ヒカリノミチ通信|増子義久

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  • 「まるで、他人の土地に勝手に家を建てるような」…図書館の駅前立地に向けた“見切り発車”~市民への“背信”行為が次々と、駅前図書館のナゾがさらに!!??

       「仮にJRとの土地譲渡交渉がまだ完了していないとすれば、当該土地は現時点で市の所有にはなっていないということになります。こういう状況下で、基本・実施設計業務の委託業者を公募することの適法性について伺います」―。花巻市議会9月定例会の一般質問2日目の9日、羽山るみ子議員(はなまき市民クラブ)は肝心の新図書館の建設予定地(旧スポーツ用品店敷地)がまだ、市有地化されていない段階での「公募プロポーザル」実施の是非についての見解をただした。    これに対し、上田東一市長は「当該地はまだ未取得の状態だが、合併特例債の期限が切れる令和12年度内の開館を目指している以上、ある程度前倒しで計画を進めざるを得ない。対象区域の境界が正式に確定した段階で、改めてJR側に土地評価をしていただき、最終的な買取り価格を決定したい。土地取得費は令和9年度の当初予算への計上を予定している。所有権がない状態でのこの種の手続きは違法ではない」と突っぱねた。私はこのやり取りを聞きながら、建設場所をめぐる“市有地”論争の経緯を思い起こしていた。羽山議員が「現在の土地の譲渡価格は市側の評価を基準にしたものではないのか」と質問したことに実は、私自身も虚を突かれたからだった。「市有地にこだわる割にはその手続きが余りにもずさんではないか」と。    建設候補地のひとつである「旧花巻病院跡地」は令和6年3月、約3億2千万で市側が取得し、正式に市有地化された。「市の中心部に広大な市有地がある以上、ここに図書館を立地すべきだ。駅前のJR所有地を新たに取得するのは税金の無駄使いではないか」―。病院跡地への立地を求める署名は1万筆を超え、市民を二分する運動に発展した。しかし、市側はこの草の根の声には耳を傾けようとはせずに「駅前立地」を強行した。「新花巻図書館建設候補地比較調査業務委託報告書」によると「用地費」(土地取得費)として、130,000千円が見積もられている。そして、この日の質疑の中で、この額もまだ確定したものではないことが明らかになった。市民を翻弄(ほんろう)し続けた“市有地”論争とは一体、何だったのか。見切り発車してまで、駅前立地にこだわり続けたナゾは逆にいや増したようである。    この日の質疑で、鹿討康弘議員(緑の風)は9月3日付当ブログで取り上げた「公募プロ―ポーザル」の動向について、問いただした。「約40社の業者から質問が相次ぎ、その中には新図書館とJR花巻駅橋上化(東西自由通路)との接続の可能性を問う意見も少なからず、あった」として、設計段階での計画変更の可否を問うた。これに対し、上田市長は「この二つのプロジェクトは以前から、別のものとして進めてきた。商業施設のような建物との接続ならあり得るかもしれないが、そんな考えは全くない」と従来の“別物”論を繰り返した。    「たぶん、間に合わないとは思ったけれど、プロポーザルでの質問にあったので一応、聞いてみました。病院跡地への立地を希望するグループから、アンケートを求められので『駅前』と回答したら、一方的に公開されてしまって…」―。再質問に立った鹿討議員はまるで、おべっかまがいの腰砕けのまま、後味の悪さだけを残して降壇した。「それにしても…」と考えてしまう。「図書館と駅橋上化が別々のプロジェクトなら尚更のこと、とっくに市有地になった病院跡地に図書館を建てればいいだけ。それがそうはいかない事情があるということなのだろう」ー。しかし、鹿討流の”へっぴり腰”にそこまでの追及を期待するのは土台、無理ということなのかもしれない。       (写真は数珠つなぎの貨物列車がひっきりなしに通過するJR花巻駅。右側の建物が図書館建設予定地の旧スポーツ用品店=9月4日午前、花巻市大通りで)         《追記》~議会質疑に対するAIの認識は!?      上記の新花巻図書館の建設用地をめぐる質疑内容について、AIの認識を聞いてみた。質疑の中で、上田市長は「土地譲渡交渉の今後の進め方については、JR側も了承している」と答弁。羽山議員が「それを担保する仮契約書のようなものはあるのか」とただしたのに対し、菅野圭・生涯学習部長は「その種のものは存在しない。譲渡交渉が例えば、価格面で折り合いがつかずに議会側の予算議決が得られない場合は当然、土地の取得はできなくなる」と述べた。まるで、”口約束”みたいな交渉の裏舞台に唖然とさせられる。用地費を含めた候補地の「比較調査」が駅前立地の決め手になった経緯を思えば、市民に対するこれほどまでの”背信”行為はあるまい。討議資料として、以下に転載する。   ※    ご提示の案件について、司法判断に近い形で法的整理を試みます。以下はあくまで法的観点からの分析であり、実際の裁判所の判断を保証するものではありません。 ●事案の整理   ・花巻市は「新花巻図書館」を建設する方針。 ・建設予定地は、現在はJR東日本が所有する「旧タケダスポーツ店敷地」。 ・しかし現時点で市有地化(取得・売買契約の成立)は未了。 ・にもかかわらず、市が公金を用いて「基本・実施設計業務」の委託事業者を公募しようとしている。    争点は、まだ市有地でない土地を前提に設計業務を進めることが違法(公金の違法支出)にあたるか否か、である。 ●関係法規の検討 (1) 地方自治法(公金支出の適法性)   ・地方自治法232条の2~地方公共団体の歳出は、住民福祉の増進を目的とし、法令に基づくものでなければならない。 ・地方自治法242条の2~違法な公金の支出については住民監査請求・住民訴訟の対象となる。 (2) 契約・行政手続の観点   ・設計委託契約は「予定地の確定」を前提にするのが通常。 ・予定地が未確定の段階で契約を結ぶと、契約の目的(成果物)が不明確となり、債務不履行や契約不成立の危険がある。 ・特に「敷地条件に応じた設計」という性質から、土地が変われば設計成果は無意味になり、公金の浪費につながる。 (3) 判例・通説   ・住民訴訟の領域では「事業実施のための合理的基盤を欠く支出」は、裁量の逸脱・濫用として違法とされる場合がある。 ・例~最高裁平成17年9月9日判決(北海道長沼町住民訴訟)などでは、事業実施の可能性が極めて不透明な段階での公金支出は違法と判断された事例がある。 ●適法性判断のポイント   1. 市とJR東日本との間で土地取得に関する契約(売買契約や譲渡合意書)が存在しない場合。 → 将来にわたって事業実施の確実性が担保されていない。 2. 設計業務委託契約が「当該敷地に限定」されている場合。 → 土地取得に失敗すれば、設計成果は無価値=公金の無駄遣い。  この場合、「合理的基盤を欠く事業」とされ、住民訴訟において違法支出認定される可能性がある。   1. 市とJRの間に「基本合意書」「覚書」等があり、土地譲渡が実質的に確定している。 2. 設計契約が「土地取得を条件として効力が発生する」旨の条件付契約になっている。 → この場合、実際の支出は土地確保が済んでからになる。 ●司法的判断のまとめ   ・現時点で土地取得の法的確定(契約締結)がないにもかかわらず、委託契約を公金で発注することは、裁量の逸脱・濫用として違法支出に該当する可能性が高い。 ・特に、設計業務が「その敷地に固有の内容」であるため、土地未確定の段階での支出は合理性を欠く。 ・よって住民監査請求・住民訴訟の対象となりうる。 ●司法的結論(要旨)    「旧タケダスポーツ店敷地が市有地化されていない現段階で、新図書館の設計業務委託を公金で発注することは、事業実施の合理的基盤を欠き、地方自治法242条の2にいう違法な公金支出に該当する可能性が高い。ただし、市とJRの間に法的拘束力を持つ取得合意が存在し、契約効力発生を土地取得に条件づける場合には、適法と評価される余地がある。」       ★オンライン署名のお願い★      「宮沢賢治の里にふさわしい新花巻図書館を次世代に」―。「病院跡地」への立地を求める市民運動グループは七夕の7月7日から、全世界に向けたオンライン署名をスタートさせた。イーハトーブ図書館をつくる会の瀧成子代表は「私たちは諦めない。孫やひ孫の代まで誇れる図書館を実現したい。駅前の狭いスペースに図書館を押し込んではならない。賢治の銀河宇宙の果てまで夢を広げたい」とこう呼びかけている。    「わたくしといふ現象は/仮定された有機交流電燈の/ひとつの青い照明です/(あらゆる透明な幽霊の複合体)」(『春と修羅』序)―。賢治はこんな謎めいた言葉を残しています。生きとし生ける者の平等の危機や足元に忍び寄る地球温暖化、少子高齢化など地球全体の困難に立ち向かうためのヒントがこの言葉には秘められていると思います。賢治はこんなメッセージも伝え残しています。「正しく強く生きるとは銀河系を自らの中に意識してこれに応じて行くことである。われらは世界のまことの幸福を索(たず)ねよう、求道すでに道である」(『農民芸術概論綱要』)ー。考え続け、問い続けることの大切さを訴えた言葉です。    私たちはそんな賢治を“実験”したいと考えています。みなさん、振って署名にご協力ください。海外に住む賢治ファンの方々への拡散もどうぞ、よろしくお願い申し上げます。     ●オンライン署名の入り口は以下から   https://chng.it/khxdhyqLNS     ●新花巻図書館についての詳しい経過や情報は下記へ ・署名実行委員会ホームページ「学びの杜」  https://www4.hp-ez.com/hp/ma7biba   ・ヒカリノミチ通信(増子義久)   https://samidare.jp/masuko/   ・おいものブログ~カテゴリー「夢の新花巻図書館を目指して」    https://oimonosenaka.seesaa.net/                                              
    2025.09.09
  • 図書館“所管“論争の雲泥の差…上手の手から、”本音”がポロリ~議会運営の先行きに不安!!??

