星空の下で(2)

工業高校入学して一年の晩秋の体育の事業。木造の校舎廃校が
二年後に決まっている女子高の、校舎に間借りでの新設工業
高校の夜間部で、七段階も歳の違う級友達との授業であった。
女子校が他の進学校と合併が決まり、新に工業高校が新設され
女子校の在学生が卒業するまで、その校舎で一緒に授業を
受けていた。工業高校の新校舎は建設中でありその後二年の
時引っ越すこととなる。

「なあ平井、お前だったよな体育の事業で逆立ちさせられて
上着のポケットから、マッチと新生(タバコの銘柄)が
ぽろっと、床に落ちたのは」松田が口火をきる。
「あの時はあせったよ、ただ黒木先生だったから
運がよかった。鈴木先生だったら停学処分は間違いなかったろうね」
と平井。「しかしあの頃は大人の先生が多かったからね、
きつかったが、俺たちの事情をよく理解してたからね」
つい何年か前まで、母校の教師を務めていた加藤が、合いずち
を打つ。
「しかし平井は先生との問題の種を良く作っていたよね、
あれは、中秋の名月あたりの歴史の授業で、俺の隣の席で
酒臭い息を吐いて、寝ていたよな実ははらはらしながら
わき腹を、つっいたのにお前は起きなかった」と
私が言うと、「あの日は職場の芋煮会があって、先輩に
無理に飲まされたが、学校が好きだし、酔ってもなかったし
自転車に乗っても、大丈夫だから来たんだが、さすがに
三時間通して、歴史の勉強は眠くなるわね」と平井
当時は授業科目が、昼夜兼務している先生方の勤務事情でか
連続して、二時間三時間授業の科目があり、周一の科目数が
多かった。

教段を降りて近づいてきた、多分五十代くらいだったと思うが
歴史の先生が、「平井起きろ、平井起きろ」と二度ほど
声をかけそれでも起きないので、直ぐ近くまで近づき
一瞬顔色が変わった。多分アルコールの匂いを感じたのだろう
次の瞬間頭髪をつかんで、机に二度ほど打ち付けた。
当の本人は、痛いといって目を覚ましたが何が起きたのか
きょとんとしていた。
其処からクラス中が、騒ぎ立てる事件に発展。何しろ一番
歳頭が22歳~七段階下までの年齢混成クラスである。

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