自分に合った仕事をしたい。と多くの人が考えている。それは大きな勘違いだ。仕事というのは社会のニーズである。自分向きの仕事を誰かが用意してくれるわけではない。そんなものはいくら探しても見つかるものではない。
例えば、起業というのは社会にあいている穴を見つけて埋めることではないか。何か足りない、不便だと皆が思っている。それを埋めるから商売になる。穴があったら入りたい。そう考えて、とにかく仕事に就き、体を動かして現場の作業を知ることだ。どの穴も、外側から見て全体がわかるほど単純な形はしていない。入ってみないで頭でばかり考えたって何もわからないのである。そもそも”自分に合った仕事”といっても、その”自分”というのは何なのかがわからない。つまり、自分に合った仕事というのは幻想である。
(ANA社内誌「旅する脳」養老孟司より)
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