その男の菓子は、本場フランスで「ほかのどこにもない菓子」と呼ばれる。
パティシエ・杉野英実。15年前、日本人として初めて、世界の菓子職人の頂点に立った。
杉野が目指す菓子。それは、単においしいだけの菓子ではない。
「人を幸せにする菓子」。
その違いは何から生まれるのか。
この日、杉野が最もこだわったのは、ジャムの隠し味のショウガ。
「切り方が粗い。自分で食べてごらん。これだけの厚さで。 どう感じる?」
素材の微妙な厚みの差で、味のバランスが崩れる。
「ほんのちょっとしたことなんですけど、一番おいしいところがブレてしまうとゼロです」
「当り前のことが一番難しい」
杉野が一番大切にしている言葉である。
(プロフェッショナル仕事の流儀1より)
当り前のことを、当り前にできるようになる。
その、当り前のことがわかっていないことが多い。
この記事へのコメントはこちら