一昨年の七月上旬、ここん家のおじいちゃんが倒れ、以来寝たきりになったそうです。その三日後にオイラ生まれたんだとか。なんでもオイラの両親はここいら辺をショバにする野良猫で、おじいちゃんが元気なうちは、庭を徘徊するだけで追っ払われてたんだって。
たまたま庭の片隅に古い下駄箱が放置されてて、オイラのカーチャンが丁度いい産室として拝借したみたい。ところが、オイラ生まれたばっかでカーチャンに捨てられちゃって、兄弟だけ連れてってオイラだけ目も見えないのにおいてけぼり。オイラちっちゃい体で「なんでオイラばっかり…」ッて神様を恨んだね。腹減って死にそうで、必死に「ミャアミャア」泣いてると、世の中捨てたもんじゃない、ここん家の社長が聞きつけて、あちこち探すこと数分、下駄箱の扉を開けてオイラを外へ出してくれたんだ。目は見えなかったけど、お日様の光の明るさと暖かさに涙が出そうだっけ。でも、おじいちゃんの具合もあったし、社長はオイラをまた下駄箱に戻して皿に入れた牛乳を差し入れてくれただけだったんだ。「オイラの日齢じゃカーチャンのオッパイからじゃなきゃ飲めねーんだよヽ(`Д´)ノ」オイラ空腹でブチ切れてたよ。
続く(かもしれない…)
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