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楽しく学べば、勉強が勉強でなくなる

アシスタントの英語教師として来日した日系カナダ人、マサキとの出会いが田尻の人生を変えた。
マサキは、型破りな授業の企画を次々と提案した。

外国人と一緒に料理を作る授業、そしてキャンプやバーベキュー。
田尻は、そんな遊びでどんな英語力が身につくかいぶかしんだ。

ある日、ジェスチャーゲームを行い、出題者がトイレにしゃがんでいる仕草をした。
その時、一人の生徒が手を挙げた。

英語が嫌いで、授業でほとんど発言したことのない生徒だった。
流暢な発音で、こういった。「Are you takinng a damp?」

教師である田尻も知らないスラング表現だった。
生徒たちは、マサキと毎日遊ぶうちに、いつの間にか生きた英語を身につけていた。

「楽しめば、勉強が勉強でなくなる」

これを機会に、田尻は授業の大改造にかかった。
生徒たちが苦手にしていた文法には、教材にアニメのキャラクターを使った。
なかなか声の出ない英会話の練習は、スピードを競うゲームに仕立てた。

子どもたちの歓声が響く魔法のような授業は、こうして生まれた。

(プロフェッショナル仕事の流儀9 File No.25より)
2008.08.27:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

若き日の壮絶な失敗

田尻が教職についたのは、全国的に校内暴力が問題となっていた1980年代前半。
生徒になめられまいと、角刈りにサングラスで突っ張った。

授業はスパルタ。教科書を黒板に書き写し、「明日までに覚えろ!」と要求した。
宿題を忘れた生徒は放課後に残し、課題を終えるまで帰さなかった。

しかし、生徒たちはついてこない。
腹が立ち、毎日怒鳴りまくった。

屈辱的な挫折を味わいながら10年。行き詰まった田尻は、故郷に戻り、再出発をはかった。
そこで、
その後の教師人生を大きく変える出会いをする。

(プロフェッショナル仕事の流儀9 FileN o.25より)
2008.08.26:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

興味を持てない生徒をどう教えるか

生徒が151人いれば、好き嫌いがあって当然でしょう。
英語が嫌いだとか、ワイワイやるより、静かな方がいいとか、
それぞれ好みがあるわけです。

それでは乗ってこない子をどうするか。
クラスの子たちが一番気にするのは、じつはそこなんです。
やりたくない子や外れている子がいたら、自分たちも気分が乗っていかない。

そういう意味でも、みんなでやろうよという雰囲気をつくってほしいわけです。
でも、結局のところ、それは本人の気持ち次第です。

やらなければいけないときには動くだろうし、
気持ちが向かっていないのであれば、待ってあげればいい。
高校に進んでから変わるかもしれないし、社会に出てから変わるかもしれない。

By田尻悟郎

(プロフェッショナル仕事の流儀9 File No.25より)

2008.08.25:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

授業の流れを計算する

授業をどう組み立てるか、事前に計画を練るわけですが、
当然のことながら、子どもたちはその通りには動いてくれません。

しかし、経験を何年も積み重ねていくと、
「こう言ってきたら、こういってやろう」というオプションをもてるようになる
んです。

子どもたちが騒いでも、それに対するオプションを用意していますし、
授業を脱線させたがっているのなら、あえて脱線させてあげる。
その上で、スーッと授業に戻すという方法をとるわけです。

授業というのは、そんな小さな工夫の積み重ね。
気づいたことはすぐにメモを取るように心がけています。

By田尻悟郎

(プロフェッショナル仕事の流儀9 File No.25より)

2008.08.24:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

生徒のどこを観察するのか

生徒全員がそれぞれの考えで答えてくれるのがいい授業だと思っています。
そのためには、一人ひとりを知っておかなければいけないんです。

彼らを理解しようと思うのなら、まずはその素の状態をインプットするんです。
だから、一挙手一投足をしっかり見ます。

教壇でしゃべってばかりいると、なかなか個人が見えてきません。
彼らが自分の意思で動いているところを観察していると、
「この子には、こんないいところがあるんだ」とか、
「この子はいつもああいう態度をとっているけど、じつはこうなんだ」
ということが見えてくるんです。

By田尻悟郎

(プロフェッショナル仕事の流儀9 File No.25より)

2008.08.23:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]