ご存知のように、日本においては少子高齢化が加速度的に進んでおり、
それに伴う医療費・介護費の増加が国民への大きな負担となっています。
具体的には2001年度に医療費は30兆円を超え、
そこから10年余りで40兆円まで増大、政府の見通しでは2025年では
54兆円とその負担は益々重くのしかかってくる状況です。
高齢者が健康で長生きをし、自宅で家族と共に快適に暮らしていくことは、
結果的に、本人と家族の身体的・経済的負担を和らげ、
国や地方財政にも良い影響をあたえることが出来ます。
住環境は、とくに居住内の温度環境が健康に密接な関係を持つことは、
あまり知られておりません。
「健康・省エネ住宅を推進する国民会議」の資料を参考に、
住まいと健康の関係をみてみました。
冬の寒さと健康の関係について ・・・
循環器疾患を招く血圧変動は冬の室内の寒さが原因かもしれません。
循環器疾患は、気温の下がる冬季に増加しています。
日本人のおもな死因はがん・腫瘍と、心疾患や脳血管疾患に代表される循環器疾患。
上のグラフはその死因による死亡者数を、月別にまとめたデータです。
がん・腫瘍による死亡者数が年間でほぼ一定であるのに対し、
心疾患や脳血管疾患は冬場に増加しています。
これは、寒さによる血圧の上昇が、循環器疾患をまねいていると考えられるためです。
英国保健省の寒さに関する評価によると、人が健康でいられる温度は21℃前後。
16℃以下になると呼吸器障害や心疾患などの深刻なリスクが高まり、
10℃以下では高齢者に低体温症を発症する恐れがあるとされています。
とくに気をつけなければならないのが、浴槽での死亡事故です。
原因になっているのが、寒い脱衣所と暖かい浴槽との急激な温度差。
この温度差が「ヒートショック」とよばれる血圧の急激な上昇・低下をまねき、
身体に負担を与え死亡の原因となっています。
交通事故による死亡する人は、年間4000人を切って減少していますが、
家庭内での不慮の事故死は、年間17000人と今でも年々増加しています。
住まいと健康は、切っても切り離すことのできない関係にあります。
なぜなのか、大いに考えなければならない、きちんと取り組まなければならない問題です。
この記事へのコメントはこちら