ぼくのニワトリは空を飛ぶー菅野芳秀のブログ
8月分のお米です。
☀☀☀☂☂☁☁ 今月のお米の味は如何でしょうか? お届けしましたお米は出荷直前まで籾(もみ)をまとっていました。服を着ていました。7月にもお伝えしたかと思うのですが、それには訳があります。といいますのは・・・。 お米の多くは玄米で貯蔵されています。その玄米は梅雨に入ってから急速に劣化していきます。玄米の肌が見るからに荒れてくるのですね。かつてあったべっ甲色のつやつやした輝きは失われ、いかにも「苦労したよ」というガサガサした感じになっていくのです。この落差はちょっとかわいそうなくらいですよ。わけを言えば、玄米が梅雨を前後する環境の大きな変化に「素っ裸」で対応しているところにあります。暑いし、蒸すし・・、大変な苦労だと思いますよ。エネルギーもたくさん消費したでしょう。その結果、つやつやがガサガサに・・・というわけです。これを防ぐためには玄米を低温倉庫に入れるなどの方法もありますが、自然なやり方としては玄米にせずに籾のまま貯蔵するという方法です。籾は固いガラス繊維でしっかりと玄米を包みこみ、守っていくのです。我が農園のお米は、昨年の秋から今年の8月分まで、ずっと籾の被服をまとっていました。べっこう色の輝きを失わずにいました。お届けしたお米はそんなお米です。 ☀☀☀☂☂☁☁ 今月も「黒い斑点」をもったお米があちらこちらにあるかもしれません。「カメムシ」の食痕です。「色彩選別機」を通してできるだけ取り除いているのですが、多少は入ってしまいます。味には影響いたしませんし、身体に悪い影響があるわけでもありません。そのまま食べていただいてかまいません。穂の乳熟期に殺虫剤を一回でもやれば被害を防ぐことができるのですが、先月にもお伝えしましたように、そうしますとトンボやクモなどの益虫たちも一斉にいなくなってしまいます。できませんよね。我が農園のお米を食べていただいている皆様にはきっとお分かりいただけると思います。 ☀☀☀☂☂☁☁ もうじき、稲たちは穂をだします。品種は「ひとめぼれ」、「コシヒカリ」それに「黄金もち」です。「殺虫剤」、「殺菌剤」はやっていません。化学肥料も使っていません。肥料は堆肥などの有機肥料のみです。 健康は食から、食は土から。人間は土の化身です。だから・・何よりもいのちを育む土を守り、その結果として生命力豊かなお米を作りたいと願ってきました。田んぼが黄金色に輝くのはもうじきです。どのようなお米が育っているのでしょうか。 幸いにも当地への原発の影響は低いと言われていますが、同じ志を持ちながら田んぼに立ち尽くす福島の農民を思うとき・・・言葉もありません。 土といのちの循環の下に・・・菅野農園(代表;菅野春平) ...もっと詳しく |
うれしいニュースです。
ドイツから放射線量の測定器が贈られてきました。 長井市はスイスとフランスとの国境近くにあるドイツの小さな町、バードゼッキンゲン市と姉妹都市交流をしています。長井市民がそのまちを訪問すれば必ずといっていいほどお世話になる方がいます。日本人のすてきな女性で、お名前は「くみ」さん。私のブログにもなんどかコメントをいただいているかたです。ドイツでの生活が長く、もちろんドイツ語も英語もぺらぺらと操ることができ、また社交的な方でもあって、ドイツの地域社会に溶け込んで暮らしておられます。 贈り主はそのくみさんですがそういうと彼女は違うよって言うでしょうね。 「周囲の方々がずいぶん心配してくれるんです。日本は大丈夫か。日本の家族をこちらに連れてこなくてもいいのかって。そしてね、私のところにもいろんな方が義援金をよせてくれるの。日本の被災地の方々に渡してほしいって。この間なんか日本の被災地支援のチャリテーコンサートを開いてくれたんですよ。そのようにして集まったお金です。だから、放射線測定器をお贈りしたのは私ではなく、チャリテーでご活躍いただいたデッツエルン村男声合唱団の方々や周辺のドイツ人のみなさんなんです。また、製造販売会社であるSTEPSENSOR社のご好意もお伝えしたい。ドイツでも測定器を手に入れることが難しく、いまでも5ヶ月待ち。でも日本の被災地周辺の方々にお贈りするのならと、特別にはからってくれて、早くかつ大きく割り引いてくれたんです。いつでもドイツの地から日本のみなさん、長井市のみなさんに心を寄せています。どうかよろしくお伝えください。」 くみさんはこのように話していました。情感豊かな方ですから、きっとくみさんの涙腺は緩みっぱなしだったのでしょう。俺にしたってくみさんからのメールや電話でその模様を知るたび同じように緩んでしまいましたよ。 測定器は、長井市の「バードゼッキンゲンクラブ」(遠藤三雄会長)を通して、市民がいつでも活用できるようにと市に寄贈されました。 久しぶりにいい話です。 ありがたい話です。 ...もっと詳しく |
たくさんのご注文ありがとうございました。 おかげさまで若鶏の玉子はキレイになくなりました。 皆様のご支援に感謝いたします。 |
お元気でしょうか?
