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人を育てるために大切なこと

こちらが裸になって、誠実に自分の気持ちをさらけ出すことではないでしょうか。
何かを期待するのではなく、真剣に、真っ白になって考えてあげる。
それを実践できる自分をつくることだと思います。

もちろん、こちらの気持ちが必ず伝わるとは限りません。
ある意味、片思いの恋愛をしているようなものかも知れません。
でも、それがだんだんと両思いになっていくこともある。

心を開いた子どもは、サッカーの根本的なところからガラッと変わってきます。
一言で言うと、視野が広くなる。プレーも、ものの見方や考え方もそうです。
「先生それは違う」とか、「自分はこう考える」といった、しっかりとした受け
答えができるようになる。

By大瀧雅良

(プロフェッショナル仕事の流儀6 File NO.17より)
2008.06.22:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

教えることから考えさせることへ


高校時代、清水商業サッカー部のキャプテンだった大瀧は、大学卒業後、教師と
して母校に赴任。
自らが果たせなかった全国優勝を目指し、最新の戦術やセットプレーなどを徹底
的に指導した。
ついて来れない者には烈火の如く怒り、厳しく接した。

だが結果はさんざんだった。全国どころか、県の予選でも簡単に負けた。
まもなく厳しい指導が悪評を呼ぶようになる。「清商には選手を潰す監督がいる」
入部者は激減。部員は16人にまで減り、紅白戦すらできなくなった。

それでも大瀧は指導方法を変えようとはしなかった。「生徒が悪いんだ。こいつ
らがだらしないんだ」
赴任して4年目の春、一人の生徒が入ってきた。風間八宏、のちにドイツのプロ
リーグ活躍する名選手である。
当時、まだ15歳。しかし、そのプレーに目を見張った。足に吸いつくようなド
リブル。まったくボールを取られない。
しかも、ユース代表だった風間は練習方法や戦術に関しても、大瀧よりはるかに
詳しかった。

「彼に、何か教えるなんていうのはできない。どうしたらいいのか・・・。」
大瀧はいったんグランドの外から練習を眺めてみた。すると、ドリブルが得意な
風間がパスばかり出す。
力の半分も出しきれていない。一年生の風間に、先輩がパスを出すように指示し
ていた。

大瀧はチーム全員の前で風間に言った。「お前のやりたいようにやってみろ」
風間が自由にプレーをしはじめると、停滞していたチームが変わりはじめた。
プレーばかりではない。指示を待つばかりだった生徒が、自分たちで話し合いを
するようになった。

自分たちで考えはじめた生徒たちは、驚くほど伸びた。
大瀧に一つの確信が生まれた。「教師の仕事は教えることではない、考えさせる
こと」
新しい流儀を得た大瀧のもと、チームは年を追うごとに力をつけていった。

(プロフェッショナル仕事の流儀6 File No.17より)
2008.06.21:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

勝ことよりも大事なことがある

大瀧は靴のかかとを踏んで履く生徒にも厳しく指導する。
服装の乱れている生徒は試合に出さない。
物を大事に扱うこと、ルールを守ることについて、とりわけ厳しいのはなぜか。

両親が働いて、お金を出し、靴を買ってくれたわけです。
そんな思いを大切にできない、その気持ちがグランドでも出てしまうのではない
かと思うんです。
人を愛するということは、両親に対しても、サッカーの仲間に対しても敵に対し
ても同じことですから、
それを常に大切にするという気持ちは大事にして欲しいんです。

校則違反は、サッカーでいえばルール違反。退場を命じられてもおかしくありま
せん。
ルール違反をしてまで勝ちたくない。
正々堂々と戦った結果であれば、たとえ負けたとしても三年間は決して無駄には
なりません。
勝つことよりも大事なことがあるんです。

By大瀧雅良

(プロフェッショナル仕事の流儀6 File No.17より)

2008.06.20:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

衝突を恐れないことで成長する

僕自身は、特に厳しくしようという意識はありません。
ただ、一人の子とサッカーを通して接する時間は二年半しかない。
その二年半に何をすべきかを自分に問いかけると、つい厳しい言い方になってし
まうんですね。

それでいいのかどうかはわかりません。
褒めて育てることができれば、それに越したことはないのでしょう。
大きい声を出してしまうのは、僕自身が未熟なのだろうとも思います。

「衝突を恐れるな」という言葉の意図するところは、遠慮し合っていてはいいも
のは出てこないということ。
伝えるべきことは伝える。そして反論が出たらお互い納得のいくまで議論していく。
そうやってとことんやり合うことで、友情も芽生えるし、お互い考え方も豊かに
なる。

実際、自分の思いを伝えられる子のほうが成長していきます。
高校の三年間の変化というのは、すごいもんだと思います。

By大瀧雅良

(プロフェッショナル仕事の流儀6 File No.17より)
2008.06.19:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

自分で見つけた答えだけが、自分のものになる



教えてもらったものは身につかない。
教えてもらうと、いざというときに何か教えてと頼ってくる。
逆に自分でつかんだものは、どんな時でも忘れない。

どうすれば自分で考え、つかむようになるのか。
最大のチャンスは、壁にぶち当たった時だという。

この日はグランド脇に一人の選手を呼んで質問をぶつけた。
「もし、お前が相手の監督だったら、お前みたいな選手がいたらどうする?」
「お前の欠点は何?」
単刀直入に、厳しい質問をぶつける。自分の弱点と正面から向き合わせるためだ。

「お前はいったいどう考える?」
「自分はどう考えるってところが、弱くない?」
大瀧の、「答えは自分で見つけさせる」というやり方は徹底している。

(プロフェッショナル仕事の流儀6 File No.17より)
2008.06.18:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]