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(197)『野球力』

  • (197)『野球力』
ストップウォッチで判る「伸びる人材」

小関順二:著 (講談社+α新書  2006年2月発行)
2012.12.31:dentakuji:コメント(0):[お寺の本棚]

(196)『男の生活の愉しみ』

  • (196)『男の生活の愉しみ』
知的に生きるヒント

宮脇 檀:著 (PHP研究所  1998年1月発行)  


建築家であり、数多くのエッセイを残している著者。
この本が発行された年に、62歳で亡くなっている。

暮すこと、暮しを楽しむことをやさしい語り口で教えてくれる。

旨いものを食べる → 食の修行(美味しいお店を見つける) → 食事を作ってみる

というように、楽しみを進み広げてゆく。ただの美食家ではない。
そして、家の中のこと、台所について考察を進める。

建築家だから、と言ってしまえばそれまでなのだが、本人が暮しを愉しむという姿を感じられ、それが建築に生かされるのだろう。

「ホテルに学ぶ」という、ホテルについて言及している章がある。

どんなレベルのホテルであれ、その作りを見て、ちょっと調べて考えてみると、そのホテルが(経営者が)どんな思いを持っているのかわかるという。
いかにも建築家らしく、泊まることになったホテル(の部屋)をいちいちメジャーを持って測ってみるのだという。
その姿を思い浮かべると可笑しい。

部屋のドアを開けて、どこにどう照明のスイッチがあり、洋服ダンスがどっちについていて・・・、というふうに観察と考察はとまらない。
そうすると、客をどのように大切にしているのか、何も考えていないのか解ってしまう。
だからと言って悪口を言うわけでもなく、こういうことなのさ、という感じでさらりと語る。
専門家は怖いですね。

怖いけど面白い!
2012.12.25:dentakuji:コメント(0):[お寺の本棚]

(195)『大人問題』

  • (195)『大人問題』
おとな は もんだい

おとな が もんだい

おとな の もんだい


五味太郎:著 (講談社文庫  2001年5月発行)


表紙に、大人問題の鏡文字で子供問題と小さく描かれている。
子供の問題は、つまり大人の問題が映し出されたものなんだよ、ということなのでしょうね。
子は親の鏡 と言いますものね。

子供はどんどん育つ。
毎日どころか、刻一刻と育っていくものだと実感できる。
それに対応した、「おとな」である私たちは何を考え感じ、どういう振る舞いをしてどんな言葉を吐いているのか。

「ちょっと待ってね」という言葉がとても多いと気づくことがある。
自分の都合に、子供は合わせてくれないからそうなる。
気がついて、こりゃいかんいかんと思う。

もう少し大きくなると、「急いでいそいで!」という言葉が多くなるに違いない。
これも、上の理由と同じ。

こどもの問題は大人の問題。

自分より後に生まれてきた人、それが子ども。
どんなふうに育って行くのか、考えなしの時は助けたり手をさしのばす。
暖かく見守ることができるチカラ、それが大人に試されているんだろうなぁ。

ところで、こどもはいつから大人になるのだろう?!その境目を考えると、正直よく解らないのである。
2012.12.22:dentakuji:コメント(0):[お寺の本棚]

(194)『米原万里の「愛の法則」』

  • (194)『米原万里の「愛の法則」』
米原万里:著 (集英社新書  2007年8月発行)

 じつを言うと、一人の女性に結婚をちょっとけしかけてみようと思い、読んだ中身を紹介してみた本なので、(もちろん、自分の妻にではありません)この本を手にするたびに、そのことを思い出すんですね。
 結果的に、その女性は、その後知り合った男性と約8ヶ月後に結婚した。
 まさかこの本を紹介したせいではあるまいと思いながらも、何かの縁はあるかもしれぬと、ひとりちっちゃな喜びを感じてはいるのであります。

 この本は、米原万里の講演をまとめたもので、四つの講演がそれぞれべつな対象に向けてなされたもので、それぞれ相当面白いものである。
 そして、その一つの「愛の法則」という章の講演会は2005年6月下旬に、石川県立金沢二水高等学校において、新聞社と財団の主催で「高校生のための文化講演会」として行われたもの。
 驚くべきは、一つは著者が病気のため亡くなる一年足らず前になされた講演であり、対象である聴衆が高校生であることなのだ。

 私が本を紹介した時引用した文の一つは次の文である。

「・・・私はあらゆる男を三種類に分けています。皆さんもたぶん、絶対そうだと思います。第一のAのカテゴリー。ぜひ寝てみたい男。第二のBはまあ、寝てもいいかなってタイプ。そして第三のC、絶対寝たくない男。金をもらっても嫌だ。絶対嫌だ(笑)。皆さん、笑ったけど、ほんとうはそうでしょう。大体みんな、お見合いの時って、それを考えるんですね。・・・」

 というような話なのである。おそらく対象は女子であったと思われます。亡くなるたった一年前に、こんなあけすけで艶っぽくて面白い話しをしていたのですからね。

 私が言うのもなんですが、作家として、エッセイストとして、講演者として、じつに惜しい才能を50代半ばという歳で失ったものです。
2012.12.18:dentakuji:コメント(0):[お寺の本棚]

(193)『風に訊け』

  • (193)『風に訊け』
ライフスタイル・アドバイス

開高 健:著 (集英社 1984年12月発行)


これは人生相談というか生き方やお悩み相談というものに、開高健が応えるという形で出来上がっている。

それも「週刊プレーボーイ」誌の連載だったもので、相談者の多くは10代・20代・30代ぐらいまでの男性の若者が中心になっている。
ということで、とても生々しい青春のお悩みや、今となってはどうでもよいような相談もいっぱいある。
それに対して、なかなかに味のある、時に粋な、たまにそっけなく開高さんは答えているのです。

その当時の氏は50代前半と思われ、この本が出た当時20代前半だった私は、ちょうど今その歳になってしまった。
今の私にはもちろん、こんなウィットに富んだ答えはできはしないなぁと思うのだが、できればこれに近づきたいと思うのであります。


とても短い質問とお答えの例。

(Q)ずばり先生の厖大なる著作の中で一冊、何を推薦しますか。
     (茨城県 不肖なる男 大学生9
(A)朝読むなら、『流亡記』
   夜読むなら、『夏の闇』
2012.12.13:dentakuji:コメント(0):[お寺の本棚]