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梅雨から夏にかけての新築物件は午後から見るべし

じめじめして、暑くなるこれからの時期の建物見学のポイントを紹介しておきましょう。

室内の建材などに含まれているVOC(揮発性有機化合物)は、温度や湿度が高くなれば高いほどその揮発量も大きくなるのはご存知でしょうか。

ようするに、建材のみならず、カーテンや家具・防蟻剤などに含まれるVOCも揮発しやすく必然的にVOCの総量も増加するのです。

よく、夏場にシックハウス症候群や化学物質過敏症が発症したり、症状が悪化するのはこうした理由も大きいとされています。

厚生労働省が、住宅関係の指針値が示されているVOCは、現在13種類ですが、あくまで指針値であり、実質使用制限が規制されているのは、接着剤などに使われるホルムアルデヒドと防蟻剤のクロルピリオスだけです。

13物質以外にもVOCは無数に使用されており、これらすべてについて指針値を定めることは現実的に不可能です。

そこで、13物質以外の物質も含めた総揮発性有機化合物(TVOC)の濃度の暫定的な目標値400μg/m3と定めているのですが、あくまで目標値であり、測定にも多額の費用がかかるために、実質どれほどの濃度になっているかは、明らかになっていないのです。

こうした現状も踏まえ、健康に影響を及ぼすことのないように、室内のVOC濃度を低減するために、2時間に一回の換気量の確保が義務付けられているとも言えるのです。

しかし、気密が悪ければ、換気経路に乱れが生じ、設計どうりの換気量を確保するのは難しいのも現実で、家の中のVOC成分が抜けきれずに刺激臭を感じる場合があるのです。

この時期の物件を案内する場合、出来るだけ室内環境を良くみせるために、窓を開けたり、エアコンをつけたりしているのが、一般的です。

窓をあちこち開けている場合は、こうした臭いをごまかす為に開けているケースも多く、エアコンをつけている場合は、湿気や暑さを感じさせないようにつけているケースがほとんどです。

また、余談ですが、中古物件などは、長年の生活臭やカビ臭さを抑えるために、ファブ〇〇〇などの消臭剤を大量に使用し、異様な臭いが充満し、敏感な方でなくとも頭がいたいとか、目がチカチカするという声を良く聞きます。

さて、人が住んでいない新築物件の場合、生活熱も発生しないため、たとえ外が30℃位になっても、ある程度の気密・断熱性能を有していれば、室内の自然室温も27℃~28℃になっているので、エアコンは付けずともさほど暑さを感じないものです。

また、換気がキチンと機能していれば、少々室温が上がったくらいでは、普通の方が刺激を感じるような臭いはまず感じません。

この辺を頭に入れながら、見学することが大事で、オススメの時間帯は、室内が一番暑くなる午後3時から5時位です。

そして、家には必ずついてある床下と天井の点検口を除いて、中の状況をご自身の目と鼻で確認することです。

床下や小屋裏には、家の性能や技術はもちろん、その会社の家づくりの考え方や職人の良心が詰まっています。

相変わらず、建売などを衝動買いする方も多いのですが、家は、一生に一度の高い買い物ですので、問い合わせがたくさんあるとか、早く決めないと売れてしまうとかいう、セールストークに惑わされずに、確認すべきところはしっかり確認した上で、進めていただきたいと思います。

いずれにしても、蒸し暑い日の見学は、家の性能が表れやすく、その後の住み心地の良し悪しがある程度つかめるので、絶好の時期とも言え、出来るだけスッピンの状態で確認したいものです。

ポイントは、まだ日射熱の影響をあまり受けない午前中の見学ではなく、室内が一番暑くなる午後の時間帯の3時以降に見学するのが最適です。

※ 本来ならば、新築住宅でのVOC濃度の測定や気密測定が、当たり前になれば入居後の問題は、大分解消するのですが、法規制もないために分譲住宅では、ほとんど実施していないのが現状です。2つの測定を第3者に依頼しても、おそらくは8万円前後の費用で、正確な検査が可能です。個人的には、自己負担しても実施すべき検査ではないかと感じる今日この頃です。

C値(気密性能)の検査結果

  • C値(気密性能)の検査結果
C値(相当隙間面積)とは、窓を閉めた状態で、家の隙間がどのくらいあるかを表した気密性能を表す数値となり、寒冷地のC値は2.0以下というのがある意味常識です。

