星空の下で(8)

「あれは新校舎に移ってからの、最初の実習だったよね
砂型鋳造でアルミ材を鋳込んで、灰皿を作ったよね」と平井
「そうそう我々のクラスの大部分の連中が、自分で鋳込んだ
灰皿を自宅に、持ち帰った事件だろう」私が口を挟む

当時は新生高校が故、教材にしろ物品にしろぎりぎりの数や
量で、授業を行っていた時代で、夜我々が実習で作った灰皿を
次の日昼間の生徒が、溶かして又灰皿鋳込みの授業を受けるため
前の夜鋳込んだ灰皿を、夜の生徒が持ち帰ったため材料不足で
授業が受けられなかった。それが灰皿事件であった。
次の日の授業最初の時間担任の先生が、全員に「灰皿を持ち
帰った者はすぐ帰って、持ってきなさい」と一言続けて
「クラス全体でどう対処して、反省の意を表すか決めなさい」
と言葉静かに言い話すと「今日は授業なしホームルームに
するから話し合いをしなさい」といって職員室に帰ってしまった

「全員坊主になって、反省しよう、そういったのは平井
お前だったよな、もともとお前は坊主頭だったから
抵抗はなかったものな」加藤が話し始める
「俺だったかな、覚えていないよ、でも皆それしかないと
言ったのは覚えているよ」
「でも最後まで頭を切らなかったのが、渡部(30代半ばで逝去)
だったよね、最も彼は仕事が外交だったから抵抗が大きかったんだろう」
「切るまで二週間粘ったものね」

このクラスは団結が強く、個人が起こしたトラブルも学校内
で起きた事は、全員で何とか解決して行こうと言う雰囲気があり
一緒に入学した仲間は、停学とか退学或いは職場の都合等で
脱落することに、対しては非常に敏感で、最後まで1人残らず
卒業しようとの思いが、人一倍強かった。そのため協調、協力
の意識は一人一人非常に強かったと思う。

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