人の命を預かることのプレッシャーは、もちろんあります。
5000回以上の心臓手術をしてきましたが、わずか1ミリの失敗で死に至ることがあるんです。
どれだけ経験を積もうとも、やはり手術は怖い。
だから、気持ちを十分に準備しておく必要があります。
「ビーケアフル(注意しろ)」、「ジェントル(優しく)、ジェントル」と頭の中でつぶやくのです。
うっかりそれを忘れた時には、思い出しながらやります。
プレッシャーに耐える方法を教えることはできません。
自分で克服するしかないんです。ただ、その手伝いはします。
経験の浅いうちからものすごいプレッシャーを与えたら、誰でもダメになってしまう。
だから、プレッシャーは少ずつ、段階的に与えるようにしています。
きちんと段階を踏めば人は育つと思うのですが、
実際には、そのように育ててもらえない人がたくさんいるわけです。
そして、重圧に耐えられず失敗したりして多くの人が辞めてしまったりするんですね。
これだけのプレッシャーがありながら私が心臓外科医を続けているのは、
患者さんから信頼されて、命を任せるといってくれるからです。
それが力になるんです。
By佐野俊二
(プロフェッショナル仕事の流儀1より)
人を育てるのも、潰すのも人。
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