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怒れる年寄りたち 3.既得権と平等の権利
法務局に行かなければならない用事があって、武蔵境駅から調布駅行へのバスに乗った。
車内奥に進んで、出口から2列目の2人掛席のひとつが空いていたので、「失礼します」と声をかけてその席に座った。
しばらく、バスの動きといっしょに揺れているうちに、わたしは隣のひとの肩が意志的にわたしを押しているように思えてきた。何か不自然な力を感じるのだった。どうなのだろうと隣を見てみると、もう70歳は過ぎているだろう、色黒な皺の深い老人の顔が無表情に前を見ていた。そしてそれから、押してくる力はますますあからさまなものになった。
わたしは格別大きな体でもないのに、こんなに邪魔にされてはヤレヤレ困ったなと思っていたが、バス停を2つ過ぎたところで最後列の座席が空いたので、そこに移った。
駐車したバス停から新しく乗り込んできた人たちが奥に進んできた。先頭の男性はわたしを2人掛席から排斥した人と、同年輩に見えた。そしてわたしが空けた座席をみつけると、ヨッコイショという掛け声をかけてその席に腰を下ろした。
係争はバスが発車して間もなくから始まった。
わたしが空けた席に座った老人が、隣を睨むように見ていた。やはり悪意の圧力を感じ取ったことを、わたしは知った。
それから、がっぷり四つの無言の力比べの押合いのような状態が、しばら続いた。しかし座席に対する先行受益者=既得権者の老人の体勢が不利になるに及んで、陣営を立て直すべく、人目も有らばこそに押し返したとき、冷戦は熱戦に変わった。
「座る権利の半分はオレにもあるんだ」座席に対する後発受益者の老人が怒鳴った。異変を感じ取っていた周辺から、それは乗客全員の注目を浴びる紛争となった。
そして老人同士の赤カテ白カテの押合い競技は、優劣を交換しながら延々、平等の権利を主張する老人がバスを降りるまで続いたのであった。
わたしたち乗客は、見て見ぬふりという使い慣れた擬態をきめこんで、笑えるが醜い、既得権と平等の権利のバランスの実地訓練を、同行30分ずっと見ていた
2007.03.01:
higetono
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