続けるために必要なのは、満足しないこと。
自分はすごいと思ってしまえば絶対にダメです。
コンクールに出るのもいいのですが、あれはその時さえよければ結果が出るもの。
しかし、お店では、毎日がお客さんとの真っ向勝負ですよね。
毎日毎日つくるお菓子に、自分のすべてを注ぎ込んでいかなければいけない。
ホテルオークラの修業時代、5人いた同期の中でも僕が一番出来が悪かった。
覚えが悪くて、何回やってもうまくできない。
でも、今になって思うんですよ。器用でなくてよかったんじゃないか、と。
不器用で、人一倍の努力をしなければやってこれなかった人間だから、
今、こうしていられるのかなと思うんですね。
By杉野英実
(プロフェッショナル仕事の流儀1より)
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同じなのに、違う?
パリの街でペルティエの店を見て、僕はその前に立ちすくんでしまいました。
なんてきれいなんだろう。
ところが、いざ働いてみると、ペルティエの店のレシピは、その前に修行した店のレシピと全く同じ。
しかし、分量は同じでも、ペルティエは全く違ったお菓子をつくるんです。表現の仕方も違えば、味も違う。
結局、レシピというのは音楽でいうと楽譜だと思うんです。
演奏するピアニストや指揮者の技量や感性によって、表現される音楽は違ってきますね。
お菓子もそれとまったく同じ。例えば技法をほんのわずか変えることでも、味は違ってきます。
By杉野英実
(プロフェッショナル仕事の流儀1より)
なんてきれいなんだろう。
ところが、いざ働いてみると、ペルティエの店のレシピは、その前に修行した店のレシピと全く同じ。
しかし、分量は同じでも、ペルティエは全く違ったお菓子をつくるんです。表現の仕方も違えば、味も違う。
結局、レシピというのは音楽でいうと楽譜だと思うんです。
演奏するピアニストや指揮者の技量や感性によって、表現される音楽は違ってきますね。
お菓子もそれとまったく同じ。例えば技法をほんのわずか変えることでも、味は違ってきます。
By杉野英実
(プロフェッショナル仕事の流儀1より)
なぜ当たり前のことが大切なのか
例えば、イチゴのタルト。ぼくの店では、イチゴをキイチゴの果汁でコーティングしていますが、
仮にそれを15個つくるだけの材料が足りず、12個分くらいしかないとしましょう。
その12個分で15個をつくってしまったら、それだけ完成度が低くなるわけです。
それが分かっていながら、オープンの時間が迫っているからと、そのまま出してしまえば、
お客さんは本当においしいお菓子を食べることができません。
僕はそういうことが許せないんです。
あらゆる職業にいえることだと思うんですが、職人が楽をしようと思うと、ろくな結果にならないんです。
当り前のことをきっちり守っていけば、そのお菓子の本当の味が出せるのに、
作り手が少し気を抜いただけで、本来の味と全く違ったものになってしまいます。
僕だってどうしようと思うことがあります。でも、そこで踏みとどまれるかどうかです。
当り前のことができたら、本当においしいものができるんです。
そして、自分で100点をつけられるお菓子ができた時は、鳥肌が立つくらいに感動するんですね。
その喜びのために、また続ける、という感じです。
By杉野英実
(プロフェッショナル仕事の流儀1より)
仮にそれを15個つくるだけの材料が足りず、12個分くらいしかないとしましょう。
その12個分で15個をつくってしまったら、それだけ完成度が低くなるわけです。
それが分かっていながら、オープンの時間が迫っているからと、そのまま出してしまえば、
お客さんは本当においしいお菓子を食べることができません。
僕はそういうことが許せないんです。
あらゆる職業にいえることだと思うんですが、職人が楽をしようと思うと、ろくな結果にならないんです。
当り前のことをきっちり守っていけば、そのお菓子の本当の味が出せるのに、
作り手が少し気を抜いただけで、本来の味と全く違ったものになってしまいます。
僕だってどうしようと思うことがあります。でも、そこで踏みとどまれるかどうかです。
当り前のことができたら、本当においしいものができるんです。
そして、自分で100点をつけられるお菓子ができた時は、鳥肌が立つくらいに感動するんですね。
その喜びのために、また続ける、という感じです。
By杉野英実
(プロフェッショナル仕事の流儀1より)
あなたはなにができるの?
