HOME > 停車場風景

鉄道写真展「山形四季」から  ⑦かたはれ時に向かって

  • 鉄道写真展「山形四季」から  ⑦かたはれ時に向かって

 最後はSilver Wingさんの「かたはれ時に向かって」。Silver Wingさんの作品は、すべてつばさ号を題材としているが、夕暮れの中を走る姿を映したこの作品は特に印象深いものである。

 

 作品以上に印象深いのが題名である。杪冬(びょうとう:冬の終わり)、寳果(ほうか:宝物のような果実)という難しい漢字を使用したものがある。またアニメ「君の名は」で使われたという「かたはれ時」、そして楽曲名からとられた「君がいた夏」、「Heavenly Flight」もある。

 

  作品に添えられた題名は、鑑賞者にとってはその作品をより深く理解することを助けてくれるものであり、作品の一部とも考えられる。Silver Wingさんの作品は、若い人は写真と音楽、物語が融合して創作していることを示すものかもしれない。まさに「若い感性」なのかもしれない。若い作家さんがそれぞれの目指すものを求めて、銀の翼を広げて羽ばたかれることを願っている。

2026.09.20:orada4:コメント(0):[停車場風景]

鉄道写真展「山形四季」から  ⑥板谷峠の彩り

  • 鉄道写真展「山形四季」から  ⑥板谷峠の彩り

 たこ焼き/新幹線さんは、四季それぞれの山形新幹線を題材にした作品を出品されているが、その中で「板谷峠の彩り」を紹介したい。

 

 つばさ号は板谷峠を越えると、谷底を目指して全身を揺らしながら疾駆する。まるで故郷への早い到着を願う我が心を知るように感じたものである。その車両を外から見ると、作品のような絵になるのだろう。強調された山々の紅葉が、アニメーションの世界に引き込むようである。その中を疾走するつばさ号は、龍神の姿を想起させるものである。

 

 たこ焼き/新幹線さんの冬の作品には「雪解けが始まった置賜盆地」がある。吾妻連峰を背景にゆったりと走るつばさ号がある。四季それぞれに、それぞれの場所で、それぞれの表情を見せる新幹線の姿を、どうぞご覧になってください。

2026.09.18:orada4:コメント(0):[停車場風景]

鉄道写真展「山形四季」から  ⑤峠下り、初夏の山形へ

  • 鉄道写真展「山形四季」から  ⑤峠下り、初夏の山形へ

 国鉄DE10型ディーゼル機関車が好きだというただのDE10好きさんの作品は「峠下り、初夏の山形へ」。高くそびえる県境の山並みを越えて、列車が山形(あるいは故郷)に入って来る。この風景は、もちろん目に見えている光景なのであるが、作者の心に浮かぶ情景でもあるのだろうか。

 

 汽車通学を経験した方が、「あの西山の風景が、一番記憶に残る故郷の風景だった」と語ってくれました。ふるさとの原風景として、山の存在は大きなものがあるように思う。かつて『7人展Ⅶ~私の長井線』に出品された歌丸の人さんの「紅(くれない)の山」を見て、「東西南北それぞれの山容の作品を見てみたいものだと思う。」と書いていたことが思い出された。

 → 長井線リポート(13) 故郷の山に:おらだの会

 → 『7人展Ⅶ』②  紅(くれない)の山:おらだの会

2026.09.16:orada4:コメント(0):[停車場風景]

鉄道写真展「山形四季」から  ④厳冬を支える

  • 鉄道写真展「山形四季」から  ④厳冬を支える

 続いて、たなあきさんの作品「厳冬を支える」である。「厳冬を支える」というタイトルは、厳冬の中でもみんなの足として暮らしを支えているという意味であろうか。

 

 車体に雪をまとった列車がホームに並んでいる。運転手の姿が見えないことで、列車同士が会話しているように思えてくる。「今日は吹雪くね!」「あそこの吹き溜まりには気をつけろよ」などと、お互いに声を掛け合って、励まし合っているようにも見えるのである。そしてこの舞台にとって、雪は不可欠な小道具であることに気づかされる。

 

 鉄道写真には車両、駅、人、自然など、たくさんの題材があるけれども、テレビで人気の「機関車トーマス」のように、列車同士の物語があっても楽しいように思う。さて、子供たちは、この作品にどんな物語をイメージするのだろうか。

2026.09.14:orada4:コメント(0):[停車場風景]

鉄道写真展「山形四季」から  ③吹雪く

  • 鉄道写真展「山形四季」から  ③吹雪く

 ぬった~り~!!さんの「吹雪く」。運転手は慎重に運転レバーを握っているのだろうか。乗客はうたた寝をしているのだろうか。この吹雪の中でも、列車のヘッドライトと室内灯の灯りが、運転手と乗客の間に流れる温かな空気と信頼感とを感じさせる。

 

 吹雪の夜、終列車で帰った時のことを思い出した。私は先頭車両の最前面に立って、目の前の景色を眺めていた。レールは全く見えない。線路脇の壁を乗り越えて雪が視界に飛び掛かってくる。列車はラッセル車のように線路上の雪を蹴散らしながら進んで行く。右に左に揺れる様は、さながらゴーカートのように、脱線したのではないかと思うほどだった。その時の若い運転手の、いつもと変わらない落ち着いた横顔が印象的であった。

 

 作品を見て「いいなぁ」と思うのは、似た光景の記憶があるということが、大きな要素になりそうである。若い人たちの作品に「いいなぁ」と感じられる内面を、私は持っているのだろうか、誠に不安である。せめて作者の皆さんに、一瞬を捉えた時の閃き、そして作品となって見た時の感慨を聞いておきたいと思う。

2026.09.12:orada4:コメント(0):[停車場風景]