(194)『米原万里の「愛の法則」』

  • (194)『米原万里の「愛の法則」』
米原万里:著 (集英社新書  2007年8月発行)

 じつを言うと、一人の女性に結婚をちょっとけしかけてみようと思い、読んだ中身を紹介してみた本なので、(もちろん、自分の妻にではありません)この本を手にするたびに、そのことを思い出すんですね。
 結果的に、その女性は、その後知り合った男性と約8ヶ月後に結婚した。
 まさかこの本を紹介したせいではあるまいと思いながらも、何かの縁はあるかもしれぬと、ひとりちっちゃな喜びを感じてはいるのであります。

 この本は、米原万里の講演をまとめたもので、四つの講演がそれぞれべつな対象に向けてなされたもので、それぞれ相当面白いものである。
 そして、その一つの「愛の法則」という章の講演会は2005年6月下旬に、石川県立金沢二水高等学校において、新聞社と財団の主催で「高校生のための文化講演会」として行われたもの。
 驚くべきは、一つは著者が病気のため亡くなる一年足らず前になされた講演であり、対象である聴衆が高校生であることなのだ。

 私が本を紹介した時引用した文の一つは次の文である。

「・・・私はあらゆる男を三種類に分けています。皆さんもたぶん、絶対そうだと思います。第一のAのカテゴリー。ぜひ寝てみたい男。第二のBはまあ、寝てもいいかなってタイプ。そして第三のC、絶対寝たくない男。金をもらっても嫌だ。絶対嫌だ(笑)。皆さん、笑ったけど、ほんとうはそうでしょう。大体みんな、お見合いの時って、それを考えるんですね。・・・」

 というような話なのである。おそらく対象は女子であったと思われます。亡くなるたった一年前に、こんなあけすけで艶っぽくて面白い話しをしていたのですからね。

 私が言うのもなんですが、作家として、エッセイストとして、講演者として、じつに惜しい才能を50代半ばという歳で失ったものです。
2012.12.18:dentakuji:[お寺の本棚]

この記事へのコメントはこちら

以下のフォームよりコメントを投稿下さい。
※このコメントを編集・削除するためのパスワードです。
※半角英数字4文字で入力して下さい。記号は使用できません。