良寛和尚の逸話
江戸後期の禅僧、良寛和尚の逸話を聞く機会がありました。
良寛の名声をねたむ一人の船頭がいました。
その船頭は、良寛が舟に乗ったとき、
川の真ん中でわざと大きく舟を揺らしました。
良寛は、川の中に投げ出され溺れますが、
船頭を恨むこともなく、運命を甘んじて受け入れ、死に向かいます。
その泰然たる様子に、さすがに船頭は良寛を舟に引き上げました。
そこで、引き上げられた良寛は、なんと言ったと思いますか?
「命を助けてくれてありがとう。
あなたは私の命の恩人です。この恩は決して忘れません。」
と、手を合わせたというのです。
一見、プラス思考のように思えるかもしれません。
でも、良寛和尚は、川の中に投げ出されたことを、
マイナスにもプラスにも解釈するのではなく、
ただ水の中に投げ出されたという事実を受け入れたのです。
そして、船頭のその後の人生にとてつもない影響を与えたそうです。
良寛は、自分のためにプラス思考で考えたのではないのです。
マイナスでもプラスでもない、「ゼロ思考」をすることが出来たのだそうです。
「ただ、事実を事実として、受け入れる。」ことができたのです。
私は病気にかかるまではプラス思考の人間だと思っていました。
この様な病気にかかるとは、夢にも思っていませんでした。
「どうして病気になったんだろう。」と、マイナスの気持ちが渦巻いている自分がいました。
気持ちがプラスになったり、マイナスになったり、
そして今は、事実を事実として受け入れることが大切だと
わたしは「病気を事実として、受け入れる。」
そうそう、良寛和尚の号は、「大愚」だそうです。
2016.10.13:m-kuma:[熊谷 昌則/レポート集]
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