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営業のテクニックなんていらない~ワクワクしさえすれば人は動く~

 和田裕美氏(㈱ペリエ社長)の「営業のテクニックなんていらない~ワクワクしさえすれば人は動く~」と言う講演を聴いて来ましたので報告します。

 講師の和田裕美氏は、1972年生まれで、1991年に日本ブリタニカ㈱に入社し1年目で個人売上世界2位、国内1位の営業成績を上げ、2年目から昇進を繰り返し2万人に1人しかたどり着けない代理店の支社長に就任、日本ブリタニカ㈱本社では100名の営業スタッフの指示に当たったとのこと、2001年に独立した。

 影響力のある人の3つの考え方とは、①陽転思考(~だから良かったと考えること)②単純思考(直感を信じること)③感情移入(表現能力を高めること)である。

売れる営業の3つの柱は、知識能力Knowledge capability(商品知識、他社比較など「お得感」を打出せること)、情緒能力Emotion capability(情緒、フィードバック出来る力、思いやりや元気を作り出すこと)、意識能力Consciousness(プロ意識、向上心、評論家ではなく実務家としてノルマ[いつまで、どれだけ]を達成すること)である。この中で、情緒能力が最も大切なものである。

相手がして欲しいことに気づくために、愛されるキャラを作ること。そのためにフィードバックをすること。何時でも良いのは優柔不断に繋がり易く、明確にゴールを設定した方が良い。ワクワクすることは未来を信じる心であり、それだけで人は動いてくれる。
2005.07.26:dai:コメント(1):[学習]

プロフェッショナルの思考力と対人力

 船川淳志氏(グローバルインパクト代表パートナー)の「プロフェッショナルの思考力と対人力」と言う講演を聴いて来ましたので報告します。

 講師の船川淳志氏は、東芝、アリコ・ジャパンに在籍、米国でMBAを取得後、㈱グロービスなどを経てグローバルインパクトを設立した。組織開発・企業変革にかかるコンサルティング・プロジェクトを手掛ける傍ら、組織・リーダシップ・人材開発などのテーマにわたるセミナーを行なっている。

 パラダイムシフトはスキルシフトを必要とする。現在は、Uncertainty,Diversity,Speedで表現される大変な時代である。プロフェッショナルに求められるスキルセットは、①テクニカルスキル(企業固有、業界固有、機能固有)②ヒューマンスキル(グローバルマインドセット、コミュニケーション力、リーダーシップ)③コンセプチュアルスキル(問題発見能力、問題解決能力、仮説検証能力)であるが、②③の割合がますます高まってきている。日本のマネージャーは特に②③のスキルが不足している。

 スキルギャップは何故起こるのか?扱う経営資源・ビジネス環境の複雑性が増すに従い、求められるスキルは指数関数的に高まって行く。一方、OJT主体の育成によるスキルアップは線形関数的な伸びしかないために、ギャップが顕在化して行く。

 思考力とは何か?思考力とは、もとになるものから頭の中で組み立てる力であり、感情や意欲ではない。もとになるものには、事実や共有された知識や個人の経験やイメージや仮説がある。組み立てるには、筋道を立てて明確に推論する(論理思考力)と自由に想起する(知的直観や想像力)がある。

 「考えること」と「知ること」をマトリックスに表すと、「学びて思わざる」や「思いて学ばざる」ではない、知的思考力(Thinking & Knowing)が求められる。

 思考の四大生活習慣病とは、思考の放棄症(「これだけの情報では無理ですよ」)、思考の依存症(「だって、社長が言ってますよ」)、思考の歪み(推論の過程にムラや無理がある)、思考の偏り(専門分野が異なると思考力が機能しなくなる)であり、口癖などに良く表れる。

 思考依存症には四つの原因がある。集団への依存(同調行動、皆で渡れば怖くない)と、権威への依存(水戸黄門メンタリティ)と、ことばへの依存(パスワード症候群)と、経験への依存(継続思考の罠)である。

 対人思考力のスキルマップは下記の通りである。ステップ1では、自分の頭の中でものごとを組み立てることができる(logical thinking)。ステップ2では、自分の頭の中で組み立てたことを相手に分かりやすく伝えることができる(logical speaking)。ステップ3では、相手の話を聞きながら、相手の頭の中で組み立てたことを理解することができる(logical listening)。ステップ4では、複数の人間とそれぞれの考えを交換・共有しながら、問題解決や新たな考えの共創をすることができる(collaboration,innovation)

