家のC値(気密性能)のチェック法

ブログの読者から、家の気密性がいいのか、悪いのかを簡単にチェックする方法はないですか?というメールが届きました。

気密検査を実施すれば、簡単に気密の良し悪しはわかるのですが、そういう答を求めての問合せではないと思いますので、思い付くままにお答えしました。

外との温度差が20℃位ある冬の季節だと、気密の悪い住宅の場合は、部屋を暖房していると暖めれば暖めるほど隙間による換気量(すきま風)が大きくなるので、床と壁の取り合い部や、サッシの下場、コンセントボックスなどに、手をかざすとすきま風を感じるものです。

ただ、温度差が少なくなるこれからの時期は、温度差換気は働きにくくなるので、隙間風をあまり感じません。

そんな時は、レンジフードの換気扇をつけることで、気密の良し悪しがわかります。

レンジフードの排気量は、非常に大きく機種によっても違いますが、強運転で、概ね1時間あたり400から500立米位の排気量があります。

例えば、120平米(36.5坪)の建物の場合の気積は、約300立米ですので、台所の換気を強運転すると、家全体の気積以上の排気量となるわけです。

つまり、それだけの量の空気を排気するには、排気する分の空気を外から導入しなければならないのです。

通常、高気密・高断熱住宅の場合、排気に見合った給気をするために、同時吸排タイプという換気を回すと自動的に給気するタイプのレンジフードをつけるか、排気連動シャッターという、換気をつけると、連動して給気口が開くタイプの商品がセットするのが、ある意味常識ですが、残念ながら、設置率はビックリするほど低いのが現状です。

ようするに、そうした家では、換気をつけると、空気を引っ張る力によって、家の隙間から大量の空気が入ってくるという訳です。

よく、パック式の牛乳やジュースを飲み、中身がなくなると、パックが萎んできますが、これは、パックを吸うとパックの外側から空気を引っ張ろうとする力が働くからで、レンジの排気も同じ理屈で、室内に負圧の力がはたらき、隙間から空気を引っ張るのです。

ただ、厄介なのが、計画換気のために設置している給気口が開いていると、吸気口からも給気されるので、わかりにくい側面があるのです。

同時吸排換気も排気連動シャッターもついていない住宅の場合、換気も自然給気の第3種換気が定番で、こうした家でよく聞かれるのが、冬の冷気の侵入で、不快なばかりか、部屋がなかなか暖まらず暖房費が高くなるということです。

そうすると、ほとんどのユーザーは、吸気口を閉じてしまうのですが、閉じた状態でレンジフードをつけると、家の隙間から外の空気が侵入し、リビングやダイニングなどにいると、隙間風がスースーと入ってきます。

コンセントなどの気密処理が不十分だとコンセントの穴や周辺の隙間からも、風が入るのです。

3種換気の隙間をチェックする場合は、

① 計画換気の給気口を閉じる
② レンジの換気を強運転・中運転・弱運転にしてみる。
③ キッチンに近いダイニングやリビングの床と壁の隅部分やサッシ部・コンセントなどから、空気が入ってこないかチェックする。

こうした形で、チェックすれば、ある程度気密の良し悪しが分かります。ただ手をかざしても、冬は空気が冷たいので、分かりやすいのですが、これからの季節は風量が強くないと分かりづらいので、お線香の煙などを使うとはっきりわかるようになります。

一方、1種換気の場合は、給気も排気も機械式で、それぞれ一定量の空気が出入りする設計なので、換気を止めたりする必要はありません。

※ 同時吸排タイプの換気でも、給気される量は排気量の約50%位ですので、同様の現象が生まれます。

今、説明したのが一つ目の方法ですが、もう一つの方法が、玄関ドアの開閉です。

窓が開いていないか確認の上(開いていたら閉める)

① レンジの換気を強運転・中運転・弱運転にしてみる。
② それぞれの運転時に、玄関ドアを開け閉めしてみる。

先ほど、説明しましたが、レンジの換気を回すと、室内は負圧状態になり、外から空気を引っ張ろうとする力が働くために、家の気密性が高いと玄関ドアの開くときも閉める時も圧力がかかります。

よく、マンションでは、レンジの換気をつけていると玄関が開けづらいというのが、一般的です。

マンションの場合は構造上、気密性が高く、家の隙間は窓などに限定されるために、吸気口を閉じたりしていると開け閉めに圧力がかかるのです。

つまり、レンジの換気をつけると、気密の悪い家は、家の隙間から空気が侵入し、気密が高い家は隙間風が入らない分、玄関ドアの開け閉めに圧力がかかるという訳です。

ご自分の家なら、いろいろ試せそうですが、建売などの物件をチェックする場合は、換気をつけて玄関ドアの開閉をチェックするのが、とりあえずのおススメです。




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