       「首長部局と十分に協議し、調整を進めてきた」―。8日開会した花巻市議会9月定例会の一般質問で、伊藤盛幸議員(緑の風)が新花巻図書館の「駅前立地」に関連し、「これまでの経緯を検証すると一貫して、首長主導で進められてきたとしか考えられない。本来、図書館行政は教育委員会の所管に属するはずだが、その職務権限をどう考えているか」とただした。この案件で真っ先に手を挙げるのはいつも、上田東一市長と相場が決まっていたが、質問内容から市教育委員会の佐藤勝教育長が答弁に立った。これまでに見られなかった光景だけに思わず、身を乗り出して議会中継に見入った。    「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」(地方教育行政法)や「地方自治法」などを振りかざしながら、佐藤教育長は首長部局への“丸投げ”疑惑を必死の形相で否定した。ここでちょっと、おさらいをしておきたい。「花巻市教育委員会の権限に属する事務の補助執行に関する規則」(平成19年3月)にこんな定めがある。いわゆる「補助執行」規定で、執行事務は「花巻市立図書館に関すること。花巻市立図書館協議会に関すること」で、担当職員は「生涯学習部長、新花巻図書館計画室の職員及び図書館の職員」に限定されている。    伊藤議員はこの点について、「令和元年の地方教育行政法の改正によって、関連条例の制定を前提に図書館や博物館、公民館その他の社会教育に関する教育機関も市長の管轄下に置くことができるとされた(「花巻市教育に関する事務の職務権限の特例を定める条例」=平成20年12月)。しかし、当市ではこの条例化に踏み切らないまま、現在に至っている。首長部局の独走と見られても致し方ないのではないか」と問いただした。答弁を促された上田市長がやや、戸惑いながら挙手をした。「確かにその点について、教育委員会側とは協議しなかった」と暗に首長主導を認めた一方で、「法律上の瑕疵(かし)はなかった」と問答無用とばかりに切って捨てた。    「さかのぼれば、令和2年の住宅付き図書館の駅前立地(新花巻図書館複合施設整備事業構想)がつまずきの原因ではなかったか。定住人口の増加や賑わい創出などまちづくりの観点から、この構想は当時としては納得できる部分もあった。だからこそ、この構想が白紙撤回された段階で、教育委員会との連携を密にした図書館立地へと舵を切るべきではなかったか」―。伊藤議員がさらに追い打ちをかけると、上田市長は突然色をなし、激しい口調で反撃を始めた。    「何を言ってるんですか。私たちは一度だって、(JR花巻駅との)複合化を考えたことはありませんよ。ここで断言しておきます」―。中継を聞いていた私はまた、“本音”が漏れたなと妙に納得した。伊藤議員の質問の趣旨は住宅付き図書館に付随する子育て施設やテナントなどとの“複合化”だったが、上田市長は何を勘違いしたのか、図書館と駅橋上化(東西自由通路)との複合化(いわゆる「ワンセット」疑惑)についての質問だと早とちりしたみたいだった。裏返せばよっぽど、この疑惑に触れられることは避けたかったということなのだろう。この二つの巨大プロジェクトの“別物”論を強調しなければならない闇の構図がほの見えてくるではないか。ある意味、正直な人なのかもしれない。    それにしても、国からの補助金の減額によって、静岡県立図書館が計画変更(3日付当ブログ「追記」参照)を迫られた責任追及の矢面に立たされているのは当市とは真逆の教育部局の担当者たちである。図書館“所管”論争の雲泥の差をここに見る思いである。なお、補助執行の件については今議会に陳情が提出されており、9月18日に付託先の文教福祉常任委員会で審議される。陳情内容については下記から。   第3号陳情 生涯学習・社会教育行政の所管体制の是正と補助執行制度の適正化を求めることについて (PDF 66.7KB)         (写真は法律論をタテに教育部局と首長部局の正当性を主張する佐藤教育長=9月8日午後、市議会議場で=インターネットの中継画面から)       《追記》~メディアコスモスとは真逆の対応~条例化を見送ったことに見る上田市政の“強権”支配!!??    令和元(2019)年6月付で「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」(地方教育行政法)が改正され、条例化を前提にしたうえで図書館を含めた社会教育機関も首長部局の管理下に置くことができる職務権限の特例措置が設けられた。ところが、8日の一般質問の中で、この「条例化」については教育委員会とも協議はせずに見送られたという驚くべき事実が明らかになった。絵に描いたような「コンプライアンス」(法令遵守)違反である。    