老兵の半生(メーテルの雪1)

12月6日久しぶりに、自宅でごろごろする
夕方から又出かけなくてはならないのだが
昨日、友人より電話があり元気でいるか、との
気遣いの電話でした。実は毎日書いてるブログを
此処一週間くらい、ぴったり止めていたのです。
いろいろ珍しく会社での出番が、多くついつい
止めていたのでした。
炬燵の中に入って、雪の降りしきる庭を見ている内
に、ふと遠い昔の夜の無人駅のホームを
思い出していた。
上野駅発の最終列車の座席で、雑誌を読んで発車
を待っている、「よろしいですか」
と声をかけられ顔を上げると、私より5っ位年上の
年のころ27、8の女の人でした。
「どうぞ」と答えるとあいている私の
前座席に腰を下ろしました。
外套の端が、私の前を翻りとてもいい香りが、再度
顔をその人に向かわせました。
実は列車内は、がらがらに空いていて、空いている
座席は沢山あったのです。
なぜ私の前に座ったのか、其のときは考えもしません
でした。
細身の体に、紺の外套其の襟と袖口には、フワフワした
同色の毛飾りがついており、スカートから下のすらりと
横に揃えた足はロングブーツで、覆われていました。
顔も中々の美形で、今で言うハーフ的雰囲気であり
思わず心の中で「こりゃ銀河鉄道スリーナインの
メーテルだな」と叫んでいました。
つづく

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