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答えは自分で見つけさせる

大瀧が学校にやってくるのは、午前6時半。
30年以上の間、週末も含めほぼ毎日、休みは年に10日もない。

清水商業サッカー部は部員100人。全国制覇12回の名門ながら、希望すれば
初心者でも入門できる。
練習はきわめてシンプルだ。
パス回しやシュート練習など小中学校でもやる基本的な練習をひたすら繰り返す。

その練習をじっと見つめていた大瀧が、突然プレーを止め、選手に問いかけた。
「どうしてあの子はこっちに来るんでしょうか。何をしたいんだと思う?」
一人の生徒の動きの意味を尋ねた。

しかし、答えは言わない。質問をぶつけて生徒たちに考えさせるのが大瀧のやり
方だ。
黙っている生徒たちにきつい口調で言う。
「自分の目で見て、頭で考えて、何をやりたいかって考えなさい」

大瀧の口調は「考えろ」。そこに、一つの信念がある。

(プロフェッショナル仕事の流儀6 File No17より)
2008.06.17:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

名選手を育てる驚異の指導者

清水商業サッカー部監督・高校教師、大瀧雅義。
名波浩、藤田俊哉、小野伸二、川口能活、田中誠など、
30年の教師生活で育てた日本代表選手は13人に上る。

なぜ大瀧のもとから一流選手が次々と育つのか。
その答えは、二人の選手の言葉にある。
「人としての生き方とか考える力を大瀧先生は教えてくれた」(川口能活)
「僕は人から言われるとカチンとくるタイプだが、大瀧先生だと素直に受け止められる」(小野伸二)

大瀧は、優秀なサッカー選手を育てるよりも、一人前の人間を育てたいと考える。
そして選手に語りかける。「勝ことよりも、大事なことがある」と。

(プロフェッショナル仕事の流儀6 File No.17より)
2008.06.16:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

塚本こなみのプロフェッショナルとは

一生この道を極めてみたいと思い続ける人。
どこまで行っても究めきれない道だけど、究めてみたいと思う人。

幸いなことに、私は一生究められない道の中に入ってしまいました。
究めたと思ってもまだ浅いんです。
たぶん死ぬまで、木の仕組みを知りたいと思い続けるでしょう。

そこに終わりはないんですね。
だから面白いし、究めたいと思い続けるのかもしれません。
木は「わかるものならやってみろ」とほくそ笑んでるんですよ、きっと。

(プロフェッショナル仕事の流儀6FileNo.16より)
2008.06.15:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

新しい人生を切り開く

塚本さんが樹木医になったのは40代になってから。
新しい人生を切り開くのに年齢は関係ないのだろうか。
どういう意識を持てば前へ進むことができるのだろうか。


それは、できないのではなく、やらないだけでしょう。
新しいことに挑戦すれば、素晴らしい人やいろいろなものに出会える楽しみもある。
それを逃すのは損ですよね。
何事も、やってみなければわからないじゃないですか。

私は、物事をあまり深刻に考えないんですね。
「ここが転機だ」などと身構えることもない。
とにかく進むこと。動き続けることじゃないでしょうか。

By塚本こなみ

(プロフェッショナル仕事の流儀6 FileNo.16より)


2008.06.14:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

なぜ木を治しつづけるのか

どんなに診ても、何がしようと思っても、最終的には「木は治療を欲していない」という思いに行き着くんです。
病気になって朽ちていくのも「大自然の中の掟だよ」と言われているような気がします。

ただ、私のできることは、できる範囲でやってあげたいと思うんです。
樹木医になってすぐに、八十代のおばあさんから庭の赤松が枯れそうだからと頼まれました。
うかがうと「この木が死んだら私も死んじゃうの」と言う。
でも、松の治療をし、やがて新芽が出たとき、
おばあさんの顔が変わったんです。
すごくいい顔になった。
それを見て、もしかしたら私の仕事は木の医者ではなく、依頼者の心の支えに少しでもなってあげることなのかなと、うれしくなりました。

By塚本こなみ

(プロフェッショナル仕事の流儀6FileNo.16より)
2008.06.13:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]