知的に生きるヒント
宮脇 檀:著 (PHP研究所 1998年1月発行)
建築家であり、数多くのエッセイを残している著者。
この本が発行された年に、62歳で亡くなっている。
暮すこと、暮しを楽しむことをやさしい語り口で教えてくれる。
旨いものを食べる → 食の修行(美味しいお店を見つける) → 食事を作ってみる
というように、楽しみを進み広げてゆく。ただの美食家ではない。
そして、家の中のこと、台所について考察を進める。
建築家だから、と言ってしまえばそれまでなのだが、本人が暮しを愉しむという姿を感じられ、それが建築に生かされるのだろう。
「ホテルに学ぶ」という、ホテルについて言及している章がある。
どんなレベルのホテルであれ、その作りを見て、ちょっと調べて考えてみると、そのホテルが(経営者が)どんな思いを持っているのかわかるという。
いかにも建築家らしく、泊まることになったホテル(の部屋)をいちいちメジャーを持って測ってみるのだという。
その姿を思い浮かべると可笑しい。
部屋のドアを開けて、どこにどう照明のスイッチがあり、洋服ダンスがどっちについていて・・・、というふうに観察と考察はとまらない。
そうすると、客をどのように大切にしているのか、何も考えていないのか解ってしまう。
だからと言って悪口を言うわけでもなく、こういうことなのさ、という感じでさらりと語る。
専門家は怖いですね。
怖いけど面白い!
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