第33番「谷汲山 華厳寺 十一面観世音菩薩」
世を照らす 仏のしるし ありければ まだともしびも 消えぬなりけり(現在)
世を照らす※1観音様の真理(証し)があれば、法(のり)の灯火(ともしび)※2は消えることはないであろう。
※1観音経は「普明照世間」あまねく明かりを世間に照らすと説いています。
※2煩悩に迷うこの世から人を導く仏法を、闇夜を照らす灯火に見立てた言葉です。
万世の 願いをこゝに 納めおく 水は苔より 出る谷汲(過去)
限りなく続く永い世の人々の願いを谷汲山に納め置く。
苔むした谷から清い水が湧いてくるように、汚れ多い世の中で観音様は人々の心を清めてくれることだろう。
◇「谷」と「谷汲」をかけています。
今までは 親と頼みし 笈摺(おひずる)を 脱ぎて納むる 美濃※の谷汲(未来)
※華厳寺は岐阜県(美濃)揖斐川町にあります。
長い巡礼の旅で、親のように頼みにしてきた笈摺※を満願結所の谷汲山に脱いで納める身となる。
※巡礼者が衣服の上に着る白衣のこと。死装束と同じ意味で着ています。
◇「美濃」と「身」をかけています。
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