弟子は、下は18歳から上は49歳まで16人。
皆、北山の庭に憧れ、全国各地から集まってきた。
「掃除しとけよ、掃除」。毎朝、怒鳴り声で仕事が始まる。
この日は、車のタイヤにわずかに泥がついているのを見つけて叱った。
挨拶に掃除、道具の準備。北山は、弟子たちに基本の作業を徹底させる。
当たり前のことができなければ、一人前の庭師にはなれない。
(プロフェッショナル仕事の流儀14 File No.40より)
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攻めなければ道は開けない
カレンの死後まもなく、メスのセイウチの「ムック」が感染症に侵された。
牙から細菌が入り、化膿していた。
牙を抜かなければ、膿が脳に達し、命にかかわる。
しかし、セイウチの手術は、日本で行われた例がなかった。
「やるしかないっていうのは、自分で決めました。
カレンの死を経て、獣医として覚悟ができたんだと思います」
最大の問題は、麻酔の注射を静脈に打ち込むこと。
静脈は、厚い脂肪に覆われた背骨の中を走る。
1センチでも目測を誤れば、神経を傷つけ障害が残る恐れがある。
注射針を何回打っても当たらない。何本も刺しては捨て、刺しては捨て・・・・。必死だった。
もうこのまま終わるのか。諦めかけた、そのとき。針が静脈に通じた。麻酔は成功。
よほどガスが溜まっていたのか、「スポーン」という大きな音とともに、膿んでいた牙が抜けた。
術後間もなく、ムックは自分で餌を食べるまでに回復した。
攻めなければ道は開けない。
その覚悟をもつことが海獣医師の責任だと勝俣さんは悟った。
(プロフェッショナル仕事の流儀13 File No.36より)
牙から細菌が入り、化膿していた。
牙を抜かなければ、膿が脳に達し、命にかかわる。
しかし、セイウチの手術は、日本で行われた例がなかった。
「やるしかないっていうのは、自分で決めました。
カレンの死を経て、獣医として覚悟ができたんだと思います」
最大の問題は、麻酔の注射を静脈に打ち込むこと。
静脈は、厚い脂肪に覆われた背骨の中を走る。
1センチでも目測を誤れば、神経を傷つけ障害が残る恐れがある。
注射針を何回打っても当たらない。何本も刺しては捨て、刺しては捨て・・・・。必死だった。
もうこのまま終わるのか。諦めかけた、そのとき。針が静脈に通じた。麻酔は成功。
よほどガスが溜まっていたのか、「スポーン」という大きな音とともに、膿んでいた牙が抜けた。
術後間もなく、ムックは自分で餌を食べるまでに回復した。
攻めなければ道は開けない。
その覚悟をもつことが海獣医師の責任だと勝俣さんは悟った。
(プロフェッショナル仕事の流儀13 File No.36より)