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闇夜のカラスといわれて

「闇夜のカラス」というのは、花火師にとって本当に屈辱的な言葉でした。
それを聞いた瞬間、体に電気が走ったようになって、生き方を変えようと意識が
切り変わったのです。

その後、結果が出るまでの十九年間はつらい時期でした。
本当に、寝ても覚めても花火のことばかり考えていました。

あらゆるものを絶たないといいものは出来ないのではないかと、あえて厳しい状
況に身を置くことにしたのです。
それにしても、十九年は長かったですね。

よい結果に結びついたのは、決してあきらめなかったからでしょう。
くじけそうになったことはありましたが、いいものをつくろうという志は折れま
せんでした。

By野村陽一

(プロフェッショナル仕事の流儀8 File NO.24より)

2008.08.12:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

独学で研究した成果

花火の技術には教科書もありませんし、教えてくれる人もいません。
だから、実験を地道にやっていくしかありませんでした。

花火は何万種類という調合による変化があって、火薬一グラムの配合で結果が変
わります。
材料も品質のいいものと悪いものを取捨選択しなければならない。
そういったことを一つひとつ検証していったのです。

競技会でいい成績を出すのに十九年かかりました。
長い年月ここまでかけてできたわけで、いい花火はいきなりできるものではあり
ません。

初めて優勝したときは、辛い思いが一瞬にしてけし飛んだというのが実感です。
結果が出たことがうれしくて、ただただ感激していました。

By野村陽一

(プロフェッショナル仕事の流儀8 File No.24より)
2008.08.11:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

自分に厳しいのはなぜか

自分に甘い点数をつけてしまったら、それまでだと思っています。
普段はずぼらで、いい加減だったり、感情に負けることもたくさんあります。

しかし、花火に関しては完璧主義なのかもしれません。
出来がよくないと非常に気持ちが悪いんです。

まだまだ完璧には程遠い花火ばかりです。
おそらく私の代では完成しないと思うので、次の代に託したいという気持ちもあ
ります。

By野村陽一

(プロフェッショナル仕事の流儀8 File No.24より)
2008.08.10:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

きれいに掃除することの大切さ

いいものをつくるためには、環境が大事です。
火薬庫はコンクリートづくりが多くて殺伐とした雰囲気になりがちなので、自然の恩恵にあずかれるように木を植えたり、金魚を飼ったりすると心が和むんです。

掃除に関しては「一日15分は掃除をしてください」と社員に言い聞かせています。
いい環境があれば、いいアイデアも浮かびますし、いいものもできる。
そういった環境面にも非常に気を使っています。

By野村陽一

(プロフェッショナル仕事の流儀8 File NO.24より)
2008.08.09:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

集中力が仕上がりを決める

花火の仕込みには長い時間がかかり、複雑なものは一日を越えてしまいます。
そこで、集中力を高めるために、反省点やポイントを自分に語りかけながら、気合いを入れます。

仕込みを始めると休みがとれません。昼食もとらず、来客もお断りです。
花火は、湿気が入ってしまうと燃焼の仕方が違うので、乾燥した気候のときに一気にやる。
休憩を入れると集中力が途切れてしまって、それを戻すのにまた時間がかかるのです。

花火づくりでは、ちょっとしたことが仕上がりに影響を及ぼします。
星の置き方や割り役の詰め方にわずかな隙間があったり、詰めが甘かったりすると、それが誤差になって、上空300メートルまで上がって開花したときに、円が崩れてしまったり、芯がよく出なかったりといったことが起こります。
だから、集中して仕込まないといい花火はできないのです。

By野村陽一

(プロフェッショナル仕事の流儀8 File No.24より)
2008.08.08:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]