そして、人が年齢を重ねるごとに老化するように、建物の気密性能も経年劣化することも、考慮に入れて、弊社では20年以上前から、C値1.0以下を保証した家づくりに取り組んでいます。

C値は、省エネ性はもとより、耐震性や耐久性を含め、家のあらゆる性能のベースとなる重要な性能で、省エネ住宅・ゼロエネルギー住宅・長期優良住宅の要とも言えます。

C値は、住み心地はもちろん、家族が健康に暮らすためにも最も大事なポイントでもあり、気密検査を行い、数値を確認することで、計算どうりの性能が発揮される建物かどうかの大きな判断材料ともなります。

しかし、次世代省エネ基準には明記されていたC値の基準が、2020年に義務化となる改正省エネ基準では、不可解なことにスッポリと削除されてしまい、気密性能を重視する住宅会社は、ごく僅かとなっているのです。

結果的に、ほとんどのユーザーは、知らないまま・知らされないままに家を求めているのが、現状です。

弊社では、ユーザーはもとより、業界の内外にも、今一度、気密の重要性を認識していただくために、今月より定期的に気密性能の公開検査を実施することにしました。

そして、先日、一回目の公開気密検査を実施し、結果は、新築当時と変わらぬ0.31cm/㎡でした。

この数値を簡単に説明すると、モデルハウスの床面積328.6㎡に対し、106c㎡の隙間があるということで、全体でちょうど名刺2枚分位の隙間面積ということです。

ちなみに、C値5.0の場合は名刺で言うと32枚分の隙間があり、C値2.0の場合でも名刺13枚分位の大きさの隙間があるということで、この隙間によって、住み心地や光熱費・家の耐久性に大きな影響を及ぼすのです。

家の通気と隙間による漏気を同じものと、勘違いしている方もいらっしゃいますが、通気と漏気は、似て非なるものということをご理解いただきたいと思います。

あくまで、通気は意図的に行うものであり、漏気は意図せずに空気や水蒸気・熱の移動をもたらしてしまうということです。

尚、 弊社では、新築10年目にも気密測定を実施し、C値1.0以下を保証しています。

次回の公開検査は、6月16日(土)PM3時より実施しますので、ご興味のある方は是非ご参加ください。


家のC値(気密性能)のチェック法

ブログの読者から、家の気密性がいいのか、悪いのかを簡単にチェックする方法はないですか?というメールが届きました。

気密検査を実施すれば、簡単に気密の良し悪しはわかるのですが、そういう答を求めての問合せではないと思いますので、思い付くままにお答えしました。

外との温度差が20℃位ある冬の季節だと、気密の悪い住宅の場合は、部屋を暖房していると暖めれば暖めるほど隙間による換気量(すきま風)が大きくなるので、床と壁の取り合い部や、サッシの下場、コンセントボックスなどに、手をかざすとすきま風を感じるものです。

ただ、温度差が少なくなるこれからの時期は、温度差換気は働きにくくなるので、隙間風をあまり感じません。

そんな時は、レンジフードの換気扇をつけることで、気密の良し悪しがわかります。

レンジフードの排気量は、非常に大きく機種によっても違いますが、強運転で、概ね1時間あたり400から500立米位の排気量があります。

例えば、120平米(36.5坪)の建物の場合の気積は、約300立米ですので、台所の換気を強運転すると、家全体の気積以上の排気量となるわけです。

つまり、それだけの量の空気を排気するには、排気する分の空気を外から導入しなければならないのです。

通常、高気密・高断熱住宅の場合、排気に見合った給気をするために、同時吸排タイプという換気を回すと自動的に給気するタイプのレンジフードをつけるか、排気連動シャッターという、換気をつけると、連動して給気口が開くタイプの商品がセットするのが、ある意味常識ですが、残念ながら、設置率はビックリするほど低いのが現状です。

ようするに、そうした家では、換気をつけると、空気を引っ張る力によって、家の隙間から大量の空気が入ってくるという訳です。

よく、パック式の牛乳やジュースを飲み、中身がなくなると、パックが萎んできますが、これは、パックを吸うとパックの外側から空気を引っ張ろうとする力が働くからで、レンジの排気も同じ理屈で、室内に負圧の力がはたらき、隙間から空気を引っ張るのです。

ただ、厄介なのが、計画換気のために設置している給気口が開いていると、吸気口からも給気されるので、わかりにくい側面があるのです。

同時吸排換気も排気連動シャッターもついていない住宅の場合、換気も自然給気の第3種換気が定番で、こうした家でよく聞かれるのが、冬の冷気の侵入で、不快なばかりか、部屋がなかなか暖まらず暖房費が高くなるということです。

