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【2013/07/03 朝日新聞】定年後は芝居漬けの元銀行マン

出前公演県内飛び回る日々

 古里・川西町出身の井上ひさしが書いた二人芝居「父と暮せば」をひっさげ、5月から県内各地で出前公演をしている。「1時間40分ぶっ続けの出番。体力に自信がついた。まだまだやれると」。

 50歳で迎えた山形銀行米沢支店。投資信託などを扱う専門職になった。2人の子どもは大学に進み、南陽市の自宅で妻と二人暮らしになったが、「毎日けんかばかりしていた」。心機一転、井上さんが校長をしていた川西町の演劇学校に夫婦で飛び込んだ。

 銀行を定年退職して半年後、米沢市の市民ミュージカルに応募。主役に抜擢されたが、「馬鹿! もっと真剣にやれ。失敗を年齢のせいにするな」と、鬼の演出家に絞られた。眠れない夜が続き、体重は10キロも減少した。ようやく迎えた千秋楽の公演。満員の客席から手拍子が押し寄せた。「こんなに素晴らしい舞台に二度と立つことはあるまい。幕を下ろすな。このまま歌わしてくれ」と心の中で叫んでいた。

 その後は映画にも出演。学生時代にかじった落語も再開した。いま、以前に書いた短編を元に、一人芝居を計画している。(内藤文晴)

 ◇ふるかわ・たかし 1949年生まれ。立教大経済学部を出て山形銀行に入る。妻の史子さんは長井高校で同学年だった。息子はミステリー作家の深町秋生。



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2013.07.04:supobun:count(2,148):[メモ/⇒南陽のひと]
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