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リーダーは何があっても冷静でなくてはならない

手術の重圧で自分を見失いそうになることは、いくらでもあります。
でも、リーダーがパニックに陥ると絶対にダメです。
リーダーさえしっかりしていれば、最悪の事態には陥りません。

難しい症例や、経験したことのない場面などに遭遇すると、すぐには判断できません。
しかし、時間は限られているので、例え迷ったとしてもどこかで決断をしなければなりません。

そのような事態を防ぐために有効なのは情報です。
手術の前に得られる情報が多いほど、
パニックにならないですね。
けれど現実には、100%の情報があるケースはないわけで、
そういう場面に出くわした時に、経験から得た知識を組み合わせたり、様々なシミュレーションをしたりして、いかにそれを克服するか。それが一流かそうでないかを分ける気がします。
By佐野俊二


(プロフェッショナル仕事の流儀1より)
2008.01.17:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

究極の決断に必要なもの

人の命に直結する仕事である心臓外科医には、究極ともいえる決断が求められる。
そういう場で決断を下せる能力は訓練で身につくものなのか、それとも資質なのだろうか。

医学は科学なので、そこには理論があるわけですが、最後の最後のところでは、
やるかやらないかの二者択一なんです。

その決断は、ある意味では、その人の持つ感覚の領域に入ってくる。
トレーニングと経験を重ねることにより、そういった感覚は研ぎ澄まされてくるのだと思います。

ただ、集中することでパッと頭に浮かんでくる人がいる一方で、浮かんでこない人もいる。
そのあたりは、説明できないことがありますね。
教えられることと教えられないことが出てくるんです。
By佐野俊二

(プロフェッショナル仕事の流儀1より)

2008.01.16:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

集中力が高まると見えてくる

子どもの小さな心臓の手術は誰でもすぐにできるものではありません。
だから、できるようになるためにトレーニングをするわけです。

まず第一に、どうやって集中力を高めるか。
集中すればするほど、普通の人には見えないものが見えてくる瞬間があるのですね。
切るのは一瞬。2ミリ切れば治る病気でも、0.1ミリずれると死に至る。
だから私は、何分かかっても、見える瞬間が来るまでは一切手を動かしません。

(プロフェッショナル仕事の流儀1より)

技を極めた上に、更に集中する精神力で普通の人には見えないものが見えるのでしょう。
昔、野球の川上さんが、「調子のいいときはボールが止まって見えた」といいましたが、それと同じかもしれません。
最近ではイチローが似たようなことを言っていました。
心理の世界では、河合隼雄先生が、そんな心境を色んな場面で書いておられます。
いづれにしてもプロとはすごいものです。
今からでも、何十分の一かは近づけるでしょうか?
いや近づく努力をしなければプロとは言えないですね。
2008.01.15:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

腕は修羅場の数で決まる

佐野医師は、多い日で5件、年間300件を超える手術を行う。
日本では群を抜く多さという。休めばそれだけ腕が落ち、患者の命にかかわる。

(プロフェッショナル仕事の流儀1より)

テレビでも見ましたが、生後22日の新生児の心臓の直径は3㎝、大動脈の直径はわずか4mm。
生と死が隣り合わせの命の現場。これを本当のプロフェッショナルという感動だったのを覚えています。

今日は成人の日、わが家の娘も成人式でした。
自分の36年前を振り返ると、チョッピリ世間に反抗し肩までのロングヘア、成人式には会社の作業服で出かけました。
男でスーツを着ていないのは自分一人、女性では宮崎交通のバスガイドさんが制服だったのをよく覚えています。
人生劇場の青成瓢吉に感情移入し、「青雲の志」を模索していたのを思い出します。
その後、21歳で会社を辞め、東京に進学するのですが、1年で東京の空気に侵され、パチンコ、麻雀、競馬にドップリ。
おかげでギャンブルは卒業、煙草も長男誕生と同時に止めました。

しかし、青雲の志はどこへやら、卒業後の仕事は3年もたずフリーターに、気がついたら28歳になっていました。
このままでは、ダメになる!コンサルタントの会社に営業で採用してもらい一からやり直しました。
本屋での田辺先生の本との出会いがなければ、今の自分はなかったでしょう。
今年の年賀状に「十年偉大なり、二十年畏るべし、三十年歴史なる」とありました。
三十年続けることは歴史に残るくらい立派なことだという意味でしょうか。
私もこの世界に入って二十九年目を迎えます。
本当の修羅場をくぐったかどうかはわからないし、まだこれからかもしれない。
しかし、プロフェッショナルとして恥じない仕事をしなければと心を新たにしました。

今日の日に、自分の人生を振り返ってみると、親にはずいぶん心配の掛け通しでした。
両親は一言も心配や苦言などいったことがなく、シミジミと大恩を思う。
娘の将来に幸多かれと祈ると同時に、大きな心で見守ってやりたい。

2008.01.14:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

1%の可能性があれば、それにかける

左心低形成症候群。千人~千数百人に一人の割合で生まれてくる先天性の難病である。
その原因は不明で、日本での生存率は三割といわれる。
だが、その数字を八割まで引き上げることのできる、世界でもトップクラスの小児外科医がいる。
佐野俊二。これまでに数々の難手術を成功させてきた。佐野のもとに集まってくるのは、
他では手術が難しいと言われた子どもたちだ。

佐野は心臓外科医として、自らに課していることがある。
「1%か2%の可能性があれば受けますよ。助かる子の手術だけをして、
難しい治療をしないというのは、医療の原則に反している」

(プロフェッショナル仕事の流儀1より)

私もプロの端くれと自認しているが、それだけの覚悟とか、自らに課していることまで考えたことがなかった。
自分ができる範囲のことを、なんとなくこなしてきたように思う。
生き残りの可能性が1%か2%あれば引き受け、再生の手術ができなければプロとはいえないのだ。
2008.01.13:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]