いろんなことがありましたが、私どもも元気で農業を営んでいます。 さて、ブログにおいでの皆さんに、我が農園の本業である自然養鶏の玉子のことでご相談があります。 いま、玉子が少し多めに産んでいまして、食べていただける方をさがしています。 若鶏の玉子です。 夏はいつも、鶏たちが産まなくなる時期ですがその時期に合わせてヒナを導入した結果、今度は多く産みすぎて困っています。 若鶏の玉子ですので、少し小さめですがプリンとした形状です。 スーパーの玉子で言えばS,M,LのSクラスでしょうか。 その玉子を1パック300円でお分けしています。 通常の大きさの我が家の玉子は580円/1パックしていますので、小型の分だけすこしお安くなっています。 いつまでもあまり続けるわけではなく、秋から冬にかけて 少しづつ産卵量が減っていきますが、そうですね、あと一ヶ月ぐらいは この状態が続き、今度は足りなくなっていきます。 工場のラインと違いますので、この調整はすぐにはできません。 ヒナの増減から始まりますので最低でも半年はかかります。 そこが生き物たちと一緒にやっている仕事の難しいところですね。 メールでご返事いただければお送りいたします。 アドレスは以下のとおりです。 narube-tane@silk.ocn.ne.jp ご住所、〒番号、電話番号、数量、お届け品ならば先様とお届け主の 両方のご住所が必要です。 お問い合わせは090-4043-1315までお電話ください。 4パック(10個入り)がお送りする際の最小単位です。 (箱の容量の関係です。) 送料は関東ならば630円かかります。 4パックならば 300円×4+630円=1830円となります。 生でおいしく食べられる賞味期限はお届けしてから20日間としています。 クールでお送りいたします。 届きましたら冷蔵庫に入れて保管してください。 お支払いは振込み用紙を同封いたします。 どうぞ、よろしくお願いいたします。 久しぶりに本業の話でした。 自分のこととなると少し緊張しますね。 |
「誰にも責められてはいないが、みんなに責められている気持ちだ。」
白鷹町の友人の牛が放射線に汚染されたワラを食い、出荷した4頭の牛の肉から1kgあたり55〜290ベクレルのセシウムが発見された。彼は50頭ほど飼っている米沢牛の畜産農家で、上はその彼の言葉だ。 4月、彼は被災地の宮城県石巻近郊にボランテイアの炊き出しに行った際、以前取引のあった近くのワラ業者に電話をし、何か力になれることはないかと尋ねたところ、「俺もワラ屋だからね。」tと応えたという。分かってくれということだ。 自分の田んぼの稲ワラを与え、牛の堆肥をその田んぼにかえす。彼はかねてよりこのような牛と田んぼの小さな循環を大切にしていた。儲かるからといってやたらに牛の頭数を増やそうとせず、自分の管理している田んぼの面積に応じて飼う。これが彼のやり方だった。今年もワラは充分だったが、震災の渦中にいる業者の言をうけ、一台ぐらいならばと引き受けた。まさか宮城県北部の大崎平野の田んぼのワラまで放射能で汚染されていたとは考えられなかった。 ところで私はワラは秋に田んぼから厩舎に取り込むものと思っていたので、春になぜ汚染したのかが分からなかったが、雪国以外のところでは田んぼに散在していた稲ワラを春に取り込むことは広く行われていることだという。 国や県の関係機関がもっと早く事態を察知し、指摘してくれたなら対処の仕様もあったのにと思うと残念だ。関係者は牧草の汚染を知り、注意を呼びかけていたのだから、ワラの汚染にも当然気づいていたはずなのだろうが、やっぱり宮城県北部までとは思わなかったのだろう。 牛肉から検出されたセシウムの量は国が定めた暫定基準の500ベクレル( アメリカは1200ベクレル、カナダは1000、EUは1250、WHO、FAOは1000)よりはずっと下回っている。しかし、マスコミは「山形県の牛から・・」とセンセーショナルに報じ、県は「疑いのある牛」の個体識別番号をインターネットなどで公表した。