日本の法人企業は約300万社あります。その内、株式公開企業は東証一部上場1600社、東証二部上場600社、ジャスダック1000社、東証マザーズ100社、大証ヘラクレス100社、合計3400社。その他に地方単独上場企業も含めて約3600社に過ぎません。(全企業数の0.12%)。未上場でも資本金1億円以上のいわゆる商法上の大企業を除いても、99%は中小企業なのです。これ以外に、個人事業主(自営業)があります。
これからは「中小企業の時代」といわれています。大企業は立地最適を求めて、国内外の移転を繰り返すのが歴史です。真に「その地の利益」は考えてはくれません。地域の活性化のためには、どうしても「中小企業」と「自営業者」が活力を持たねばならないのです。
私は、中小企業の「経営協力援助」を使命としております。一人でできることは限られています。しかし、一人から始めなければ何もできません。目の前の一人の経営者と社員のために少しでも力になればと考えて活動しています。
以下は、私たちの先達が残してくれた「経営に対する基本的な考え方」です。日本の将来は中小企業にかかっています。少しでも多くの人が中小企業の本質を知り、中小企業の「経営者」を目指すお手伝いができればと思います。
<中小企業の本質を知ろう>
企業の良し悪しは、資本金や売上げや従業員数の大小ではない。一つの目的に向かつて、全員のカがいかに結集し集約しているかが判定の基準である。カが結集しているから、どのような経済や産業構造の変化にも速やかに対処できる。全員がアンテナとなって時代が求める商品やサービスについての情報活動を行っているから、新分野への進出や新製品開発についても、手の打ちどころが早く、撤収も時機を逃さない。無限の可能性を信じて行動に移す。希望と目標の焔を点じて全社員の力を結集するのだ。みんなの気持ちを一致させるには少人数の中小企業こそ一番条件に恵まれているのである。中小企業の本質を知ろう。そして、それを伸ばしていくのだ。
<経営理念を明確にする>
日本は、人種も言語も同じ、同質的・均質的社会により経済発展してきた。こうした時代の企業の採用基準は、人柄や学歴であった。しかし、今や日本人が持ってい た優れた特性、誠実さ、几帳面さ、勤勉さなどは失われ、親子の意思疎通ができない家庭、フリーターやニートと呼ばれる人も増加の一途をたどっている。日本社会は急速に異質化しているといえる。企業が人を選ぶ社会から、人が企業を選ぶ社会に転換したのだ。今こそ経営理念や目的を明確にし、志を同じくする社員の集団をつくり上げることが重要である。
<経営理念>
“何のために経営するのか” 経営者の心底から発する生き様そのものである。
企業としての目的や使命を明らかにし、働く社員の行動基準を明確にすること。
・利益は社会に貢献するための原資であり、社会的貢献の結果が利益である
・社員は最も信頼しあえる頼もしいパートナーである
<経営方針・戦略>
経営理念に基づいて、経営の基本的方向を確立すること。時代の流れを鋭く洞察し、変化の中から事業機会を見つけ出し、自社の長所、 短所を見極め、長所を生かし、短所を改善し、未来を切り拓く目標とそれを達成するための戦略を明らかにすること。
<経営計画>
設定された目標と戦略に基づき、それを達成するための手段、方策、手順を具体的に策定すること。
<自立した企業とは>
(1) 事業内容そのものが社会的に有用である
(2) 経営理念、経営方針が明確である
(3) 地域社会に貢献している
(4) 元請などに頼らない独自の商品、自主価格決定権をもつ
(5) 経済環境や政策に左右されにくい
(6) 社員を最も信頼できるパートナーとしている
(7) 利益を上げている
<自立した個人とは>
(1) 相手の立場に立てる人
(2) 相手の喜びを自らの喜びとする人
(3) 自ら学び考える人
(4) 能動的・積極的な人
<強調的競争主義>
競争至上主義は多くの敗者を生み、人間としての尊厳を喪失させ、時には生きる権利さえ奪ってしまう。人々の心からは安寧が失われ、絶望は独りよがりや利那的な行動を芽生えさせ社会の連帯は失われていく。競争至上主義ではなく協調的競争主義 の確立が必要である。(赤石義男 人を活かす経営より)
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