 グローバル化を生き抜く鍵は「思考力と対人力」にあるとのことである。今後、心掛けて行かなければと感じた。
2005.07.26:dai:コメント(0):[学習]

私の仕事道(しごとみち)

 玄田有史氏(東京大学社会科学研究所・助教授)の「私の仕事道(しごとみち)」と言う講演を聴いて来ましたので報告します。

 講師の玄田有史氏は、「仕事のなかの曖昧な不安」(中央公論)や「ニート、フリーターでもなく失業者でもなく」(幻冬社)や「14歳からの仕事道」(理論社)などの著作で知られる41歳の気鋭の社会科学者である。

大学生の就職について、相談を受けて気をつけているのは「答を出さない」ことである。出来るだけ悩ませ、迷わせる。岡本太郎の著書「自分の中に毒を持て」に、“迷ったら危ない道を行け”と言う言葉がある。テリー伊藤は“迷ったら後で笑える方に行け”と言っている。今の学生は安定した公務員を目指す(公務員が安定しているか否かは分からないが)。

高橋俊介氏のキャリアと言う言葉は元は馬車道と言う意味で使いたくない。仕事道(しごとみち)と言う言葉を使っているが、藤子不二雄の「マンガ道」から借用した。

英国の10代の一割がなると言うニートは、グローバル化の中で日本も同様であり、その共通点は、「やりたいことが見つからない」ことである。中学・高校では勉強しないが、大学生はエンプロイアビリティを向上すべく、資格やTOEICなど良く勉強している。あせり→不安→恐怖の連鎖の中で、「自分は社会で求められていないのではないか?」と思ってしまう。就職活動が苦しくてニートになってしまう。その結果、学生相談室が繁盛している。

学生を苦しめているのは大人だろう。即戦力を求めるような会社はダメな会社で、良い会社は「化けそうな人材」(→入社すれば当社の人材育成システムで化かしてあげます)を求めている。不況でも逞しく成長している会社は風通しが良い。トップから担当まで、お互いに良く話し合っている。儲かっている会社は雰囲気も良い。仕事がきつくても必ず一人前にする。吉本興業は新人研修で、「困難な壁は乗り越えられない。その場でウロウロしてなさい。」と教えている。誰かが助けてくれるかもしれないし、やがてチャンスは巡って来るかもしれないからである。

専門の労働経済学は、「どうしたら皆がハッピーに仕事が出来るか?」を考える学問である。分からないことも多く、「仕事とは訳分からないもの、社会は理不尽や矛盾だらけ」だと思う。

 社会人として必要な能力は、コミュニケーション能力である。人間関係と自分だけの人は苦しい。「聴き上手になれ」と言っている。そのスキルは、前傾姿勢で、頷きながら、たまに首を振って聴くことである。

 人材育成の本質は変わっていない。失われた10年と言われるが、人を育てる自信が失われたとも言える。ニートが85万人になったが、自分の中にもニート的な気持ちがある。教育プログラムも大切だが、絶妙のタイミングでの一言が大切である。

 自分は、「目先の損得勘定ばかり考えるな、ケチな学者は良い学者にならない。」と言われてきた。ちゃんと迷わせる。ちゃんとウロウロさせる。「今のうちに失敗しろ」と言うべき。自分自身がどう生きてきたか、自分の誇りを語るべきである。ニートの親の会では、「これだけはダメだと思うことを、きちんと伝えて欲しい。」と話している。親自身の人生を充実させなければダメだ。

 低所得の家庭からのニートが増えている。高校中退は生活リズムが乱れてしまう。ニートは、働くことに希望が無く、働くことを諦めている人である。彼らは親に悪いと思っている。メンタル的に働けないような病気やケガによるニートも増えており、中年ニートの問題は、やがて生活保護政策にも関連してくる。引きこもりと同様に、ニートへの関心も今後急速になくなってしまうだろう。

 イッパイ、イッパイになる前に手を抜く。仕事と家庭の他に第三の居場所が必要である。ちゃんといい加減に生きよう。良く見られようとすると良くない。即戦力より早期に戦力化することだ。「すみません」より「ありがとう」と言おう。

