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吹き抜けに合った家の性能と暮らし方

住まいに広がりや開放感を求め、吹き抜けを希望するお客様は、結構多くいらっしゃいます。







しかし、吹き抜けには、開放感などのメリットがある一方で、デメリットもあり、吹き抜けに適した暮らし方も必要だということを理解した上での検討が必要です。

外断熱の家では、小さなエネルギーで家全体を暖かくしたり、爽やかな環境をつくる上で、吹き抜けは非常に有効な手段でもあります。

断熱性能が低い家の場合、いくら暖めても壁や屋根からの熱損失が大きく、なかなか暖まらないばかりか、暖房費の負担も大きくなりますが、外断熱の家では、熱損失を抑えることで、逆に熱の蓄積が図られ家を万遍なく暖める上でも有効になるのです。






そして、外断熱のもつ熱容量の大きさによって、暖まるまで時間はかかるものの、一度暖まればなかなか冷めにくいという特性も発揮されるので、低めの設定温度で快適な室内環境を実現します。

しかし、こうした快適な環境を保つために必需なのが暖房の連続運転となります。(柱の芯まで暖まってこそ外断熱の輻射熱効果が発揮されます)

夜間や不在時に暖房を消したり、2階は無暖房だったりすると、1階も2階も室温は低下し、温度差による空気の対流が起きて冷たい空気が逆流し寒さを感じることになります。

そして、外断熱ゆえのなかなか暖まらないという側面もあり、温度設定も高めとなってしまい、暖房の運転音や風も気になり大きなストレスを感じてしまうのです。



折からの電気料金の値上げにより、光熱費も気になるところではございますが、暖房をエアコンと仮定して、1F(4KW)・2F(2.8KW)の温度設定を20℃に設定した場合ですと、1月2月といった真冬でも月15,000円から多くても月18,000円位の暖房費で、吹き抜けを活かした全館暖房は可能となります。

※ 熱効率のよいプランと上手なエアコンの使い方を工夫して頂けると、外断熱の輻射熱効果によって、さらに光熱費の削減は可能です。

率直に言わせていただければ、この暖房費を無駄とか高いと考え、間欠暖房をなさる方は、後々後悔する可能性が高く、吹き抜けはお止めになった方が賢明かと思います。

効率的な冷暖房効率を図る為に、シーリングファンなどを設置するケースもありますが、連続運転で温度差がない場合は有効ですが、間欠暖房で温度差がある場合には、ほとんど効果はありませんし、逆効果になる場合もあるのです。

こうした問題は、冬に限った問題ではあるのですが、宮城での暮らしを考えれば、11月から4月くらいまでは、多少なりとも関係してくる問題ですので、十分考慮しなければならないのです。

また、暑い夏においても、日射による熱の侵入や太陽光による眩しさにも注意が必要です。吹き抜けを設置する場合、2F部分に大きな窓をとったり、トップライトを設けたりするケースが多くなります。

割合的には、心地よく感じる時期の方が多いのですが、暑い夏においては、日射による暑さや眩しさが結構やっかいに感じる場合もありますので、ブラインドやロールカーテンなど、事前に日射遮蔽の対策が必要です。(南面を避けて北面に設置するのも効果的です)

また、上下間の生活音の問題やガラスや吹き抜け部の清掃・照明器具の交換なども十分考慮の上、吹き抜けをご検討下さい。

※ 外断熱の家で吹き抜けを設置した場合、冷たい空気は下へ降りるので、暑い夏でも2Fホールなどに設置したエアコン1台で、十分な爽やかさを味わうことができますが、1Fのエアコンだけを使うと暑い空気が上昇し、2Fや小屋裏部が暑く感じる様になりますのでにご注意ください。


床下や壁の中のカビでシックハウスが急増

カビがもたらす健康への影響について、度々お伝えしていますが、先日、業界関係者がよくみる日経XTECHというサイトでも注意喚起の記事が紹介されていました。

詳しくはこちらサイトをご覧いただきたいのですが、新築後、間もなくカビが発生して、アレルギーを発症してしまう方が増加しているようで、裁判になっているケースもあるようです。

しかし、壁体内のカビは、住まい方にも問題があり、家のつくりだけでは解消できないのも現実で、湿度が高くなる6月から8月にかけて、床下や壁体内にカビを生やさないようにするのは、非常に困難でもあるのです。

