「勝者は正しいか?」

アメリカ人は正しいことが好きである。しかし、強力に正しいことをすすめ、「勝者は正しい」と考え始めると、これに対抗していくのは実に大変である。そこには「勝者のはにかみ」などというものは存在しない。敗者の悲哀が重なっても、それを表明するのは負けにつながるので、どんな方法でも相手を倒すという強烈な憎悪しかない。現在、グローバリゼーションを最も主張している国が、このような生き方を中核としていることに注意が必要だ。わが国も色々なところで「競争原理」を持ち込んでいるが、これは日本にとってある程度必要なことであろう。日本式の「相互寄りかかり」の甘い生き方では、国際社会において生き残っていけない。しかし、グローバリゼーションの掛け声にのせられ、無自覚にアメリカの尻馬に乗っていると大変危険な目に遇うだろう。ここに示した困難さと危険性を自覚しつつ、一歩一歩前進していくほか仕方ないのであるが、そのためには、日本の現状をしっかりと把握しておくことが重要である。

(「縦糸横糸」より)
2006.10.29:反田快舟:[仕事の流儀]

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