その後、全てが基準値を下回っていることを強調したのだが遅かった。今、牛肉は記録的な安値をつけている。 牛肉の取り扱い業者は「低い数値とはいえ、一方にゼロがあるのだから売れないだろう。」といっているという。畜産農家にとっては切なく、深刻な話だ。彼は「新聞やマスコミで報じられて以降、稲ワラ業者、畜産農家、食肉業者は被害者なのだが、加害者のようになってしまっている。」と話す。実感だろう。 県は宮城県などから稲ワラを買っていた112戸の畜産農家に対して出荷自粛を要請した。出荷時期になっても出荷できず、餌を食べ続ける。さらに買い手が付かないとすればその被害は甚大だ。 政府は基準値である500ベクレルを超える被害については国が全頭を買い上げるといっているが、それ以下は対象外としている。 誰が彼らをまもるのか。 ...もっと詳しく |
あらゆるものが緑に染まっている。
田んぼも畑も山も集落も、むせ返るような緑、緑の中にある。 うっかりすると自分も緑に染まりかねない。 田んぼの中のところどころに立っている柳の木などは、かつては人間だったという話だ。 あそこの柳は隣村の建ちゃんのご先祖だった。 こっちの柳はヤスのところのひいじいちゃんだったらしい。 ヤスのひいじいちゃんの場合は、田んぼを見ながら煙管(きせる)に火をつけてゆったりとタバコをくゆらせていたらしいよ。 そしたらそのまま緑になっていったのだとさ。 途中でそのことに気づいたんだけど「ま、これもいいや」といいながらそのまま柳になっていったという話だ。 ぼーっとしているとああなってしまうんだね。 ちょっとおっかないな。 ヤスのところは自分で選んでなっていったんだけどな。 俺も田んぼに出て行くときには気を抜かないようにしないと。 緑には勢いがあるよね。いのちの勢いというのだろうか、何か生き物たちの必死の願いのようなものを感じるよ。 今日、畑のわきの木を切り、草を刈り取る予定なんだけどね、木に申し訳ないな。 草にも申し訳ない。 俺たちが生きるためだとはいえ、木や草たちを切らなければならない。 刈らなければならない。 木や草だって寿命を全うしたいはずさ。 申し訳ないな。 夕方には緑ではなくなってしまう。 ごめんな。 (写真は我が農園の無農薬田んぼ。左のダブルクリックで拡大してごらんください。) |
10,11,12日と上京した。
東京の暑さは尋常ではなかった。 朝の6時に散歩にでて一時間ほど歩いたのだが、全身水をかぶったようになってしまった。 山形とは暑さがちがいますね。 天気予報を見る限り、気温上はあまり違わないけれど そこには出てこない朝、晩のさわやかさがまったく違う。 今は同じ朝の6時。 わが村や田んぼにはうっすらと夏特有の霧がかかっていて、歩けばすこし肌寒い感じだ。 日中はさすがに暑く我が家の二階では過ごせないが、夕方、窓を開け放っていれば、寝るころには涼しくなっていて暑くて眠れないということはない。窓を開けたまま寝てしまえば、夜中にからだの冷たさで目が覚めてしまう。 そのぶんビールがうまいというむきもあろうが、こっちだってそれは同じ。その上こっちには畑から直にもいでくるキュウリがあるぞ、トマトがあるぞ。ササギ(ササゲ)の茹でたものもあるし・・なっ。 そんなことは天気予報では言わない. だから気づかなかったかもしれないけどな。 「暮らしやすさ予報」ってのがあれば・・・そこまではいいかな。 こっちに来るかい? 年収はガクッと落ちはするが死にはしない。 何とか暮らしてはいける。大丈夫! 考えてみるか? ま、それもあんたしだいだけどな。 とかいいながら、毎年の夏、東京への小さな優越感に浸るのです。 小さい奴だって? 承知の上だよ! ...もっと詳しく |
190cmで105kgはやっぱり太りすぎだろうか。