一方、当市の新図書館選定委員の副委員長に選任された吉成信夫さんは公募により、2015年から岐阜市立図書館の館長をへて「みんなの森 ぎふメディアコスモス」元総合プロデューサーを歴任した。その岐阜市では「地方教育行政法」の改正後、正式な条例化を踏まえたうえで、それまで教育委員会の所管だった図書館を新たに設置された「市民協働推進部」に移管した。吉成さんは「縦割り行政を脱し、単なる複合施設から融合施設へと進化させることができた」と語っている。なぜ、当市ではできなかったのか。上田市長という”ワンマン”がそのトップに鎮座しているからに他ならない。           ★オンライン署名のお願い★      「宮沢賢治の里にふさわしい新花巻図書館を次世代に」―。「病院跡地」への立地を求める市民運動グループは七夕の7月7日から、全世界に向けたオンライン署名をスタートさせた。イーハトーブ図書館をつくる会の瀧成子代表は「私たちは諦めない。孫やひ孫の代まで誇れる図書館を実現したい。駅前の狭いスペースに図書館を押し込んではならない。賢治の銀河宇宙の果てまで夢を広げたい」とこう呼びかけている。    「わたくしといふ現象は/仮定された有機交流電燈の/ひとつの青い照明です/(あらゆる透明な幽霊の複合体)」(『春と修羅』序)―。賢治はこんな謎めいた言葉を残しています。生きとし生ける者の平等の危機や足元に忍び寄る地球温暖化、少子高齢化など地球全体の困難に立ち向かうためのヒントがこの言葉には秘められていると思います。賢治はこんなメッセージも伝え残しています。「正しく強く生きるとは銀河系を自らの中に意識してこれに応じて行くことである。われらは世界のまことの幸福を索(たず)ねよう、求道すでに道である」(『農民芸術概論綱要』)ー。考え続け、問い続けることの大切さを訴えた言葉です。    私たちはそんな賢治を“実験”したいと考えています。みなさん、振って署名にご協力ください。海外に住む賢治ファンの方々への拡散もどうぞ、よろしくお願い申し上げます。     ●オンライン署名の入り口は以下から   https://chng.it/khxdhyqLNS     ●新花巻図書館についての詳しい経過や情報は下記へ ・署名実行委員会ホームページ「学びの杜」  https://www4.hp-ez.com/hp/ma7biba   ・ヒカリノミチ通信(増子義久)   https://samidare.jp/masuko/   ・おいものブログ~カテゴリー「夢の新花巻図書館を目指して」    https://oimonosenaka.seesaa.net/                      
    2025.09.08
  • 建設プロと行政との”図書館”像の雲泥の差…その背後には一体、何が~静岡県立図書館は計画の見直しへ!!??

       「花巻駅の既存駅舎、計画されている東西自由通路の図面があれば提供していただきたい」、「JR東日本花巻駅と屋根や空中デッキなどで接続することを計画してもよろしいでしょうか」―。新花巻図書館の「整備基本・実施設計」業務にかかる「公募プロポーザル」について、これまでに約40社から応募するに際しての質問が寄せられ、その数は252項目に上るなど関心の高さがうかがわれる。とくに、注目されるのは現在計画が進められている「JR花巻駅橋上化(東西自由通路)」との関係性(”紐づけ”)に対する問い合わせである。    駅橋上化事業は西口駅前の整備費を含めて、総事業費は44億円余と試算され、合併特例債を充当することによって、市側の実質負担額は約7・7億円と見積もられている。令和10年度後半の供用開始を目指し、令和8年2月頃から工事に着手するとしている。この駅橋上化事業と背中合わせの位置に建設が予定されているのが新花巻図書館である。近接するこの二つの巨大プロジェクトの関係性に建築プロが注目しないわけはない。プロにとっての“建築美学”とは双方が相まって、相乗効果を発揮できかどうかである。上記質問のねらいもそこにあるのだが、市側の回答は―    「現在、進めているJR花巻駅東西自由通路(駅橋上化)整備事業とは別の計画として提案してください」とけんもほろろの回答である。思い出すではないか。いまから8年前の2017(平成29)年7月10日、文書開示請求によって「最大スペックのラフデザイン」と名づけられた花巻市作成のイメージ図がJR盛岡支社に提供されたことが明らかになった(1月16日付当ブログ参照)。現在、新図書館の建設が予定されている駅前のスポーツ用品店敷地跡に描かれた当時の図書館像が図面上、二階部分で橋上駅と通路で繋がっているのが見て取れる。この二大プロジェクトが当初は「ワンセット」構想だったという動かぬ証拠である。    