床下や壁の中の湿気や結露を防ぎ、カビの発生を抑えるには、

〇 外の水蒸気を壁体内に入れない。
〇 室内の湿度を60%前後にコントロールする。(60%以内にしていると温度の低い床下の湿度も70%台に収まりカビはそうそう生えません。
〇 室内をあまり冷やさない。(25℃以下にすると壁体内に逆転結露が簡単に発生します。)

この3点が何より重要ですが、床下や壁の中に断熱材を充填し、基礎パッキンなどで常時床下に湿気が侵入する住宅では、外の水蒸気は壁体内に侵入し、結露するケースが頻繁に生じてしまうのです。

壁体内の結露やカビの発生を抑えるには、基礎も躯体も外断熱にして、壁体内に通気性を持たせるのと同時に、室内の湿度を60%以内に抑え、27℃~28℃でも十分爽やかになる外断熱の家にするのが、最良の方法だということをご理解いただきたいと思います。

詳しく知りたいという方は、以前紹介したこちらの記事をご覧ください。

床下のカビは、目に見えないだけになかなか分かりませんが、大なり小なりどんな家でも見られる現象で、家の中のカビをいくら除去しても、カビ臭いのは壁体内のカビが大きな原因です。

そして、このカビ臭さを消すために、消臭剤や芳香剤を多用し、化学物質過敏症を発症してしまう方も急増していますので、くれぐれもご注意ください。

最後に床下のカビ画像も添付しておきます。





太陽光の災害時の活用法をマスターしておきましょう。

  • 太陽光の災害時の活用法をマスターしておきましょう。
停電時にも、日中であれば、1500Wまでの自家使用が可能な太陽光ですが、非常時に使い方がわからずに使えない方も少なくないようです。

引き渡し時には、一通り説明はしているのですが、何年もたつと忘れてしまうケースが多いようです。

非常時なだけに、メーカーはもとより、工務店にも連絡が取れない場合などもあるので、慌てないように、取説などを確認して、しっかり使い方をマスターしておきましょう。

自立コンセントの場所によっては、延長コードがないと十分に使えない場合もありますので、ご家庭に合わせて、延長コードなどの準備もお忘れなき様お願いいたします。

節約や我慢が招く負の連鎖

  • 節約や我慢が招く負の連鎖
皆さんのご家庭の光熱費は、年間どれくらいでしょう。

画像は、23年に総務省が公表した3人以上の家庭の光熱費の平均ですが、東北地方の平均は、電気・ガス・灯油を併用しているご家庭では、年間で平均247,000円となっています。

その後のデータは、なかなか見つけられないのですが、震災以降、電気・ガス・灯油全てが25%程上昇しており、同じ使用量であれば、おそらく現在の平均は、年間30万程度になっていると言われています。

しかも、多くのご家庭では、年間25万~30万円の光熱費を費やしながらも、寒さや暑さ・湿気・結露の問題や不快な温度差などのストレスや大きな不満をかかえながら生活しているのが現状ではないでしょうか。

しかし、今後も、エネルギー価格や再エネ賦課金のさらなる上昇は必至で、炭素税や原発廃炉費用の国民負担等も考慮すると、近い将来、大きな負担を強いられるということもリアルに考えなければなりません。

住宅業界では、現在ZEH(ゼロエネルギーハウス)を軸にした営業展開を推進していますが、設備はともかく、ベースとなる家の気密や断熱性能が不十分な家も多く、いくら省エネ設備や創エネ設備を導入しても、結局は、エネルギーを浪費してしまい、節約意識がはたらき、我慢やストレスを強いられる生活を余儀なくされるという認識も必要です。

そして、我慢すればするほど、従来の局所暖房の生活になってしまい、家の温度差による、湿気や結露・カビやダニなどの問題は解消されずに、住む人と建物の健康を脅かしてしまうから厄介なのです。

弊社の外断熱の家にお住いのご家庭の平均光熱費は、約18,000円前後であり、中には15,000円以下で、寒さ暑さを感じず快適に暮らしているお客様も多くいらっしゃいます。

小さいエネルギーで、室内の空気質(清浄さ・温度・湿度)を整えた、空気のバリアフリーの家にすることこそが、真の省エネ住宅であり、賢い節約つまり賢約とも言えるのではないでしょうか。