108kgと104kgの間を行ったり来たりしている。 朝は人参ジュース、昼と夜は60%が玄米であとは白米だったり、ソーメンだったりでことさら大食いということでもないと思うんだ。 何がいけないのか・・。 酒? 確かにお酒は飲む。 一週間のうち、5晩ぐらいはビール1本か日本酒1合。ちょっと越えることもあるけど、ま、たいしたことはない。ときどき、ピーナッツ系のお菓子をポリポリと食べることもあるし、お茶を飲みながらせんべいをかじったりもする。これだろうか。 腹が・・ね。出ているんですよ。 みっともないから何とかしなければ・・とは思うんですよ。 「体系と志の乖離(かいり)を何とかするんだぁ。」 とかなんとかいって、幾度もダイエットに挑戦してみたけれど、 連戦連敗で、だんだん自分に自信がなくなっていくのがわかる。 原発やTPPやで、ただでさえうっとおしいのに、さらにデブとの戦いもしなければならないせいだろうか。最近、疲れることが多くなった。 どなたか、やせる方法を・・・、特に腹回りの脂肪を落とす方法をご存知ないだろうか? ...もっと詳しく |
朝はいつも人参を搾ったジュースを飲んでいる。それが私の朝飯だ。
一回に搾る量は人参500gほど。それが200ccほどのジュースになる。 昨年の12月からはじめているので、計算上では約100kgを越える人参を飲んだことになろうか。 周りの人によく人参ジュースだけで農作業ができるよなぁと言われるが、慣れればどおってことはない。 人参を続けてくれているのは千葉の二人の友人で、二人とも無農薬の野菜栽培を手がけて数十年になるベテラン農家だ。作物を食べることは土を食べること。そう思っている私にとって、こだわるのは人参の形状ではなくその中身。つまりは土と育てられ方だ。その点ではまったく問題はない。送られてくるのは大きくて実の割れたもの、傷のついたもの、小さなものなどさまざまで商品にならないものばかり。どうせジュースにするのだからそれで充分だ。 この人参ジュースがおいしい。人参の独特の風味とコク、それに果物のような甘さ。ジュースとしても充分に満足できる。毎朝、うまい、うまい・・・と飲んでいた。 その味が突然変わったのは5月の半ばごろのことだ。 田植えのあたりを境に、昨年の秋冬のものから春撒きの新人参に変わったことで、味が一変した。ジュースにまったく手ごたえがない。例えていうなら、水を半分混ぜたのではないかと思えるような・・、薄くてコクがない。材料の人参も量を増さなければ200ccはできなかった。きっと栄養価もうんと減っているに違いない。どうしたのかと思って、友人に電話したところ、 「春の人参はそのようなものなんだ。晩秋の霜、冬の寒さにあたったもののようにはならない。」ということだった。 そうか。いつもあるようでいて、人参の旬はやっぱり晩秋なんだ。それにしても旬の力は抜きん出ている。驚きだった。このことは人参だけでなく全ての野菜にいえることに違いない。やっぱり食は旬だよ。 ところで、寒さ、冷たさを経なければおいしくなれない、コクが出ないというあたりは、俺たち人間とどこか似ていますね。 写真は一回の量です。 ...もっと詳しく |
春先に書いた「それぞれの春」でもふれたように、81歳の現役農民である栄さんが倒れた。そして1ヶ月。栄さんの20aは我が家で受け持つことになった。息子の春平が引き受けてくれる人を捜してはみたが、誰も「うん」とは言わなかったという。それも無理もない話だ。この20aは山あいにあり、近年に開田された田んぼだ。同じ手間をかけても里と比べればずっと収穫量は少なく、それに米価はとんでもなく安い。農家は借りてまでも作りたいとは思わない。この時期、自分の家の田んぼを維持するだけで精一杯というのが正直な話だ。だからにわかに持ち上がった栄さんの田んぼの引き受け手がいないというのも当然といえば当然だった。 「我が家で引き受けられないかなぁ?」 と春平が言い始めた。 「そんなことはやめた方がいい。私は反対だ。開田は何をするにも苦労が多い。