今回の公募プロポーザルに際しても実際に「花巻駅と図書館の二階レベルを接続するような計画はありますか」という質問が寄せられている。これに対し、市側は「接続する計画はありません」とにべもないが、なぜ一度は「ワンセット」構想を思い描きながら、一転してこの構想に背を向けるようになったのか。建築プロの“常識”になぜ、これほどまでに抵抗しなければならないのか。    駅前に出現する予定のこの2大プロジェクトが「別物でなければならない」―という何か別の事情でもあるのだろうか。表向き、「JR」主導型の行政と受け取られかねないことを懸念する「別物」論の背後にはこのナゾ解きに役立ちそうな市長発言がある。上田東一市長は一貫して、この発言の真意について口を閉ざし続けてきたが、今となっては逆に“藪から棒”の体(てい)をなしつつある。つまり、”本音”が耳元に聞こえてくるような気配を感じるのである。みなさんもこのナゾ解きに挑戦してみてはいかがですか。     ●「JRは花巻駅の橋上化をやりたいと思っており、橋上化の話が進めば、土地の売買について真剣に話をしてくれる可能性はある。橋上化がなくなった際には、駅前に図書館を建設することについてもどうなるか分からない」(令和4年6月開催の市政懇談会での発言)●       ちなみに、橋上化事業に伴う新駅舎と東西自由通路の本体部分に要する費用は合併特例債による補てんがあるとはいえ、全額が市の負担。JR負担分は既存こ線橋の撤去費用だけで、「これでは市がJR側に新駅を作ってやるようなものではないか」という批判が以前からくすぶっていた。         (写真は公募プロポーザルについての議員説明会。その不透明性に質問が相次いだ=8月1日午後、花巻市議会委員会室で)       《追記》~静岡県立図書館も計画見直しに    図書館建設の反対を争点にした市長選で勝利した静岡県伊東市の田久保真紀市長が学歴詐称問題で揺れる中、今度は静岡県立図書館が補助金の減額によって、計画の大幅な見直しを迫られる事態になった。公共施設に対する国の補助制度は財源難の中で厳しさを増しており、当市の新図書館問題も”対岸の火事”と安穏できない情勢になってきた。詳しくは以下から。   静岡 新しい県立図書館 財源不足で計画見直しへ - NHKオンライン   財源不足で新県立図書館整備計画見直し 静岡県教育長が陳謝 ...   新県立中央図書館の財源不足問題で教育長に再発防止策の策定 ...         ★オンライン署名のお願い★      「宮沢賢治の里にふさわしい新花巻図書館を次世代に」―。「病院跡地」への立地を求める市民運動グループは七夕の7月7日から、全世界に向けたオンライン署名をスタートさせた。イーハトーブ図書館をつくる会の瀧成子代表は「私たちは諦めない。孫やひ孫の代まで誇れる図書館を実現したい。駅前の狭いスペースに図書館を押し込んではならない。賢治の銀河宇宙の果てまで夢を広げたい」とこう呼びかけている。    「わたくしといふ現象は/仮定された有機交流電燈の/ひとつの青い照明です/(あらゆる透明な幽霊の複合体)」(『春と修羅』序)―。賢治はこんな謎めいた言葉を残しています。生きとし生ける者の平等の危機や足元に忍び寄る地球温暖化、少子高齢化など地球全体の困難に立ち向かうためのヒントがこの言葉には秘められていると思います。賢治はこんなメッセージも伝え残しています。「正しく強く生きるとは銀河系を自らの中に意識してこれに応じて行くことである。われらは世界のまことの幸福を索(たず)ねよう、求道すでに道である」(『農民芸術概論綱要』)ー。考え続け、問い続けることの大切さを訴えた言葉です。    私たちはそんな賢治を“実験”したいと考えています。みなさん、振って署名にご協力ください。海外に住む賢治ファンの方々への拡散もどうぞ、よろしくお願い申し上げます。     ●オンライン署名の入り口は以下から   https://chng.it/khxdhyqLNS     ●新花巻図書館についての詳しい経過や情報は下記へ ・署名実行委員会ホームページ「学びの杜」  https://www4.hp-ez.com/hp/ma7biba   ・ヒカリノミチ通信(増子義久)   https://samidare.jp/masuko/   ・おいものブログ~カテゴリー「夢の新花巻図書館を目指して」    https://oimonosenaka.seesaa.net/                                      
    2025.09.03
  • 政治家とその道を志す方々に読んで欲しい本…まずは『ドウリズムの政治』から~次期市長選は来年1月25日に!!??