太陽光を搭載する場合でも、㎡あたり0.4KW~0.5KWで十分にゼロエネになり、しかも、家中の温度差も少なく、きれいな空気に満たされた快適な暮らしと人と建物の健康をいつまでも守り、50年後も価値ある住まいが実現するのです。

今後、住まいの光熱費は、生きている限り続く、生涯コストという考え方が必要で、家の資産価値を左右する重要な要素となる時代になってきました。

車の燃費同様、家の燃費を重視した家づくりを進めていただきたいと思います。


換気システムの違いを理解する

  • 換気システムの違いを理解する
2003年に施行されたシックハウス対策法によって、換気設置が義務化となり、15年を経過しました。

しかし、設置は義務化でも、使用は個人の自由ということもあり、24時間換気システムというのに、間欠運転しているユーザーも少なくありません。

上記の画像は、換気方式の導入割合を示したグラフですが、相変わらず第3種換気(自然給気・機械排気)のシェアが高くなっており、第1種の熱交換換気(機械給気・機械排気)の普及率は30%にも満たないというのが現状です。



3種換気の割合が高い最大の要因は、何といっても導入コストで、義務化になったからとりあえずつけるという造り手が、未だに多いのです。

そして、ユーザー側も、換気といえば、これまでは、レンジやトイレ・浴室にしかなかったこともあり、室内空気の重要性や計画換気への理解が不十分なのも要因の一つで、進められるままに3種を設置させられているケースが多いのです。

一方で、換気が正常に機能していれば、不要ともいえる、消臭剤や芳香剤をはじめ、加湿機や除湿機・空気清浄器などの空気関連の市場は拡大しているから不思議なものです。

3種換気を勧めるメーカーは、メンテナンスが大変とか、ダクトにカビが生えるだとか、電気代がかかるとか、費用が無駄だとか、あれこれ理由をつけて3種換気にしてしまうのが通例で、ローコスト住宅や建売ではほとんど3種換気で、ノンダクトも多く、1種の熱交換にして下さいと言えば必ず多額の追加費用が発生します。

大手のハウスメーカーのモデルハウスでも、1種換気を設置しておきながら、実際に販売する住宅は、3種換気を標準にして、1種の熱交換換気はオプションというメーカーが、まだ多いのが現状で、ユーザーの換気に対しての考え方や予算に合わせて、勧める換気を変えているのです。



そうして、勧められるがままに3種換気を採用したユーザーのほとんどは、上記のように、住んだ後に、大きな不満を抱くようになります。

3種換気は、吸気口のために壁に穴を開けるため、冷たい空気も熱い空気も湿気の多い空気も、そのまま室内に導入するので、温度差のある冬や夏場は、室内への影響が大きいものになります。

その結果、給気口を閉じたり、排気側の電源をオフにしたりして、空気が汚れ、臭いがこもったり、結露の発生など様々な問題が生じてしまうのです。

さらに、場合によっては、寒さを解消するために、燃焼ガスと大量の水蒸気を発生させる石油ファンヒーターを使う方もいるようで、益々空気が汚れ、結露も発生しやすくなるという悪循環を招いてしまうのです。

3種換気を標準にしているメーカーの多くは、気密や断熱も不十分なケースが多く、エアコンではなかなか暖まらず、吹き出し口からの風が不快に感じ光熱費も嵩みます。

ご存知のように、結露は、日々の掃除も大変で、カビやダニの温床になりやすく、健康を害したり、臭いを消すために、消臭剤や芳香剤が必要となり、クロゼットにも防虫剤を使うなど、アレルギーやシックハウス・などの原因にもなります。

弊社のお客様で、消臭剤や芳香剤を多用している方はいらっしゃらず、拙宅でも飲み会などで、タバコや焼き肉などの臭いのついた洋服に使用するために、玄関にファブリーズは置いてありますが、ほとんど使わず、トイレにも芳香剤はありません。

特に最近では、洗濯物を家干しする方も多く、生乾きのイヤな臭いを軽減するために、香りの強い柔軟剤を使う方が増えていますが、柔軟剤に含まれる有害物質によってご家族や周囲の人にも影響を与え、香害として、大きな社会問題にもなってきており、建材の化学物質より、これら室内に充満する化学物質によって、シックハウスを引き起こし、やがては化学物質過敏症を発症させるとの話も良く聞かれます。

