変貌するビジネスシステム

 加護野忠男氏(神戸大学教授)の「変貌するビジネスシステム」と言う講演を聴いて来ましたので報告します。事業(ビジネス)システムとは、顧客に価値を届けるために必要な諸活動を統括する能力と仕組みであり、取引先との連携関係、社内の分業体制、情報システム、資金の循環システム、人事制度、ロジスティックスなどを言う。

 商品の競争は華々しい成功が得られるが、模倣が可能であり競争優位の持続時間が短い。一方、事業システムの競争は目立たない勝利だが、模倣が難しく競争優位の持続時間が長いと言う特徴がある。

 具体的な事業システムとしては、一つ目は、灘の酒蔵の制度があり、丹波杜氏としてコア技術をアウトソーシングし、蔵元は製造設備とブランドしか持たない方法がある。二つ目は、京都の革新性があり、麦踏としてサポートするのでなく鍛える、違う商品を扱う棲み分けから、室町産業や村田製作所が生まれた。

 実践共同体における技術の伝承は、7~8人程度の小さな集団で行うのが良い。集団間の競争、集団内の競争と学習、教え合いには価値があり、雑用にも価値がある。

 伝統的な古典の勉強には価値がある。その理由は、一つは古い事業システムには強靭さがあり、直接対話ができることである。二つは社会・経済の中には分かってないことが多く、先人たちの合理性を学ぶことができることである。三つはビジネスの創造的借用(例えばナショナル・ショップなど)ができる。
2005.04.26:dai:[学習]

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