       「僕が何か一言話すたびに猛烈な拍手が起こり、女の人たちはボロボロ涙を流して泣き出し、自分でももう何を話しているのかわからなくなった。限りない感激だった。私は『もうひとつの政治』を発見した気がした。草の根にある政治の芽を見つけたのだ。物言わぬ大衆のなかに、本当に道理の感覚があることを知ったのだ。この人たちを失望させてはならない、期待に応えなくてはならない、と決意した」―    かつて、このまちにこんな思いを政治に託した首長がいた。社会党(当時)の副委員長にまで上りつめた北山愛郎(1905―2002年)である。昭和22(1947)年まで旧花巻町長を2期務めた際の「北山流デモクラシー」の原点がこの「道理主義」(ドウリズム)だった。母親の世代が「アイロ-さん、アイロ-さん」と叫びながら、選挙カ-の“追っかけ”をしていた光景を子ども心に記憶している。北山町政の一部始終はひとり娘の郁子さんが執筆した『ドウリズムの政治』(2010年)にまとめられている。    あれから幾星霜…平成26(2014)年、今度は「花巻に新しい風を」をスローガンに掲げた現職の上田東一市長がその座を射止めた。北山と同じ東京大学法学部を卒業した新市長に対し、私は「同学の先輩の政治哲学をぜひ、市政に生かしてほしい」とこの本を携えてお祝いに駆けつけた。さらにそれから10年有余、上田市政の4期目を控えたいま、来年1月の市長選に向けた動きが慌ただしくなってきた。すでに、新人3人が出馬の意向を表明し、現職は沈黙を守ったままである。    『なぜ豊岡は世界に注目されるのか』というタイトルの本が私の手元にある。著者は兵庫県議会議員を3期務めた後、2001年から豊岡市長を5期20年間務めた中貝宗治さんである。「コウノトリ『も』住めるまちを創る」―をモットーに掲げる中貝さんは人口減少社会を生き抜く地方都市の方向性について、こう書いている。ちなみに、同市には「コウノトリ共生推進課」があり、”コウノトリのまち”として知られている。    「地方に暮らす突き抜けた価値の創造、生きる場としての突き抜けた魅力の創造。そのキーワードは『深さと広がり』。旗印は小さな世界都市(Local&Global-City)です」―。市内に現存する「出石永楽館」(1901年建立)は近畿地方で最古の芝居小屋で、永楽館歌舞伎の舞台でもある。空前のブームをわき起こしている映画「国宝」(2025年6月公開)の舞台シーンもここで撮影され、一躍注目を集めた。「県立芸術文化観光専門職大学」(4年制)を創設するなどその芸術・文化(+観光)にかける情熱は計り知れなかったが、一方で思わぬ事態が降ってわいた。    「演劇の町なんかいらない」―。2021年4月に行われた豊岡市長選で、芸術・文化に力点を置く“中貝”市政を批判した新人候補に1665票の僅差で敗れた。新花巻図書館の立地問題で、市民の民意が二分された当市の事情と似てなくもない。その「上田」市政を総括する選択の時はもう、数か月後に迫っている。よだれが出るような「まちづくり」の手腕に引き込まれているうちに私は宮沢賢治にあやかって、「イーハトーブはなまき」を「小さな宇宙都市」(Local&Cosmic-City)と名づけたい欲求にかられる。「深くて広い」時空間を兼ね備えている(賢治の)銀河宇宙こそがそれにピッタリだと思ったからである。    来るべき市長選に向け、候補者各位には夢膨らむような広大で無辺な「イーハトーブ」の未来図をぜひ、示してほしいと思う。中貝さんはこうも述べている。    「だからこそまちづくりには、自分事となる人が増えるように、対話による『一歩ずつ、一歩ずつ』の“発酵熱”の醸成が不可欠であり、時間と忍耐が必要になります。その時間の経過に耐えられるかどうかが、事の成否を大きく左右します。そしてリーダーは、地域の未来を切り開くためにやる価値があると自ら信じる事柄について、“発酵”が途切れることなく、一歩ずつ、一歩ずつ前に進むように旗を掲げ続けなければならないと私は考えています」           (写真は少子高齢化時代の「まちづくり」入門書として、注目を浴びる中貝本)       《追記》~次期市長選は来年1月25日    任期満了(令和8年2月4日)に伴う花巻市長選は令和8年1月18日に告示され、同月25日に投開票されることが決まった。9月1日現在の有権者数(選挙人名簿登録者数)は男性36,677人、女性40,493人の計77,170人。すでに、新人の3人が名乗りを上げており、他の出馬の動きと現職で3期目の上田東一市長の去就が注目される。         ★オンライン署名のお願い★      「宮沢賢治の里にふさわしい新花巻図書館を次世代に」―。「病院跡地」への立地を求める市民運動グループは七夕の7月7日から、全世界に向けたオンライン署名をスタートさせた。