実際、弊社でも、20年ほど前までは、1種換気と3種換気を併用していた時期がありましたが、お客様からの不満も多く、APなどの物件を除き、一種換気に全て切り替えました。

3種換気は、関東以南の地域であれば、さほど問題にはなりませんが、宮城のような寒冷地では、後々、寒さによって様々な問題が発生するのは間違いなく、熱交換機能のついた1種換気が必須なのです。

掃除が面倒という方も中にはおりますが、何か所も給気口のある3種換気の方が逆に大変ともいえるのです。

フィルターのメンテナンスは、常に綺麗な空気の中で健康に暮らすためには必要な作業となります。

汚れの程度にもよりますが、3、4ヵ月に1回、僅かな時間で作業が済みますので、お忘れなき様お願いいたします。


電気代は、月1,000円程度かかりますが、不安定な窓開け換気に頼ることなく、大事な空気の守り役としての役目を果たしてくれることを考えれば、安い位だと思います。



人間が摂取する物質の中の重量比を比較すると、室内の空気の比重が一番大きく、一人があたりの必要な空気量は、二酸化炭素の濃度が基準にし、、健康に害を及ぼさないとされる濃度1000PPM以内にするには、1時間あたり約30立米の換気量が必要とされ、室内の空気が2時間に1回の換気量が求められています。



モデルハウスでは、空気の汚れや換気が正常に働いているかの確認も兼ね、二酸化炭素の濃度計も設置しております。

また、最近では、コストを抑え、寒さのクレームを解消するために、1種換気のノンダクト式換気を勧めるメーカーもあります。

そうしたメーカーは、結局は、導入コストや工期・施工の面倒さを敬遠するために、穴を開けて配線するだけで済むノンダクトを勧めるだけであって、メンテナンスを考えれば、何台も設置しなければならず逆に面倒といえます。

1台で時間当たり50立米もの負荷がかかることで、音や換気効率からいっても、後々問題が生じ、オフにしたり、弱運転にしなければならないことを理解しなければなりません。

そして、あえて付け加えさせていただければ、こうしたメーカーの多くは、室内空気には基本的に無頓着で、換気を正常に働かすための気密の重要性すら、ほとんど認識していないのも現実です。



上記のグラフの通り、気密が1.0を超えると、漏気量が一気に増加し、換気を作動しても、周囲の隙間から空気を呼び込むだけで、リビングや寝室などの空気は滞留してしまい上手く換気されないのです。

つまり、排気口付近の隙間から、外の空気を引っ張って、また外に排出する形になるので、室内の空気は汚れたままになってしまうのです。

弊社では、換気が義務化となる20年も前から、1種換気を標準にし、これまで1000棟以上に1種換気を設置しておりますが、皆さんが空気環境の良さに満足され、ダクト内のカビなどの問題は発生しておらず、未だに交換したケースもありません。

24時間換気はその名のとおり、連続運転が基本となり、空気が正常に機能し、室内に気流があれば、梅雨時の除湿を心がければ、カビなどの心配はありません。

そして、換気の給気口を壁に設置した場合、居室や間仕切りの多い家では、換気のショートカット(経路の乱れ)を引き起こし、建物の隅々まで換気するのは、非常に困難となり、はっきり言って、臭いのこもりやすい家になってしまうのです。



上記のグラフは、日本で一番断熱が進んでいる北海道のリフォームセンターのものですが、一般的に優秀とされるC値1.0でも、給気口からの給気量は、僅か50%しかないとされており、計画どうりの換気性能を発揮する気密性能を0.5以下にしなければならないというのが、ある意味常識とも言えます。

しかしながえら、気密の基準が無くなった現状の中、3種換気やノンダクトを採用しているメーカーで、全棟気密検査を実施し、C値0.5以下の気密施工するメーカーはほぼないのです。

気密が悪いということは、穴の開いたストローで、なかなか上手く吸えないのと同じです。

もちろん、弊社の家は、平均0.5というC値ですので安心ですが、空気の淀みをなくし、家の隅々まで換気するには、換気経路を考慮したプランニングも必要になります。

それぞれの建物に合わせ、適切な換気設計にもとづき、高い気密性能と確実な断熱工事を実施し、メンテナンスを行えば、冒頭に紹介したご不満のほとんどは解消するということをご理解いただきたいと思います。