齋藤 孝 (文春文庫 2007年)
この本を買った時は、励まされたかったのか励ましたかったのか、忘れてしまった。
この種の本を買う時は、どちらかの気持ちになっているのではないかなぁと思う。
2~3年の間、本棚に積まれたままでいた。
ふと手に取ったのは、なんとなく励まされてみたかったからかな。
「元気が出ない時に この一冊」
元気溌剌!
ファイト、いっぱぁつ!!
と、その手の飲料を飲むような気持であるかな。
けれども、そんなにかんたんに効果ありというわけにはいかない。
それなりに、なるほどと思わせられるのだけれど、解説がついている分その言葉の前後や背景を知ると、かえってちょっと違うような感がする。
その中にあって岡本太郎の言葉。
「あれかこれかとなったマイナスを選ぶんだ」これは、経験的にその方が後々自分にためになっているように思う。ただし、これは個人的なこと。
団体にあっては必ずしも当てはまらないように思う。
それから松下幸之助の言葉。
「まず汗を出せ、汗の中から知恵を出せ」
これも共感できる。
私にとって、励ましとはニュアンスが違うけれど、心に残っている言葉がある。
祖父が、子どもの私に時々語っていた言葉だ。
「だいたい、人間は糞尿袋っていうもんだ」
あまり品がよくない言葉だけれどね。
どんなに着飾っても、富を得ても、地位があっても、食べて寝て排泄する生き物なんだということで、虚飾の虚しさを伝えようとしているらしかった。それと同時に、人には平に接しなければいけないということを話していた。
子ども心に聴いていたことなのだが、この言葉が、いざとなった時(といううよりどんなにみじめな状況に陥っても^^)に思い浮かべて乗り切ってきたように思うのだ。
人の美醜や表面に惑わされるなということだ。
この本を読んで、祖父の言葉を思い出してちょっと元気が出てきた。
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