老兵の半生(生涯の友1)

「おう久しぶりだな」松井に声をかける
樋口からの電話で、何十年ぶりに集まって
飲むことにした。突然のことだったが場所と時間を
設定し色摩に、電話する。色摩は「今晩か弱ったな」
と言いつつも「解った」と二つ返事で駆けつけてきた
私を含めてのこの4人は、きわめて様々な半生を歩んでいる
年齢は違いますが、生涯の友といっても過言ではない
仲間である。いずれももう還暦を過ぎたにもかかわらず
一応まだ現役を続けている。
飲むうちに、酔うほどに、現況のお互いの情報交換が
一通り終わると、話は1961年~1965年にかけての
高校時代の思い出に、花が咲きお互いが遠い青春の
ひと時を再現する。「ところで色摩まだぶどう酒の
密造やっているか」松井が聞く「もう何十年も前に
ぶどう棚を取り壊しているので今はない」
「しかし今も当時飲んだ味が忘れられないよな」
のん兵衛の樋口が、当時の情景を語りだす
色摩が間借りしていた、小屋の二階での話である
学校帰りの真っ暗な、梯子のような階段を音を立てずに
こそこそ上がる、40ワットの裸電球の寒々とした
彼の間借り部屋は、当時我々にとって青春の隠れ家
であり、夢を語り合う素敵な場所でありました。
話は当時の世界にタイムスリップしてました・・・・
老兵の半生(生涯の友2)につづく

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