山形在来作物研究会

 山形県河北町に黒田組という建設会社がある。社長の黒田政喜さんが山形大学の地域連携協力室を通じて江頭を訪れてくださったのは、一昨年のこと。「行政の指導もあり、アグリビジネスを起こしたい。仕事をリタイアした人に住んでもらう高齢者向け住宅とセットで、昔懐かしい野菜を食べてもらえるレストランを作ろうと思っているのだが、どんな在来野菜があるか教えてほしい」との依頼だった。現在、黒田組さんは賛助会員として山形在来作物研究会を応援してくださっている。

今年の8月にその高齢者向けアパートとその1階に健康食レストラン「ゆうゆう」がオープンした。河北町といえば、紅花と谷地のひな祭りやどんが祭りで有名なところ。食べ物ではそば、特に肉そばが有名で昼食がとれるお店にはソバ屋が特に多いという。「ゆうゆう」は河北町の中でも美味しいランチが味わえるレストランとあって、女性客を中心に人気のお店になっている。

「ゆうゆう」では黒田組の自社農場で健康的に育てた自慢の野菜を手間を惜しまずに調理したメニューを提供している。同時に店の入り口で農場産の野菜(ニンニク、エゴマ※、ダイコン、長いも、げんこつ芋など)を実に良心的な価格で販売している。「ゆうゆう定食」をごちそうになった。定食のメインはたっぷりのトマトソースがかかった手作りのハンバーグ。そのハンバーグは挽肉だけでなく、ひじきやゴマ、豆腐などがたっぷり入った実に手の込んだものである。小鉢のゴボウサラダにはさわやかな香りで健康によいと注目されている自社産のエゴマがたっぷり和えてあり実においしい。こんにゃくとダイコンの煮物もついて食物繊維がたっぷりとれる。河北町産のご飯はお代わり自由。自家製の練り梅はご飯のお供にうれしいサービス。葉付きのカブのみそ汁も美味。食後はエゴマを使った牛乳寒天のデザートとコーヒー。カロリーひかえめ(900kcal未満)で、値段も800円と安い。本当に心も胃袋も満足できる定食だ。

河北町は最上川交易での影響で昔からなにがしかの食材が集まった場所の一つだろう、と話すのはドリームオブ天童を主宰する村形さん。黒田さんの手元にも河北町在来のベニバナ、エゴマ、ゴボウがあるという。地元の歴史と文化を伝える在来野菜を含め、健康によい食材を美味しく良心的な価格で提供してくれる「ゆうゆう」はこれからの河北町をやさしく支え、またリードしてくれるレストランであり続けることだろう。

旬菜LOHAS「ゆうゆう」の住所は河北町谷地甲82、電話0237-73-4561、定休日は日曜日、営業時間:昼11:00-14:00、夜16:30-20:00

※エゴマ:種はシソと同一。‘ちりめん’など多くのシソ品種は主に葉を食用とするが、葉よりも種子を主として食用にする種類をエゴマという。最上、村山地方を中心に古くからゴマの代わりに利用され、煎ってすったものを「おひたし」や「かいもち」にかけて食べた。また種子を絞るとエゴマ油もとれる。薬用にもなる貴重なものである、


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