母親に女手一つで育てられた杉野さん。
母は、食べ物にかけるお金だけは惜しまない人だった。
中学二年生の誕生日、一流ホテルのケーキを買ってくれた。
濃厚なクリームの甘味。華麗なデコレーション。まるで夢の世界からの贈り物のように見えた。
この瞬間、杉野さんは菓子職人になりたいと思った。
高校卒業後、「ホテルオークラ」の菓子製造部門に就職。
一流ホテルで働くのが誇らしく、いつも友人に自慢した。
しかし、ある日、女友達が言った。
「あなたは 何ができるの?」
杉野さんは答えられなかった。見習いの一年間、アイスクリームを錬るだけ。
一人でケーキも作れなかった。
「悔しいんじゃなくて、恥ずかしかったですね。自分をもっと高めていくことをしなければダメだと思いました」
どうすれば自分を高めることができるか。目指したのは菓子の本場、フランスでの修行。
アルバイトでお金を貯め、25歳でフランスに飛んだ。
(プロフェッショナル仕事の流儀1より)
母は、食べ物にかけるお金だけは惜しまない人だった。
中学二年生の誕生日、一流ホテルのケーキを買ってくれた。
濃厚なクリームの甘味。華麗なデコレーション。まるで夢の世界からの贈り物のように見えた。
この瞬間、杉野さんは菓子職人になりたいと思った。
高校卒業後、「ホテルオークラ」の菓子製造部門に就職。
一流ホテルで働くのが誇らしく、いつも友人に自慢した。
しかし、ある日、女友達が言った。
「あなたは 何ができるの?」
杉野さんは答えられなかった。見習いの一年間、アイスクリームを錬るだけ。
一人でケーキも作れなかった。
「悔しいんじゃなくて、恥ずかしかったですね。自分をもっと高めていくことをしなければダメだと思いました」
どうすれば自分を高めることができるか。目指したのは菓子の本場、フランスでの修行。
アルバイトでお金を貯め、25歳でフランスに飛んだ。
(プロフェッショナル仕事の流儀1より)
怒る
ぼくは、かなり大きい声を出して怒るんです。
それは、いい仕事をしたい、お客さんによい状態のものを出したいという一心からです。
お菓子に使う材料はすべて神様から与えられたものであって、
僕たちがちゃんと料理することで、それらはよい状態でお客さんの手元に届くわけです。
でも、自分たちが不注意なことをしたら、それはもう出せない。
陶芸家が、自分の作品が気に入らなくて割ったりしましよね。
あの気持ちがよくわかります。
ほんの少し、数秒違っただけでもベストな状態にはできないんです。
だから、常に気が抜けないんです。
(プロフェッショナル仕事の流儀1より)
毎回、プロのことばに接し、プロの厳しさに打ちのめされます。精神性の違いというか、覚悟の違いですかね。ただそれだけに終われば評論家、実践しなければ価値がありません。
それは、いい仕事をしたい、お客さんによい状態のものを出したいという一心からです。
お菓子に使う材料はすべて神様から与えられたものであって、
僕たちがちゃんと料理することで、それらはよい状態でお客さんの手元に届くわけです。
でも、自分たちが不注意なことをしたら、それはもう出せない。
陶芸家が、自分の作品が気に入らなくて割ったりしましよね。
あの気持ちがよくわかります。
ほんの少し、数秒違っただけでもベストな状態にはできないんです。
だから、常に気が抜けないんです。
(プロフェッショナル仕事の流儀1より)
毎回、プロのことばに接し、プロの厳しさに打ちのめされます。精神性の違いというか、覚悟の違いですかね。ただそれだけに終われば評論家、実践しなければ価値がありません。