イーハトーブ図書館をつくる会の瀧成子代表は「私たちは諦めない。孫やひ孫の代まで誇れる図書館を実現したい。駅前の狭いスペースに図書館を押し込んではならない。賢治の銀河宇宙の果てまで夢を広げたい」とこう呼びかけている。    「わたくしといふ現象は/仮定された有機交流電燈の/ひとつの青い照明です/(あらゆる透明な幽霊の複合体)」(『春と修羅』序)―。賢治はこんな謎めいた言葉を残しています。生きとし生ける者の平等の危機や足元に忍び寄る地球温暖化、少子高齢化など地球全体の困難に立ち向かうためのヒントがこの言葉には秘められていると思います。賢治はこんなメッセージも伝え残しています。「正しく強く生きるとは銀河系を自らの中に意識してこれに応じて行くことである。われらは世界のまことの幸福を索(たず)ねよう、求道すでに道である」(『農民芸術概論綱要』)ー。考え続け、問い続けることの大切さを訴えた言葉です。    私たちはそんな賢治を“実験”したいと考えています。みなさん、振って署名にご協力ください。海外に住む賢治ファンの方々への拡散もどうぞ、よろしくお願い申し上げます。     ●オンライン署名の入り口は以下から   https://chng.it/khxdhyqLNS     ●新花巻図書館についての詳しい経過や情報は下記へ ・署名実行委員会ホームページ「学びの杜」  https://www4.hp-ez.com/hp/ma7biba   ・ヒカリノミチ通信(増子義久)   https://samidare.jp/masuko/   ・おいものブログ~カテゴリー「夢の新花巻図書館を目指して」    https://oimonosenaka.seesaa.net/                                  
    2025.08.29
  • 「議員ファースト、やめて」…議員報酬引き上げに再考を求める陳情書を提出!!??

       議員報酬の引き上げに関する陳情書を22日に提出した。ここに至るまでの経緯には重要な前段があった(詳しい顛末は7月13日付当ブログ参照)。去る7月9日、何の前ぶれもなく突然、最大幅で月額10万円のアップ案が市民説明会で示された。そのちょうど1カ月前の6月10日、5年以上に及んだ新図書館問題について、議会側は賛成16反対8の賛成多数で市側の「駅前立地」にゴーサインを出した。「駅前か病院跡地か」―。市民を二分した“立地”論争について、ある議員が賛成討論に立った。「いつまでやってんのか」ー。選良としての品位を疑わせる発言にびっくりした。    その余韻が冷めやらない中で、今度は「報酬引き上げにご理解を」と議員一同が頭を下げている。市民をどこまで愚弄(ぐろう)するつもりかと強い憤りを抱かざるを得ない。そんな中、旧花巻病院跡地への図書館立地を求めている市民グループは全議員(25人=欠員1人)を対象にアンケート調査(公開質問状)を実施したが、半数以上の14人が回答を拒んだ。「市民の信託を受けた市の代表機関」(「議会基本条例」前文)が機能していないことを思い知らされた。「議員は市政全般についての課題及び市民の意見、要望などを的確に把握するとともに…」―。同条例(第5条)は「議員の活動原則」について、こう定めている。    「日ハ君臨シ カガヤキハ/白金ノアメ ソソギタリ/ワレラハ黒キ ツチニ俯シ/マコトノクサノ タネマケリ」―。稗貫農学校(現花巻農業高校の前身)の教師時代、宮沢賢治は校歌がなかった生徒たちのために自ら作詞した「花巻農学校精神歌」を送って励ました。銀河宇宙を突き抜けるような清冽(せいれつ)なこの歌はいまでは“市民歌”としても親しまれている。ちなみに、現職の中にはこの学び舎の門をくぐった同窓議員が複数人いる。「そこで学んだはずの“賢治精神”は一体、どこに…」と問いたい。ついでに言うと、「駅前立地」へは諸手を挙げた、これらの同窓議員はそろって、アンケートへの回答は拒否している。    花巻市は将来都市像を高らかにこう謳っている。「豊かな自然/安らぎと賑わい/みんなでつなぐ/イーハトーブ花巻」―。受難者に寄り添うというこの精神、つまり「公共への献身」を全議会人で共有して欲しいと切に願いたい。市議としての「原点」に立ち返り、報酬のあり方そのものを市民とともに再考する真摯な論議を心から期待したい。なお、今回の陳情は9月29日開催(予定)の「市議会議員報酬調査検討特別委員会」(高橋修委員長)に付託され、審議される。           件名: 議員報酬引き上げに関する市民説明と意見聴取の徹底について   趣旨: 議員報酬を月額339,000円から最大幅で439,000円へ引き上げる提案について、花巻市議会基本条例およびまちづくり基本条例の理念に基づき、市民への十分な説明、意見聴取、透明な手続きの確保を強く求めます。