21世紀 論点シリーズ
長野県小谷村村長 郷津久男:著 (小学館文庫 1999年10月1日発行)
平成7年(1995年)7月11日に、長野県の北西部 二千メートル級の高い山々の間に位置する小谷村が集中豪雨による大規模な河川の氾濫と土砂崩れで、壊滅的な被害を被った。
当時の村長 郷津氏が数年後にその時の状況や、その後について、また過疎村のあり方について思いを語っている。
この災害では、インフラが壊滅的な被害を受けたにもかかわらず、人命は守られた。しかし、翌年の冬に復旧工事現場で土石流災害によって、十四名の生命が奪われている。
ここ数年、東日本大震災を含め、日本国内でも集中豪雨や竜巻など自然災害が発生し大きな被害が出て多くの人命が奪われている。
今年は伊豆大島で集中豪雨による土石流で犠牲者や行方不明者が多数出てしまった。
以前この本を買って読んでいたことを思い出して、再度読み返してみたくなった。
小谷村は現在も自治体として、人口は3100人ぐらいの小さな村として存在している。
平成の大合併といわれている、平成17年に、東北近辺、山形県でもそうとう合併が進んだ。
この村は、逆に言えばどこと合併するのも難しいようなたいへんな地勢にあるのかもしれない。
実際、経済圏や生活圏はお隣新潟県の糸魚川市の方を向いているということからもうかがえる。
雪と緑と温泉の小谷なのである。
2000メートル級の山々の急な谷の間に存在する、豪雪でそのほとんどが森林で平坦地のない僻地、ということなのだ。
村に人が住めるように維持し、交通などのインフラを整備しするにはたいへんなお金がかかる。
何もなくてもそれだけかかるのに、土石流災害によって復旧し、それまで以上かかるのだ。
実際に、村には外部から「なんでそんな所に住んでいるのか」「お金の無駄遣いだ」「集団で移転したほうがよいだろう」という声がぶつけられている。
それと、同じようなことを言われたことがある。
限界集落というような言われ方をする、山間の集落の除雪や土木に関わるお願をしたところ、「みな集団で引っ越した方が良いのになぁ」と。
これは、行政の側の本音であろう。
「なぜこんな不便なところに住んでいるのですか?」
過疎の村に、防災と生活を守るために厖大なお金を注ぎ込むことは無駄遣いなのか・・・。
なぜ、津波が来る所に住んでいるのか?
なぜ、雪で家がつぶれるような寒い所に住んでいるのですか?
なぜ、火山がいつ爆発するかわからないようなところにすむのですか・
なぜ、毎年台風が来るようなところに住んでいるのですか
なぜ・・・
この本を読んで考えてしまっている。
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