栄さんの親戚の農家や近所の農家も引き受けることができないと言っているんだべ?なにもお前が骨をおることはない。それよりお前の身体を休めたほうがいい。」 真っ先に反対したのは92歳の母だった。ときどき空咳をする孫を気づかってのことだ。 「俺は大丈夫だよ。栄さんは田んぼとともに生きてきた人だべ。せっかく育てた苗を廃棄にでもしたら、入院先で『これで俺の人生は終わった』と思うに違いないよ。そんな栄さんを支援できるかどうか、このことは俺が百姓をする上での根本にかかわることだ。」 そんなことを繰り返し主張していた。 「栄さんがまたやりたいといいだしたら、いつでも返すつもりだ。それまでは俺が管理する。」 どうも、決意は固いらしい。言い出したらなかなか後には引かない息子の性格は家族みんなが知っていること。それならしょうがないだろうと母もしぶしぶ納得した。若いときには得てして「正義」や「理想」に走りやすいものだ。 品種は「はえぬき」。353aの我が家の田んぼに20aの栄さんの田んぼが加わった。 俺?俺は息子のやることには反対しないことにしているからね。あまり自分の意見は言わなかったよ。 <写真は田んぼの畦に咲いている野花。春シオン、忘れな草、オオイ ヌノふぐりなど> ...もっと詳しく |
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「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に百姓は腹が立たないのか!ムシロ旗を立てて行動を起こそう。」
新潟で百姓をしている友人から、こんなメールが送られてきたのは昨年の秋ことだ。TPPの求める「関税の撤廃」によって日本農業は壊滅する。その時、多くの農民はそう思った。しかし、やがてTPPは農業の問題にとどまらず、日本社会の在り様を大きく変えてしまう内容を含んでいることが分かってきた。
アメリカはTPPを足場に、アジアへの影響力を拡大しようとしていること。TPP参加予定国のうちアメリカと日本でGDPの91%を占め、実態は二国間の貿易協定であること。アメリカはその中で日本に農作物のみならず、金融、公共事業、医療、サービス、知的所有権・・・などほとんど全ての分野での市場開放を求めていること。日本の内政にかかわることでも、例えばアメリカの政府、または企業、あるいは投資家が「障壁だ」と見なせばそれを取り払うよう交渉することができるし、いざとなればしかるべき国際法廷に提訴することもできる。つまり日本の国内政策の上にTPPが君臨するよう仕組まれていること。例えば食品などへの様々な輸入制限なども「障壁」とみなされるだろうし、東日本復興に向けての20兆円規模ともいわれる公共事業もアメリカ企業にとって格好の参入対象となるだろう。
これらを知ることで、TPPへの参加は政府やマスコミが言うように「日本を世界に開く」のではなく、「日本をアメリカにあけわたす」に等しいということが分かってきた。なんとしてもこれを止めなければならない。
12月15日、東京での第一回目の会合には農民のみならず多くのNGO団体や個人が集まった。その場で『あたり前に生きたいムラでも、マチでもーTPPに反対する人々の運動』とう名の民衆団体が結成された。
翌年の2月26日、東京の明治大学に400人を越える人たちがあつまった。会場は反TPPの熱気に包まれた。そして、3月11日の震災と原発事故。
日本の財界は、東日本大震災後の復興に寄与するためにもTPPへの参加を急ぐべきだとする提言を発表している。彼らはTPPへの参加の手綱を緩めてはいない。それどころか一層歩みを早めようとしている。
われわれもまた、「3.11」に揺れながら、これからの反TPPへの取り組みの拡大を考えなければならないだろう。ここでも民の力が試されている。
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