静岡大学教授 奥山 睦さんのブログより

去る10月23日~24日にかけて長井市を訪問された
静岡大学教授奥山 睦さんが、名古屋の中京大学で
経営情報学会秋季全国発表大会において
長井市のことをテーマに、発表された件をブログに
掲載されておりますので、ご紹介いたします。

経営情報学会秋季全国発表大会
ただいま名古屋におります。
11月6日(土)、7日(日)に中京大学で開催の
「経営情報学会秋季全国発表大会」に、静岡大学院
「として、オーガナイズドセッションに参加しました。
大会の全体テーマは「感動する経営」です。

「社会ネットワークと感性価値スピルオーバー研究会」
として、『共感から協創へ』をテーマに、私は
山形県長井市の事例を発表しました。
セントラル・クエスチョンとして3つ。
•産業集積発展のためには、ソーシャル・キャピタルが
必要なのではないか。
•ソーシャル・キャピタルは「共感」によって生まれ
イノベーションを引き起こし、産業と雇用を「協創」するのではないか。
•産業集積のキャリア転換には、「ブリッジパーソン」が必要なのではないか。
ソーシャル・キャピタルとは、人間の作る社会的組織の中に存在する
信頼・規範・ネットワークといった「社会関係資本」をいいます
これは従来型の経済効果ではなく、人々の地域生活を満足させる
効果があると言われています。

かつて東芝の企業城下町だった長井市。
1995年、中心企業の撤退により、かつて2000人だった
雇用は200人に激減しました。
この危機を乗り切るきかっけは、地元工業高校の再生にありました。
そして再生に寄与したブリッジパーソンがいたのです。
長井市は、新幹線も高速道路も通っていません。
よって人材が流出することがあっても、流入することは
容易ではないのです。
地域が中心企業の撤退という危機を迎えたとき、
「人材こそ地域の宝」と地域の中で気づく力が共感を広げ、
地域にイノベーションを、引き起こし
地域のキャリア・チェンジを成功させました。
地方都市は大企業を誘致し、下請けピラミッド型構造を作る
ことで産業・雇用の創出を図ってきたケースが多いのが現状です。
長井市のような地方小都市が生き残るためには、
ソーシャル・キャピタルの構築により、産業と雇用の協創が必要です。
そのためには、ブリッジパーソンが、重要な役割を担います。

全国では地域活性化のため、地域資源活用が叫ばれています。
主に農作物や自然環境、鉱物資源などを指すことが多く、
そのための資金調達や制度の施行等も各種行われています。
しかし、地域衰退の根本的な原因は将来の地域を担う若年層の
人口の流出です。つまり人材こそ最大の地域資源であり、
この人材が地域の中で減少していくことが大きな問題である
と認識すべきです。長井市の事例が示すように、
地域再生の鍵は「工場誘致」ではなく、「人財立地」なのです。

この発表のために取材にご協力いただいた、
吉田功氏(株式会社吉田製作所 代表取締役)、斎藤輝彦氏
(株式会社斎藤金型製作所 代表取締役)
小関博資氏(株式会社昌和製作所 代表取締役)、
横山照康氏(長井市商工観光課 企業振興室長兼企業振興室係長)
にこの場をお借りして、心から感謝申し上げます。

以上奥山 睦氏のブログ原文です。

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