車場風景]