星空の下で(1)

松田、埼玉在住63歳(ボランティア団体所属)平井、地元在住
66歳(自営業) 加藤、66歳地元在住(公務員退職後山男)
と私70歳地元在住(会社役員)の高校でのクラスメートであり
生涯の友人である4人組のお話。
最上川べりの小さな茶屋、秋も晩秋を迎え紅葉も一部を
残して、わくら葉として地上にふり降り積もりいつ初雪を
迎えてもおかしくない季節、「平井遅いなー加藤、ちゃんと
連絡したのか?」埼玉から参加している松田が
幹事役の加藤に確認している。
「必ず参加すると言っていたから、もう直ぐ
来ると思うよ」加藤が「まずビールでももらって
平井が来るまで練習と行こう」
「女将さんビール」と奥に向かって声を掛ける。
共に夜間生であった、仲の良い同じクラスの四人組み

年齢は現在63、66、70と違うが同じクラスで、四年間勉強した
仲間である。卒業後の進路と人生の道程はそれぞれ、
全く違う道を歩んではいるが、数年に一度くらいは会って
夜間生時代の思い出に花を咲かせたり、現況報告を飲みながら
話す会をしているのである。
私も68と言う歳を迎えて、今回彼らと懇談するのが、後
何回できるのかなと思いながらの、久しぶりの逢瀬であった

「遅くなってわりいな」と襖を開けて、平井が入ってきた。
「始めているが、まずは乾杯と行こう」加藤の音頭で
還暦を過ぎた男どもの懇親会が、こうして始まった。
「鍋ができましたよ」女将が熱々の米沢牛のすき焼き鍋と
ねぎ、きのこ、白菜、卵、と別さらにたっぷりの牛肉を
盛り付けた皿を、運んできた。すでに鍋の中には
直ぐ食べれる量の、具材が湯気を立てて仕込まれていた。
それぞれに、現況を話しあい、
飲むほどに、食うほどに、酔いが回り話題は、何時しか
何十年も前の、夜間高校生時代の、授業情況や生活環境の
思い出話で、盛り上がっていく。
初老の彼らの眼が、だんだんと青春をよみがえらせて
来たように輝いてくる。

この記事へのコメントはこちら

以下のフォームよりコメントを投稿下さい。
※このコメントを編集・削除するためのパスワードです。
※半角英数字4文字で入力して下さい。記号は使用できません。