ぼくのニワトリは空を飛ぶー菅野芳秀のブログ
ぼくのニワトリは空を飛ぶー菅野芳秀のブログ
苗から稲に
我が家の前には、およそ800haの水田が広がっている。一面むせ返るような緑。
田んぼは今、苗から稲になろうとしている。体の中に子どもを宿しているのだ。稲の出穂(しゅっすい)は人間の出産にあたるのかもしれない。出穂は穂が顔をだすことをいう。その時期は品種によって違うが、我が家の「ひとめぼれ」で言えば、今は出穂の15日前ぐらいだ。たぶん、茎のなかで穂は1cmぐらいにはなっているだろう。濃緑の田んぼのなかで静かに進行する苗から稲への移行。どこか神秘的だ。
この時期、夜になると「ピカピカッ」「パパパパッ」と稲妻が走る。実際は昼にも同じようにあるのかも知れないが、見えない。雷の音はしない。稲光だけだ。稲妻は昔、「稲夫(いなづま)」と書いたらしい。それがいつしか稲妻となった。稲光、稲妻が男で、田んぼは女。男と女の壮大な和合。稔りの舞台、いのちの舞台。昔の人はスケールの大きな発想をしたもんだ。
夕方、ゴザとお酒をもって田んぼに出かける。800haのまんなかあたりに敷く。田面を渡る風が心地よい。オレの上には広々とした見わたすかぎりの空。西に朝日連峰が連なっている。雄大な山々。日が傾き、今にも山に入らんとしている。暮れ行く太陽に「人生」を重ねるもよし、逃げていく「希望」を重ねるもよし・・・。そういえば昔、「夕日にむかって叫べ」だったか「夕日にむかって走れ」だったか・・・そんな文句があったなぁ。どんな意味だったのだろう。
茶碗に酒をそそぎ、口に含みながら、ただ黙って夕日の暮れ行く様を眺めている。静かに時が流れていく。やがて山ひだが消え、ほのかに明るい空と群青色一色になった山々が影絵のように浮かび上がってくる。そのころになれば、空のあちこちに星が姿を見せ始める。ときおり稲妻が走る。そしてオレは・・・まだ一人で静かに酒を飲んでいるのだ。
くたびれているかい?だったら来いよ。田んぼとゴザは提供するよ。
都合がよければオレも一緒にやんべぇ。
2008.07.23:
kakinotane
:[
メモ
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「ぼくのニワトリは空を飛ぶ〜養鶏版〜」
]
これこそが贅沢!という気持ちになりました。
都会育ちの私には田舎暮らしへの憧れがあるのですが、菅野さんの、田んぼの真ん中にござを敷いて夕暮れをただ見てお酒を飲むという情景を思い描くと、これこそが贅沢!という気持ちになりました。
今、家を買おうとしています。(もしくは建てる?)今日入った物件は小さな村の自然景観保護区の境の土地1080平方メートルです。そこに128平方メートルの平屋を建てる・・・・庭に菜園を作る。これはいいかもしれない。と、菅野さんの話を聞いて思いました。
あそこなら、星もすごく見えるだろうな。
2008.07.23:kumi:
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菜園はいい!
菜園はいいですよ。
自分で作る野菜は格別です。
時間があれば鶏を飼うのもいいですね。
野菜と玉子の自給ができれば・・あとは怖いものなんかない!
そんなわけにはいかないかな。
2008.07.24:菅野芳秀:
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夕方は
一日で、植物はこんなにいのちが輝くのだと。
ベランダの僅かばかりの稲を見ながら思います。
藪蚊を気にしつつ、茎元の水が少なくなっているのに驚き、
風に葉が擦れるのを不憫にも思いますが、この稲波?
を見ているとホッとします。
菅野さん、身体労わってください。そこに座ってらっしゃる事が私達への労わりになりますよ。
2008.07.24:文庫 番:
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お、お、おれって・・・!
そこに座っているだけで・・・ですか。
おれって銅像みたいですね。
でも、ありがとう。
なんか、うれしいです。
2008.07.24:菅野芳秀:
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よかった!
拝みにいきましょう。うふふっ。
2008.07.24:茜:
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田んぼのまん中で
はじめておじゃまします。
田んぼの真ん中で風に吹かれる稲のさわさわという音につつまれて
お酒に酔うなんて、ちょっと憧れます。
管野さんのブログを紹介してくれた先輩に感謝
先輩に誘われた「海ほたる」見にいこうかな〜?
2008.07.27:ちひろ:
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大丈夫だべ
このブログを紹介した方なら問題ないべなぁ。「海ホタル」でもどこでもいっておいで。大丈夫だよ。何が大丈夫かわからないけど。
2008.07.27:菅野芳秀:
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https://kanno-nouen.jp/
菅野農園のホームページで
お米を販売しています
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田んぼは今、苗から稲になろうとしている。体の中に子どもを宿しているのだ。稲の出穂(しゅっすい)は人間の出産にあたるのかもしれない。出穂は穂が顔をだすことをいう。その時期は品種によって違うが、我が家の「ひとめぼれ」で言えば、今は出穂の15日前ぐらいだ。たぶん、茎のなかで穂は1cmぐらいにはなっているだろう。濃緑の田んぼのなかで静かに進行する苗から稲への移行。どこか神秘的だ。
この時期、夜になると「ピカピカッ」「パパパパッ」と稲妻が走る。実際は昼にも同じようにあるのかも知れないが、見えない。雷の音はしない。稲光だけだ。稲妻は昔、「稲夫(いなづま)」と書いたらしい。それがいつしか稲妻となった。稲光、稲妻が男で、田んぼは女。男と女の壮大な和合。稔りの舞台、いのちの舞台。昔の人はスケールの大きな発想をしたもんだ。
夕方、ゴザとお酒をもって田んぼに出かける。800haのまんなかあたりに敷く。田面を渡る風が心地よい。オレの上には広々とした見わたすかぎりの空。西に朝日連峰が連なっている。雄大な山々。日が傾き、今にも山に入らんとしている。暮れ行く太陽に「人生」を重ねるもよし、逃げていく「希望」を重ねるもよし・・・。そういえば昔、「夕日にむかって叫べ」だったか「夕日にむかって走れ」だったか・・・そんな文句があったなぁ。どんな意味だったのだろう。
茶碗に酒をそそぎ、口に含みながら、ただ黙って夕日の暮れ行く様を眺めている。静かに時が流れていく。やがて山ひだが消え、ほのかに明るい空と群青色一色になった山々が影絵のように浮かび上がってくる。そのころになれば、空のあちこちに星が姿を見せ始める。ときおり稲妻が走る。そしてオレは・・・まだ一人で静かに酒を飲んでいるのだ。
くたびれているかい?だったら来いよ。田んぼとゴザは提供するよ。
都合がよければオレも一緒にやんべぇ。