そうすると、ほとんどのユーザーは、吸気口を閉じてしまうのですが、閉じた状態でレンジフードをつけると、家の隙間から外の空気が侵入し、リビングやダイニングなどにいると、隙間風がスースーと入ってきます。

コンセントなどの気密処理が不十分だとコンセントの穴や周辺の隙間からも、風が入るのです。

3種換気の隙間をチェックする場合は、

① 計画換気の給気口を閉じる
② レンジの換気を強運転・中運転・弱運転にしてみる。
③ キッチンに近いダイニングやリビングの床と壁の隅部分やサッシ部・コンセントなどから、空気が入ってこないかチェックする。

こうした形で、チェックすれば、ある程度気密の良し悪しが分かります。ただ手をかざしても、冬は空気が冷たいので、分かりやすいのですが、これからの季節は風量が強くないと分かりづらいので、お線香の煙などを使うとはっきりわかるようになります。

一方、1種換気の場合は、給気も排気も機械式で、それぞれ一定量の空気が出入りする設計なので、換気を止めたりする必要はありません。

※ 同時吸排タイプの換気でも、給気される量は排気量の約50%位ですので、同様の現象が生まれます。

今、説明したのが一つ目の方法ですが、もう一つの方法が、玄関ドアの開閉です。

窓が開いていないか確認の上(開いていたら閉める)

① レンジの換気を強運転・中運転・弱運転にしてみる。
② それぞれの運転時に、玄関ドアを開け閉めしてみる。

先ほど、説明しましたが、レンジの換気を回すと、室内は負圧状態になり、外から空気を引っ張ろうとする力が働くために、家の気密性が高いと玄関ドアの開くときも閉める時も圧力がかかります。

よく、マンションでは、レンジの換気をつけていると玄関が開けづらいというのが、一般的です。

マンションの場合は構造上、気密性が高く、家の隙間は窓などに限定されるために、吸気口を閉じたりしていると開け閉めに圧力がかかるのです。

つまり、レンジの換気をつけると、気密の悪い家は、家の隙間から空気が侵入し、気密が高い家は隙間風が入らない分、玄関ドアの開け閉めに圧力がかかるという訳です。

ご自分の家なら、いろいろ試せそうですが、建売などの物件をチェックする場合は、換気をつけて玄関ドアの開閉をチェックするのが、とりあえずのおススメです。




東北電力管内のオール電化住宅の最適な料金プラン

弊社のお客様の多くは、オール電化を採用しておりますが、料金メニューも様々で、それぞれの暮らしにあった選択が何気に重要です。

オール電化住宅の場合、日中の料金単価の約3分の1というお得な夜間時間帯を賢く利用することで、電気料金が低く抑えられます。

東北電力では、様々な料金メニューがありますが、弊社では主に3つの料金メニューから、どちらかを選択していただいております。

【よりそう+ナイト8】は夜11時から朝7時までの時間帯がお得なプランです。

<日中料金-朝7時から夜11時まで>
〇 最初の90kWhまで1kWhにつき21円69銭
〇 90kWhをこえ230kWhまで1kWhにつき29円58銭
〇 230kWhをこえる分1kWhにつき34円19銭
<夜間料金-夜11時から朝7時までの8時間>
〇 1kWhにつき10円92銭 燃料費

【よりそう+ナイト10】は夜10時から朝8時までの時間帯がお得なプランです。

<日中料金ー朝8時から夜10時までの14時間>
〇最初の80kWhまで1kWhにつき23円57銭
〇80kWhをこえ200kWhまで1kWhにつき32円15銭
〇200kWhをこえる分1kWhにつき37円16銭
<夜間料金-夜10時から朝8時までの10時間>
〇1kWhにつき11円22銭

【よりそう+ナイト12】は夜9時から朝9時までお得なプランです。

<日中料金ー朝9時から夜19時までの12時間>
〇最初の70kWhまで1kWhにつき25円95銭
〇70kWhをこえ170kWhまで1kWhにつき35円40銭
〇170kWhをこえる分1kWhにつき40円92銭
<夜間料金-夜9時から朝9時までの12時間>
〇1kWhにつき11円71銭

この3つの料金プランの基本料金(1944円)や燃料調整費・再エネ賦課金(1KW29円は同じですので、どのプランを選択するかは、それぞれのご家族の家族構成やライフスタイルに合わせての検討が必要となります。