 フリーターとニートの違いは働いているか否かである。正社員になるために面接をクリアすることだ。フリーターには自分を守ってくれる仕組みがない。総合労働相談コーナは、そのためにある。

 兵庫や富山で中学生の職場体験が始まった。中学2年生(120万人)の11月は危険な時であり、何かのイベントを仕掛けたい。橋渡し役がいないのが問題で、学校に留まらず社会にも良い先生が求められる。ニート問題に関連して、希望学プロジェクトを立上げている。失望や挫折に変わっても、きっと得られるものがあると考える。それを具体的に明らかにしたいと思う。

 「14歳からの仕事道」をベースとした講演であったが、ニートについて話す場面では涙ぐむ様子があり、若者に希望を与えたいと言う強い想いがあるのだと感じられた。
2005.07.26:dai:コメント(0):[学習]

自己演出のすすめ

 鴻上尚史氏(劇作家・演出家)の「自己演出のすすめ」と言う講演を聴いて来ましたので報告します。

 「独り言」が第一の輪とすると、「あなたと話す言葉」が第二の輪で、「皆と話す言葉」は第三の輪となる。対話をしても、「独り言」の声の調子だと聴き取りにくく、皆と話す時に「あなたと話す言葉」を用いると親近感が増す。何故、人が表現力を磨くのかといえば、それは「他の人に好感をもたれるため」であると言える。

「こえ」は声帯を振るわせて音を出すが、共鳴場所が鼻・口唇・頭・咽喉・胸の5箇所あり、これらを組合せて声のバリエーションを増やす。良い声とは、感情やイメージをきちんと表現できる声である。

「こえ」の要素は何かと言うと、①大きさ(独り言、あなたと話す言葉、皆と話す言葉など何種類かの大きさを持つべき)②高さ(よそ行き、普通、本音の3パターン位は欲しい)③速さ④間(早口でも間があると説得力がある)⑤声色、音質の5つある。感情と表現は相互に通行可能であり、出したことの無い声を出すことによって、感情は豊かになる。例えばプレゼンテーションであがった場合、低い声で話すと落ち着く(低い声で話すと丹田にSWが入る)。話す内容ではなく、しゃべり方である。例え演技と言われても、これはやった方が良い。
2005.06.26:dai:コメント(0):[学習]

革命時代の経営哲学

 松井道夫氏(松井証券社長)の「革命時代の経営哲学」と言う講演を聴いて来ましたので報告します。

 IT革命の本質は、“供給者中心”から“消費者中心”へパラダイムシフトが起こったことにある。これからは“顧客”が企業を選別する時代であり、旧来の方法でビジネスを行う企業は淘汰される。

 “IT革命”と“自由化”が同時に来た証券業界では、長らく圧倒的なシェアを有していた野村證券(00年度25%→04年度8%)を松井証券(00年度4%→04年度13%)が上回る革命的な変化が起きている。松井証券のオンライン株式売買代金は99年1月26億円→05年4月2兆7609億円と5年間で1000倍に増加した。個人投資家が“オンライン取引”に移行すると売買回転率は上昇するため、売買代金は飛躍的に増加する。個人投資家は、対面取引からオンライン取引へ移行することで“取引の自由”を手に入れ、きめ細かい注文が出せるようになるため“回転率”が上昇することが理由と考えられる。個人株式売買代金に占めるオンライン比率は84%で、株式市場でオンライン投資家の存在感は高まっている。ペイオフ解禁を機に豊富な団塊世代の資金(100兆円)が株式に移動する可能性が高く、個人の株式売買代金は今後、飛躍的に拡大する可能性がある。


 投資部門別株式売買代金シェアは、90年代後半までは法人が、現在は外国人がマーケットの主役で、近い将来オンライン投資家が牽引する形で個人投資家がマーケットの主役になる時代が来ると考えられ、マーケットを通じて企業が選別される時代が到来するだろう。

 将来は、個が主体で、個が主張する、個の時代になるだろう。公務員削減や年金問題から「日本は間違いなく破綻するだろう」、猛烈なインフレーションを覚悟すべしと言っていることはショッキングだった。
2005.05.26:dai:コメント(0):[学習]