(196)『男の生活の愉しみ』

  • (196)『男の生活の愉しみ』
知的に生きるヒント

宮脇 檀:著 (PHP研究所  1998年1月発行)  


建築家であり、数多くのエッセイを残している著者。
この本が発行された年に、62歳で亡くなっている。

暮すこと、暮しを楽しむことをやさしい語り口で教えてくれる。

旨いものを食べる → 食の修行(美味しいお店を見つける) → 食事を作ってみる

というように、楽しみを進み広げてゆく。ただの美食家ではない。
そして、家の中のこと、台所について考察を進める。

建築家だから、と言ってしまえばそれまでなのだが、本人が暮しを愉しむという姿を感じられ、それが建築に生かされるのだろう。

「ホテルに学ぶ」という、ホテルについて言及している章がある。

どんなレベルのホテルであれ、その作りを見て、ちょっと調べて考えてみると、そのホテルが(経営者が)どんな思いを持っているのかわかるという。
いかにも建築家らしく、泊まることになったホテル(の部屋)をいちいちメジャーを持って測ってみるのだという。
その姿を思い浮かべると可笑しい。

部屋のドアを開けて、どこにどう照明のスイッチがあり、洋服ダンスがどっちについていて・・・、というふうに観察と考察はとまらない。
そうすると、客をどのように大切にしているのか、何も考えていないのか解ってしまう。
だからと言って悪口を言うわけでもなく、こういうことなのさ、という感じでさらりと語る。
専門家は怖いですね。

怖いけど面白い!
2012.12.25:dentakuji:[お寺の本棚]

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