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『ねむれよいこよ』という記事で、ダックスフンドのももこは奥方と、ヨーキーのななこはわたしと一緒に寝ている、と書いたことがあったが、近頃すこし様子が違う。

夜、もう寝ようということになって、寝室のある2階にワン娘たちを連れて行くと、ももこもななこも、一旦はサッサと奥方のベッドに行ってしまう。
わたしが自分の部屋で、寝に着く前のメールチェックをして、寝ながら読む本を決め、部屋の明かりを枕もとのスタンドに変えると、それを待ち構えていてトコトコやって来るのは、ももこなのである。昨年、夏の頃はこうではなくて、ヨーキーのななこがわたしの腕に絡まって寝ていたが、秋が過ぎて冬になって、気がついてみると、何故かななことももこが入れ替わっていた。

ももこもとても寝つきが良くて、わたしの右腕を枕にすると、フンーとため息をついたすぐ後から、寝息をたて始める。
ワン娘のリズミカルな寝息という、特製睡眠薬の効き目はすばやくて、寄り添って寝ていて、わたしは長く目覚めていられたことがない。本などいくらも読まないうちに、枕もとのスタンドのスイッチを切って、わたしも眠りの中に沈没する。

一晩明けて朝、わたしを起こしに来るのはななこである。朝の5時半から6時くらいになると、ななこはオシッコをしたくなって、トイレシートを設置している部屋で用を済ませてから、はしゃいだ足取りでやって来る。わたしの口元や額や喉を舐めたり、やや過剰な朝の挨拶をする。わかったわかった、もう少し一緒にねんねしよう、と掛け布団を開けてやると、そこにももこはいなくて、ななこがスルリと潜り込んで、すぐわたしの脇で朝寝の体勢になる。

今では、夜、寝入りの時のももこと、朝、目覚めの時のななこの、二匹の入れ替わりにも慣れてしまったが、寝たときには脇にももこがいた筈なのに、何時奥方とななこの方に行ってしまったのだろう。どういうワン娘の習性と気持ちでそうしてるのだろう、と、朝方不思議に思ったことがあったのは、やはりこの冬の初めの頃のことだった。

或るときわたしは、ミニチュアダックスフンドのももこが、1階のガラス戸の内から、暮れなずんできた我が家の庭にじっと注意をそそいで、頼まれもしない番犬の役割を、自分なりに、生真面目な面持ちでやっているのを見て、ちょっと妙なことを考えてしまったことがあった。
きっとももちゃんは、誰にも気付かれないように夜なべをして、わたしに寄り添ってわたしを眠らせ、奥方に寄り添って奥方を眠らせ、そして、ななこに寄り添ってななこを眠らせ、ひとりで苦労性な、みんなのお母さん役をやっているのかもしれないな、チビッコのくせに、と。


2008.03.03:higetono:count(1,406):[メモ/わんこ]
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