あわせて、厳しい経済情勢と市民感情をふまえた再考を要請いたします。   理由: 物価高と円安の影響により、市民の暮らしは極めて厳しくなっています。食品価格は高騰し、実質賃金は過去3年間低下が続いています。光熱費や生活必需品の支出に苦しむ市民にとって、議員報酬の10万円増額は「議員ファースト」と捉えられても仕方がありません。市民に選ばれた議員が、自らの報酬を引き上げることには極めて高い説明責任が伴います。ところが、これまでの議論は十分な情報開示もないまま進められており、多くの市民が経緯を把握できないまま、報酬引き上げが先行した形です。    花巻市議会基本条例第24条第2項は、報酬改定時に「市民の意見を参考にすること」を定めており、第8条・第9条も説明責任と応答責任を明示しています。また、まちづくり基本条例でも、市民参加による熟議と合意形成が原則とされています。一部で「市民説明会」が実施されたとはいえ、広報の範囲や議論の中身は不十分で、議員一人ひとりの賛否理由すら説明されていない現状では、市民の納得には到底つながっていません。    このまま拙速に議決すれば、議会そのものへの信頼が大きく損なわれかねません。報酬引き上げに先立つべきは、まず信頼の回復であり、十分な説明と参加の機会です。   要望事項 1.報酬引き上げの根拠資料や審議経過の全面公開 2.議員個々の賛否理由の説明責任の履行 3.市民が参加可能な説明会や意見交換会の再実施 4.パブリックコメントなど市民意見を反映する制度の導入 5.現下の経済状況をふまえた慎重な再検討    本件は、報酬額の問題にとどまらず、議会制度の信頼と正統性に関わる重要課題です。市民の声に真摯に向き合い、開かれた議論を尽くすことを強く要請いたします。           (写真は報酬引き上げを協議する報酬特別委員会=8月1日午後、花巻市議会委員会室で)       ≪追記≫~misunderstanding    「市政堂」を名乗る方から、議員報酬にからんだ次のようなコメントが寄せられた。    「『市民の大切な税金を預かっている』―。以前は市長の口から何度かこのセリフが発せられたが、このところ、とんと聞かなくなった。市長擁護の議員たちに囲まれ、市民の税金を好きなように使おうとしているように見受けられる。そもそも市長をはじめ議員たちの報酬は、誰のおかげで手にしていると思っているのか?市民の税金ではないか!多くの市民の声に耳を傾けることもなく、チェック機能を持たない議員たちの必要性に疑問を持つ」             ★オンライン署名のお願い★      「宮沢賢治の里にふさわしい新花巻図書館を次世代に」―。「病院跡地」への立地を求める市民運動グループは七夕の7月7日から、全世界に向けたオンライン署名をスタートさせた。イーハトーブ図書館をつくる会の瀧成子代表は「私たちは諦めない。孫やひ孫の代まで誇れる図書館を実現したい。駅前の狭いスペースに図書館を押し込んではならない。賢治の銀河宇宙の果てまで夢を広げたい」とこう呼びかけている。    「わたくしといふ現象は/仮定された有機交流電燈の/ひとつの青い照明です/(あらゆる透明な幽霊の複合体)」(『春と修羅』序)―。賢治はこんな謎めいた言葉を残しています。生きとし生ける者の平等の危機や足元に忍び寄る地球温暖化、少子高齢化など地球全体の困難に立ち向かうためのヒントがこの言葉には秘められていると思います。賢治はこんなメッセージも伝え残しています。「正しく強く生きるとは銀河系を自らの中に意識してこれに応じて行くことである。われらは世界のまことの幸福を索(たず)ねよう、求道すでに道である」(『農民芸術概論綱要』)ー。考え続け、問い続けることの大切さを訴えた言葉です。    私たちはそんな賢治を“実験”したいと考えています。みなさん、振って署名にご協力ください。海外に住む賢治ファンの方々への拡散もどうぞ、よろしくお願い申し上げます。     ●オンライン署名の入り口は以下から   https://chng.it/khxdhyqLNS     ●新花巻図書館についての詳しい経過や情報は下記へ ・署名実行委員会ホームページ「学びの杜」  https://www4.hp-ez.com/hp/ma7biba   ・ヒカリノミチ通信(増子義久)   https://samidare.jp/masuko/   ・おいものブログ~カテゴリー「夢の新花巻図書館を目指して」    https://oimonosenaka.seesaa.net/            
    2025.08.22
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