人は性格に合った事件にぶつかる

普通、弁護士はイソ弁を3~4年やると独立して事務所を構えるのですが、
私は独立まで12年かかっていますし、2回もクビになっていますから落ちこぼれだったんですね。
一時は本当に田舎に帰って、農業を継ごうと思っていたんです。

それを変えたのが、最初のサラ金事件との出会いです。
ちょうど多重債務者が弁護士会に押し掛けるようになったころです。
当時は多重債務者を引き受ける人が少なかった。それで、田舎出の人の良さそうな私に仕事が回ってきた。

当時の私には事件がほとんどなかった、つまりこれをやるしかなかったのです。
分割で5000円、1万円の報酬でも、全くないよりありがたい。
それに、いざやってみるとすごくやりがいがあった。

その人の命や人生、そういうものを丸ごと引き受けて、こちらが衝立になって生活を改善できる。
最初は見よう見まねでしたが、強硬な取り立てに対して真っ向から対決して解決できたことは、
すごく自信になりましたし、やりがいという面からもだんだんのめり込んでいくことになった。
だから、弁護士というのは、どういう事件にめぐり会えるかが重要なのではないかと思います。
By宇都宮健児

(プロフェッショナル仕事の流儀2より)

評論家の小林秀雄は「人は自分の性格に合った事件にぶつかる」といったが、
宇都宮さんの人生はまさにそれだ。
目の前にあることから逃げずに、前向きに取り組むことが天職になるのだろう。
2008.02.23:反田快舟:[仕事の流儀]

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