ブレンドするときにいつも悩むのは、一つのバランスで、もう一つは個性なんです。
どうしたら個性が出せるのか、バランスとの兼ね合いをどうするかを考えるわけですが、
私はバランスを重視しがちなんです。
それは長所でも短所でもあるわけですが、それでは、独創的なウイスキーには到達しないんです。
By輿水精一
(プロフェッショナル仕事の流儀11 File NO.32より)
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妥協が生んだ失敗
焼酎ブームに押され、長らく売れ行きが落ち続けていたウイスキーだが、
税率が下がったため、一気に巻き返しの機運が盛り上がっていた。
輿水に、人気回復のための新しいウイスキーづくりが任された。
考えたのは、焼酎のように飲みやすく、でも新しい個性を持ったウイスキー。
しかし、試作を何度繰り返しても、なかなか納得する味には仕上がらない。
納期まであと数日になっても、ブレンドが決まらなかった。
新製品が締め切りに遅れれば大打撃となる。輿水は追い込まれた。
焦りが募る中、ふと思った。「まあ、これでいこうか」
だが、発売して間もなく輿水は愕然とした。目標の半分も売れない。
倉庫に在庫の山ができた。
そんなある日、輿水は、先輩にキツイ一言を浴びせられた。
「本当にうまいと思ったの?」
輿水は激しく後悔した。
疑問を抱きながら、それに目をつぶった自分。そんな自分が許せなかった。
その日を境に、輿水は変わった。
納得がいかなければ、トップのゴーサインが出た後でも、ブレンドを変えた。
二度と自分に嘘をつかない。その信念が、今の輿水を作り上げた。
(プロフェッショナル仕事の流儀11 File No.32より)
税率が下がったため、一気に巻き返しの機運が盛り上がっていた。
輿水に、人気回復のための新しいウイスキーづくりが任された。
考えたのは、焼酎のように飲みやすく、でも新しい個性を持ったウイスキー。
しかし、試作を何度繰り返しても、なかなか納得する味には仕上がらない。
納期まであと数日になっても、ブレンドが決まらなかった。
新製品が締め切りに遅れれば大打撃となる。輿水は追い込まれた。
焦りが募る中、ふと思った。「まあ、これでいこうか」
だが、発売して間もなく輿水は愕然とした。目標の半分も売れない。
倉庫に在庫の山ができた。
そんなある日、輿水は、先輩にキツイ一言を浴びせられた。
「本当にうまいと思ったの?」
輿水は激しく後悔した。
疑問を抱きながら、それに目をつぶった自分。そんな自分が許せなかった。
その日を境に、輿水は変わった。
納得がいかなければ、トップのゴーサインが出た後でも、ブレンドを変えた。
二度と自分に嘘をつかない。その信念が、今の輿水を作り上げた。
(プロフェッショナル仕事の流儀11 File No.32より)