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適性を見極める

心臓外科医になるには、まず外科のトレーニングから始めます。
それを終えて心臓外科に行くわけですが、子どもの心臓を手掛けるのは最後の段階です。
その各段階で、この人は子どもには向かないと判断したら、はっきり本人にいいます。
使うだけ使って、最後にポイッと放り出すのが一番よくないと思うんです。
いたずらに時間延ばしして、方向転換の時期を遅らせるよりは、早く伝えるべきだと考えています。

同じことは、あまりよくない環境に置かれている人にもいえると思います。
環境は自分で克服できるところと、そうでないところがある。
よい環境でよい人に育ててもらえれば、すごく伸びる人も、
教える人に恵まれなければせっかくの才能ややる気が生かされません。

例えば野球やサッカーの世界にも、環境さえ変われば花開く人がきっといるはずです。
環境を変える一番の要素は師匠です。師匠が変われば、才能を見いだして伸ばしてくれるかもしれないし、
モチベーションだって上がるかもしれない。その結果、見違えるような成長を遂げる可能性があるわけです。
By佐野俊二

(プロフェッショナル仕事の流儀1より)

自分は最低でも、伸びる邪魔をしないように心がけていますが、適性の判断は難しいですね。
2008.01.22:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

どうすれば人はついてくるか

どうすれば若い医師が自分についてくるか。一つは「お金」。給料を倍にしてあげると言えば、人はついてくる。
もう一つは「モチベーション」です。お金につられてきた人は、金の切れ目が縁の切れ目になる。
でも、モチベーションでついてきた人は切れない。

では、何がモチベーションになるかというと、例えば難しい手術。
他の病院では手術できないと言われた患者さんが来たときに、チームで自分たちが何とかしたいと考える。
これがモチベーションになります。

チームには役割分担があります。その担当者の技術や経験のレベルが一番低いところ、それがチーム全体のレベルになります。
そこを鍛えて昨日よりは今日とレベルを上げていく。
そして、チームとしてよい結果が出せれば。人は必ずついてきます。
By佐野俊二

(プロフェッショナル仕事の流儀1より)

やはり、プロは結果が必要。結果が出せなければ人は離れていってしまいます。
2008.01.21:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

なぜ記録を残すのか

留学時代、佐野さんは関わった手術の記録をすべて手書きのメモに残したという。

5年間の留学時代にとった記録は、段ボール箱の中に大量に残してあります。
一般的な手術記録は、どういう手術でどういう流れで行ったかということは書いてありますが、
後からそれを見ても手術はできません。テクニカルなことは細部まで書かれていないからです。
それでは若い医師には理解できません。

そこで私は、通常の記録のほかに、自分なりのメモを書きとめていました。
そうすることで細かいノウハウがわかります。
たとえ自分が行った手術でも、同じことをまたしようと思うと覚えていないものです。
だから、手術の後でそれを思い出しながら、自分なりの記録を書くんです。
これを自分で書くか書かないかでは、ものすごい差が出ます。
書いている人は一度の手術で、一人の患者さんから二回も三回も教えられることになる。
それは三度の手術以上の価値があります。

何も考えず、ただ漠然と手術をしたら、100例でも1000例でもいっしょ。
それよりも、例え50例でも一つひとつの手術に集中した方がいい。
こうしてメモに書き出せば、自分がどれだけ集中して、どれだけ理解しているかがはっきりわかります。
しかも、後に残る。このメモが後輩にも役立つし、自分の師匠にもなっています。

これは別に努力ではありません。普通のことなんです。
プロを目指す限りは、これくらいのことをするのは当たり前。
それをしない人はプロにはなれないと思います。
By佐野俊二

(プロフェッショナル仕事の流儀1より)

経営コンサルタントの仕事に「診断」というのがあります。
いわば経営の処方箋を書くのですが、この原稿を書くのが難しいのです。
先輩たちが残してくれた「診断書」に幾度助けてもらったか。
自分はどれだけのものを残したかと考えると忸怩たるものがあります。
2008.01.20:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

気持ちをいかに切り替えるか

心臓手術は、最悪の場合、命を落とす結果になる。
めったにないといっても年に何度かは必ずあるんです。
手術がうまくいったときほど、自分や周りに怒りをぶつけたい気持ちになります。

けれども、起ってしまったことはしかたがない。大切なのはそこからどうやって抜け出すかです。
今目の前にいる死にそうな子をどうやって助けるか、そちらに意識を切り替えないといけない。
過去に起きたことをいくら悔やんでも先には進めないので、そこで終わりにする必要があるんです。

くよくよしてばかりいては進歩がない。その患者さんがどうして亡くなったのかという原因がわかれば、
同じことを繰り返さずに済む可能性があるわけです。
次に同じような患者さんが来たら絶対に助ける、とチーム全体で考えることが重要だと思います。
そうすれば、不幸にして亡くなる人が年間5人から4人へ、4人から3人へと減っていき、最後にはゼロになるかもしれない。
そうなるまでには、勉強することがいくらでもあります。
By佐野俊二

(プロフェッショナル仕事の流儀1より)

人間は同じ過ちを繰り返す。これは性格から来ているという。
これを直すには行動を変えることというが、なかなか難しい。
まず、そうなりたいと強く思うこと、そして原因追究と勉強、これしかない。

2008.01.19:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

集中力をトレーニングする

手術は手でするものではなく、頭でするものなんです。
特に要求されるのは集中力。例えば、今から五分間、身動きせずに一点を見なさいといわれたら、多くの人ができるかもしれません。
でも、それを三十分、一時間となるとなかなかできないと思います。
それを可能にするためには、日々のトレーニングが必要になります。

集中するために、何がコツがあるわけではありません。
私の場合、手術の前はまず患者さんのデータを見て、会議で討議した内容をもう一度自分で思い出します。
そのときに、いろいろなことを考えているとなかなか集中できないので、コーヒーでも飲みながら一人で手術のシミュレーションをしていますね。
そして、手術用の服に着替えたり、眼鏡(拡大鏡)をかけたりするうちに、手術に向けて気持ちが入っていきます。
By佐野俊二


(プロフェッショナル仕事の流儀1より)


集中力をトレーニングするという意識はありませんでしたね。重要な仕事の前に瞑想したり、神棚に向かったりするとことはありますが、長時間集中力を持続するために自分流の訓練が必要なのだと分かりました。

2008.01.18:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]