50代半ばの転職活動は現実として厳しいのが現実。
そんな中、Iさんは技術と人柄で4社受けて、
3社から内定をいただいた。
その中の2社に絞り、条件提示を受けた。
うち1社は私どもからの紹介である。
1社はその道のトップ企業で待遇も良い、
もう1社は外資系の新興企業で仕事の面白みはあるが、
リスクも感じる、といった内容だった。
これはたまたまの偶然であるが、
両者の条件提示が同じ日に重なったのである。
両方の話を聞いた後、Iさんと私は向かい合った。
雰囲気を和ませようと話題を提供するが、Iさんの表情は苦渋に満ち、
上の空の生返事。。。
少しして、Iさんがポツリとつぶやく。
「話が進んでいくと、欲がでるんですよね」と。
「最初の気持ちに戻ったらどうですか、
そしてIさんにとって大事なものが何か確認してください。
Iさんだったら、どっちにいってもやれると思いますよ」とアドバイス。
Iさんの趣味はサックス。
たまたまお会いした場所の近くで吹奏楽の演奏をやっていた。
Iさんは、それを少し見ていくといって、分かれた。
1時間くらいして突然電話が、
「原田さん、決めました。A社に」と。
「決め手は何ですか?」と問う私に。
「やりがいです」と、吹っ切れた明るい声が返ってきた。
その日の夜のメールにこんな一文があった。
「本当に悩みましたがやっと決めることができました。
今はほっとしております。
(中略)
私の力でどのくらいできるかわかりませんが、
できる限り頑張ってみます。
もしダメになった場合は私の力不足
だと思いますので後悔はしないと思います。」
どっちの道が良いのか結果はわからない。
でも、やりたいと思ったことをやらないでする後悔くらい
後に残るものは無いかもしれない。
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