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自社の草木 秋真っ盛り



今年はたった一つの実 花梨




色づいた "はなみずき" の葉と実

老兵の半生(生涯の友4)

入学して2年目ごろまでは、まだ女子高の生徒も在学しており
学校も新築なっておりませんでしたから、校舎全体の中に
女子高の全日制、定時性、工業の全日制、定時制と
4つの生徒会が校舎を共有しており、生徒会や運動会等も
合同で行なわれており、とてもユニークな学校生活だったような
気がしてました。特に工業は100パーセント近く男子だけであり
女子高は、定時制を除いては100パーセント女子だけの生徒で
在ったから、そこに何らかの接点が生まれても不思議では
在りませんでした。
松井は生徒会の役員もしておりましたから、女子高の生徒会
役員との交流もあったようです。
ある日登校して、私の下駄箱を開けると四角い封筒が入って
おりまして宛名が、松井様となっておりました。私と松井の
下駄箱が隣り合わせで、合ったため多分間違えたものと、思われ
ます。
その後二人の、文通は卒業時まで続いたようです。
下駄箱通信は、前の夜かいて相手の下駄箱に入れておけば
次の朝彼女が読んで、下校時彼の下駄箱に入れて置けば
其の夜彼が読む。切手もいらず特急便で、相手に届く
結構何組かは、下駄箱をポスト代わりにして、青春のひと時を
謳歌していたようです。
我々にとって貧しさの中でも、現代にない人と人との絆や
交流は、知恵を絞っておこなっていて、精神的な豊かさは
現代の若者には、負けない中身の濃さだったような気がします。

老兵の半生(生涯の友5)につづく

老兵の半生(生涯の友3)

当時私は23歳、後の3人は19歳それぞれが、高校通信教育課程
で、勉強してたのですが、地元の女子高を廃校して新たに
工業高校を新設すると言う事で、その夜間部にそれぞれ年齢は
ばらばらですが、入学したのでした。
なぜかこの3人とは、気があったためいつも、つるんでいました。
私が年上だったので、兄貴分私には男の兄弟がいなかったので
いい弟が、出来たようでとても、嬉しかった気がしてました。
彼らの学業の成績は、全定含めての校内でも抜群の成績で
平均点数が80点を割ることは、殆どなかったと記憶してます。
色摩と樋口は地元の大手企業に、昼勤務しておりそれぞれが
長男であり、金銭的事情でやむなく昼働いて、夜勉学という
生活を選択せざるを得なかったと思いますし、松井も幼少時は
ある地方のお寺の次男として、比較的裕福な家庭に
育っていたようですが、両親の逝去と共に生活が一変し、
中学卒業と同時に、ある文房具店に丁稚見習いとして住み込み
で、働く事になり店主夫婦の好意により、夜学に通うことになった
そうです。店では大変可愛がられていて息子同然の、扱いを
受けていたようでした。我々も時にはその店に遊びに行き
休みの日は、夕飯をご馳走になったりしたものでした。
彼も頑張りやで、11月中ごろまでワイシャツ姿で通学してました。
理由を聞くと、4年間学生服を1着で済ませたいし、卒業式に
よれよれの学生服がいやなので、大事に着たいからと
答えていました。
当時の我々にとっての楽しみは、まず食べ物、そして多少の
アルコール。いずれも大貧乏でしたから
老兵の半生(生涯の友4)につづく

老兵の半生(生涯の友2)

1964年の12月中旬いつものメンバー色摩、樋口、松井
私といつものメンバー。
当時ある高校夜間部の4年生であった、我々は
時折終末に学校帰り、色麻の間借り先の部屋で
色摩が実家で密造したぶどう酒を飲みながらの
ひと時であった。
「松井お前あんまり難しい質問するなよな、先生
目白黒させて、答えに窮してたではないか」
「疑問に思うこと質問しただけだよ」
「いくら物理の先生だって、宇宙の果てが
どうなっているかなんて解らんよ」
「あの先生正直だよね、最後に勉強してくると
言ったよな」と樋口が言う
「松井は変なところで、頭がいいのか
変わっているのか解らん」色摩が言い放す
等々今日の授業での話で盛り上がる。
「じゃそろそろお開きにして帰ろうか」
暖めほろ酔い気分の、松井の言葉に促され
色摩の布団をヘアードライヤーで、みんなで暖め
「色摩あったまったぞ、早く布団に入れ」
豆炭あんかを、厳禁の条件での間借り生活には
アルコールで、体を温め、ドライヤーの風で布団を
暖めすぐ寝ることが、色摩に取っての暖の
取り方だったのです。
老兵の半生(生涯の友3)につづく

老兵の半生(生涯の友1)

「おう久しぶりだな」松井に声をかける
樋口からの電話で、何十年ぶりに集まって
飲むことにした。突然のことだったが場所と時間を
設定し色摩に、電話する。色摩は「今晩か弱ったな」
と言いつつも「解った」と二つ返事で駆けつけてきた
私を含めてのこの4人は、きわめて様々な半生を歩んでいる
年齢は違いますが、生涯の友といっても過言ではない
仲間である。いずれももう還暦を過ぎたにもかかわらず
一応まだ現役を続けている。
飲むうちに、酔うほどに、現況のお互いの情報交換が
一通り終わると、話は1961年~1965年にかけての
高校時代の思い出に、花が咲きお互いが遠い青春の
ひと時を再現する。「ところで色摩まだぶどう酒の
密造やっているか」松井が聞く「もう何十年も前に
ぶどう棚を取り壊しているので今はない」
「しかし今も当時飲んだ味が忘れられないよな」
のん兵衛の樋口が、当時の情景を語りだす
色摩が間借りしていた、小屋の二階での話である
学校帰りの真っ暗な、梯子のような階段を音を立てずに
こそこそ上がる、40ワットの裸電球の寒々とした
彼の間借り部屋は、当時我々にとって青春の隠れ家
であり、夢を語り合う素敵な場所でありました。
話は当時の世界にタイムスリップしてました・・・・
老兵の半生(生涯の友2)につづく