ぼくのニワトリは空を飛ぶー菅野芳秀のブログ
先輩、こんにちは!
「消費者には、1パック198円の卵が魅力的なんです」
ドイツのくみさんは「消費者には、1パック198円の卵が魅力的なんです」と書きます(いま、東京ではもっと安いのも簡単に見つかるかも)。
その現状での値段はともかく、「安いものに飛びつく」ことを一方的に否定はできません。そこに難しい問題があるのでしょう。だって、そうやって安いものを手にするしかない層の人も確実にいるのだから。 ぼくも国内のフェアトレードが必要だと思います。生産者の生存を保障する適正な価格がつけられなければなりません。 しかし、他方で労働力も安売りが繁盛していて、その適正な価格での購入が難しかったりします。 菅野さんは先日の講座で、都市にオルタナティブを提示できるのかという問いを投げかけられました(武藤さんは菅野さんにも押し返してましたけど)。 確かに、より問われているのは都市の暮らしのほうなのだと思います。そこをどう変えていけるのか。ぼくの好きなサティシュ・クマールというインド生まれのおっさんがいるんですが、彼はメインストリームが破局に向かうのを止めるのは難しいのだから、ライフ(救命)ボートを準備すればいいと言ってました。本当に現状のメインストリームが破綻したら、それは喜ばしいことなんだから、道路に出て、踊ればいいって。 破局に向かうタイタニックのなかでの踊りや、あるいはタイタニック自体をなんとかもたせようとする努力は続いていますが、みんなでここから降りて、違う道を探そう、こんな道がある、というのをエラー&トライアルで探していくしかないかなぁと思います。 その一つがレインボープランなのでしょう。そう、講座では残念ながら、レインボープランの先の話まで行けませんでした。レインボープランのプロセスは、もしかしたら出発点なのかなぁと思います。それをどこに向けて、どのように接続できるのか、そんな話を今度は聞かせて欲しいです。 |
更新がないので、近況報告します。
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以下はくみさんの文章です。
先進的植物工場施設整備費補助金制度概要と言うのがあるんですね。
たまたま、私が開いたブログ(下にULRあります)に、
「植物工場セミナーのお知らせ」という宣伝のULRが出ていましたので、開けてみたら、なんと、政府はこんな戦略を立てているじゃありませんか。
「園芸農業の発展と地域活性化を目指して植物工場の普及拡大を図る」
日本は、こんなことをしようとしているんですか!
「平成21年度補正予算額47.2億円」
こんなお金を、食べ物を工場でつくる政策につぎ込むなんて。それで国民の食料安定供給を満たそうという根本的に間違った(私は間違っていると思う)流れを更に支援しようというんですか。
たとえば、冬に、レタスやトマトを食べるという、すでに狂った常識が消費者に浸透してしまっていることこそ何とかしなくちゃいけないことなのに、消費者が高く買うから、という市場心理にこたえて、工場で野菜を作って売れば、露地野菜より儲かるから、と業者が作る。こんなバカげた循環こそ断ち切らなくてはいけないのに。
それを変えていこうという流れを支援しないで、植物工場だなんて!!しかも、これが地域再生?経済産業省の役人はジャガイモがどうやってできるか、知らないんですよ。見たこともない。フライドチキンは鶏から作るって知らない。ひき肉が豚や牛から作られることも。
私のブログの中ですが、
「魚も肉も、野菜も、加工食品も、ほとんどすべてが、この番組(ブログの中の映像)の指摘しているとおり、グローバルビジネスに翻弄される庶民向けに作られ、販売されているのだなあ、と、しみじみ感じました。100g30円のひき肉、鶏丸ごと1羽、200円、アフリカから来た薔薇がひと束198円。牛乳1L80円。こんなことがあっていいのか? このフィルムの中に、アフリカ・セネガルのダカールの話が出ていました。
ダカールの最大のマーケットには、EUのトマトが並んでいるんだそうです。それは地元のトマトの3分の1の値段だそうです。だから地元の農家がやっていかれない。それで、EUの企業が経営する野菜農場に労働者として雇われる。そこで農薬を全身に浴びながら仕事をしたり、その仕事もない人はEU各地に出稼ぎに行っておよそ人権など無視した労働力として使い捨てられているというのです。」
上は農場と書きましたが、実態は工場です。
このフィルムの全編版http://video.google.com/videoplay?docid=-7738550412129841717#
には、スペインの実態が映されていますけど、トマトの苗なんて泣いていますよ。
1960年代にEU市場向けに政府が砂漠のような土地に水を引き、農民を誘致して大植物工場地域を作ったのです。
見渡す限りの土地をビニールハウスが覆い尽くしています。上の写真を見てください。想像を絶しますね。
その中で、集中治療室の病人さながらいろんな薬や栄養を点滴みたいに根元に注入されているんです。そうやって病気にならないよう、人手がかからないよう、早く安く実をつけるためにあらゆる技術を駆使してトマトの安定供給を図っている。そのトマトが、1000km以上離れたベルギーや、ドイツで、500g150円かそこらで売られているのです。でもスペインは今や、トルコや北アフリカ諸国の安い労働力に押されぎみで、苦戦を強いられているというのです。40年経って、スペイン政府は今度はどんな手を打つでしょう。
植物工場を日本にどんどん増やすことが、日本の食糧戦略であり、地域の活性化につながると信じる政府。儲かるためには何でもする企業。安くておいしければ何でも買う、何でも食べる国民。
恐ろしいことです。
菅野さんの勉強会、どうぞ、熱弁をふるってください。
菅野さんの卵が、世界を変えるには、一人一人の心を揺さぶり、これでいいのか?と、問いかけなくてはなりませんよ。
消費者には、1パック198円の卵が魅力的なんです。
なんでも安いのが平気なんです。
その消費者を変えなければ生産者はやっていけません。
消費者が変われば、政府や企業は玉虫色ですから、いかようにも変わると思うのです。
彼らは儲かれば、自分の立場が安泰なら、それでいいんですから。