トップの姿勢

 今の若い世代は、残業を嫌い、仕事よりは遊び、地位よりはマイホーム中心で生活を楽しもうとしている傾向があると嘆く経営者や管理者は多い。
 どのような時代になっても、企業を潰さぬようにもっていくには、会社中心、仕事中心の考え方を若い人たちにもってもらうようにしなければならないという。

 しかし、省みて、自分自身はどうかを反省してみていただきたい。おれたちは別だ、自分らが平社員のときはこうだったというのは、言い訳に過ぎない。地位というのはより以上働くためにあるのであり、また幹部はこれらの若い人たちに、監視されているのである。

 業績が上がらぬのに付き合いゴルフに出かけ、また、各種の社交団体に出席している。社業を留守にして、やれ!と気合ばかりかけていて業績があがるはずがない。週間ゴルフをやり、付き合い酒を楽しみ、毎朝遅く出てきて、何が社業にプラスになる妙薬があるのだろうか。

 付き合いにはそれぞれ大義名分がある。しかし、建前と本音は違う。嫌いなら、ゴルフも酒もやらないはずだ。やはり、遊びが面白いからである。自分の趣味を満足させ、個人の見栄や体裁が、そのような行動をとらしめているのである。あるいは、自分の行動を合法化させるために部下を誘い、会社の金を浪費して、遊びをおぼえさせる。これで、業績が上がるなら不思議である。いずれ蹉跌がくるのは分かりきっている。士気が上がるはずがない。

 費用を捻出するために数字をごまかし、地道な努力よりは一発当てよう式の行動をし、収奪的な農法でやるから、いつの間にか肥沃な土地もやせ、気がついたときには、取り返しがつかない状態に陥ってしまう。

 若い人はと、うんぬんするより先に、自らの時間と費用の使い方を反省することだ。朝は早く出勤し、夕は部下よりも後で退勤せよ。同業者並みの行動をしていてはダメである。週刊誌やスポーツ紙を読む暇があるなら経営書を読め。業績はトップの責任である。

 異質の時代に生き残るためには、まず、上層部が姿勢を正すことである。そして、そこから真の会社らしさ、すなわち「会社とは事業を行うために、志を同じくする同志の集団でなければならない」のであり、どこを切っても同じ血が流れ、トップと同じ考え方、同じ行動をする幹部が育ってくるのである。

 目標にチャレンジし、どのような苦しみにも耐え抜き、失敗にも屈せず、なんとか競争に勝ち抜き、成長せんとする創業精神に立ち返っての若々しさ、青年らしさのある体質がなければ、これからの経営はやっていけないといえよう。
2006.10.20:反田快舟:[経営箴言]

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