一番に重視したいのが、電気の多く使う時間帯を8時間・10時間・12時間にするかです。夜間料金も日中料金もそれぞれ違うので、迷われる方も多いのですが、プランは1年ごとに変更も可能ですので、私がとりあえずおススメするのは、よりそう+ナイス10で、私の家でもこのプランを採用しています。

以前、オール電化の暖房が、蓄熱暖房機がメインの時代は、夜間料金の一番安いやりくりナイト8が主流でしたが、現在は、蓄暖から効率の高いエアコンがメインとなり、夜間機器といえばエコキュ―ト位ですので、家事を含め、電気消費の多い時間帯を考えた料金プランの設定が必要で、夜間電力の時間帯を中心にした電気使用を心がけることが、料金を抑えるためには重要です。

日中の在室時間・朝晩の食事の時間帯・掃除や洗濯・アイロンなどの家事が集中する時間帯・入浴や就寝時間・子ども部屋の利用時間などお客様の家族構成やライフスタイルに合わせてご提案させていただきますので、何なりと弊社までお問合せ下さい。

電力の自由化によって、新電力会社が大分参入してきましたが、ガスや石油を併用しているユーザーはともかく、オール電化住宅で、新会社に移行すると逆に高くなるケースがほとんどですので、くれぐれもご注意ください。


寝室こそオープン収納

  • 寝室こそオープン収納
だいぶ前から、オープン収納を推奨している私ですが、ようやく世間的にも浸透してきたように思います。

ただ、私が推奨する一番の理由は、クローゼットの扉をなくすことで、洋服などの通気をよくして、水とりぞうさんや防虫剤が必要なくなり、空気を汚さずにすむということなのですが、最近のトレンドは、どちらかというと魅せる収納として採用するケースが多いように思えます。

いずれにしても、扉をつけるよりも、様々なメリットがあるオープン収納ですので、今後定着するようさらにご提案していきたいと思います。

特に、お子さんの部屋や寝室のクローゼットの扉は付けずに、オープンにした方がいいのではないでしょうか。

理由は色々とありますが、

〇 解放感が出て部屋が大きく見える

〇 自然に整理整頓が身に付く

〇 部屋のインテリアとして、洋服や小物を活用できる

〇 コストダウンにもなる(あまり収納パーツにこだわると高くなる場合もある)

〇 開閉音もなくなり、レールの掃除や建具の調整も必要なくなる。

〇 子どもが独立した場合の、お部屋のリノベーションが簡単に出来る。

〇 湿気がよりにくくなり、通気性を持たせることで、カビや衣類害虫の繁殖が抑えられ、防虫剤が必要なくなる。

ざっと挙げるとこんなところですが、偉そうなことを言っている私も、我が家の寝室や子供部屋には、しっかり扉がついており、たまにオープンにして、クロゼット内に通気させています(汗)

正直言って、オープン収納は、整理整頓が苦手なご家庭では、少々難点もありますが、中が気になる方は、ロールスクリーンなどでも、対応出来るので、今ではなくても良かったとプチ後悔している次第です。

外断熱の家では、個室に収納する洋服は、その季節に着る洋服だけにして、その他の季節の洋服は、小屋裏などに吊るしたり、カラーボックスに収納すると、衣替えも簡単に住んで部屋もスッキリ整理できるようになります。

何より、オープン収納にすると、湿気やカビの心配がなくなり、余計な日用品(防虫剤や防カビ剤)の出費もなくなり、アレルギーなどの発症も抑えられます。

ただ、どんな家でもそうなのかと言うと、そうではなく温度差もなく空気のきれいな外断熱の家だからこそ最適で、湿気や結露が発生したり、換気が悪い家では逆効果になる場合があるので注意が必要です。

環境省の調査によると、家庭から排出される化学物質の内、防虫剤に含まれているパラジクロベンゼンが、2番目に多い量だそうで、(1位・3位~5位は合成洗剤)知らず知らずの内に、私達の健康にも、環境にも様々影響を及ぼしています。

一時、防虫剤の臭いが気になるということで、無臭タイプが流通していましたが、最近の香りブームで、ドラッグストアでは、人工的な香料を用いた、香つきの防虫剤が所狭しと並んでいます。

一番、空気を取り入れる睡眠中の空気を良質にするためにもオープン収納を是非ご検討いただきたいと思います。