この時でも、オイラの目はまだ明るい方を向くくらいの視力しかなかったし、もっぱら耳と鼻に頼ってたんだけど、丁度ミルクの時間が終わった頃、この世で聞く三匹目の、もとい三人目の声が。
「あらららら、何や、猫飼うつもりでねーべな!」
おばあちゃんが入院中のおじいちゃんの所から帰ってきて、玄関先でオイラを抱えて哺乳瓶と悪戦苦闘しているボスと鉢合わせしたんだ。
おばあちゃんの声からは、非難と軽い怒りと大きな驚きとその他様々な感情の洪水が溢れてきてて、オイラ溺れそうだったよ。
その後玄関先での親子バトルがどうなったか、あの頃オイラはまだヒト語が良く聞き取れなかったから、詳しくは分からないけど、結果として今もオイラがいるんだから、軍配は息子に上がったんだろーなー。
とにもかくにも背に腹は代えられず、誇り高き(野良)猫族のプライドを懐にしまって、オイラここん家に飼われてやることにしたんだ。この頃のオイラは、ミルクさえ飲めれば大満足だったし、体さえ大きくなったらすぐに脱走して、広い外の世界で思いっきりブイブイ、もといニャーニャー言わせようと牙と爪を研いでたから名前なんてものもどうでも良かったんだ。
「こいつ、ちっちゃいくせに気かん坊だから獅子丸にしよう。」ボスがみんなに提案した時も、(あ~あ、こいつら猫といえばライオンって単純だなぁ、ライオンてばオイラ達一族では出世頭で、本家のオイラ達も一目置く存在なのに、なんか恥ずかしいなぁ)位にしか思ってなかったんだ。ところが色々とやんちゃカマしちゃったもんで8月にはあえなく改名。「名前が強そうだから悪さばっかりするんだ」そうで新しい名前は「ちび丸」だと。
こ、この誇り高い猫族のオイラに向かって、チビとは何事かヽ(`Д´)ノ と爪を立てて猛抗議したけど却下。
「イケメンだから蘭丸がいい」と言ってくれた養母がこの時ばかりは女神サマ(ちょっと太めだけど…)にみえたっけ。結局ボスに押し切られて チビ丸 決定。以来一年半、今じゃ「チビ、ご飯だよ」と言う召使養母にいそいそと飛び出して、スリスリしてる自分が情けない(´;ω;`)
え、どんなやんちゃしたかって? それはまた今度な。
続く(かもね)
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