269 『江戸の笑い話』

  • 269 『江戸の笑い話』

高野 澄 :編訳  (人文書院  1995年1月30日発行)

 

江戸時代に出回っていた笑い話を集めたものを、現代語に訳して、編集したというこの本、細切れの時間で読むのにちょうどよい本でした。

 

庶民の生活の中で、ちょっと艶っぽい、ナンセンスであったり、グロっぽいのもありで、たわいのない話と言えばそれまでなのですが。

笑える話、ありましたよ。

 

『出発』

雷と月と日がいっしょに旅に出た。

宿屋にとまった翌朝、雷が目をさましたら月と日の姿がみえない。

女中にきくと、月と日はそろって出発したという。

「なるほど、月日の発つのははやいものだ!」

 

 

『お虫さま御一行』

虫の大旅行団。

宿屋に泊り、翌朝出発のとき、ゲジゲジがなかなか出てこない。

「オーイ、どうした?」

「いや、どうも。草鞋を履くのに手間がかかって・・・」

 

 

『その気』

腰元が奥さまにおねがいしている。

「奥さま。明日のご参詣に、お供させてください」

「明日は、人ごみがひどいからネ、若い人は、なりません」

「でも、行きたいのです」

「では、ここへお出で」

腰元の尻をつねったり、袖の下に手を入れて乳を撫でたりして、

「サア、これで、参詣の気分になったろう」

 

 

お寺や坊さんをネタにしたものも相当多く出てきますよ。

 

 

『大黒』

寺に立派な大黒があると聞いた檀家の者、

「ぜひ拝見を・・・」

「とんでもない。それは先代の住職のときのこと、いまはありませぬ」

「わしは長いあいだの檀家じゃ。決して他へは話さぬ」

「それほどに申されるならば・・・」

奥から美女を一人、つれてきた。

「いや、それではなくて、本当の大黒さまを」

「ははは、なにもかもご存じですな」

もう一人、まるで天人みたいな美女をつれてきた。

 

 

 

 

 

 

2014.08.02:dentakuji:[お寺の本棚]

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