血のつながりの存在や、同じイエに属しているということが家族の証であるといえないようになってきた。離婚や再婚などによって血のつながらない親子関係も増加している。
血のつながりがなくても、そして同居していなくても信頼関係でつながっている家族もいる。一方、信頼関係が全くないのに、経済的な理由や社会的な必要性にしばられて家族という形を維持している場合も多い。
昔は、血縁関係のある者の集まりとしての家族が、一つの国のような存在だった。
家族の繁栄と自分の繁栄というものが、ほとんど直結していた。
ところが、時代の変遷とともに、従来は家族がやっていたことが、次第に家族から離れていくようになった。
例えば、昔は歳をとって動けなくなったときに、家族が面倒を見てくれなかったら死ぬしかなかった。しかし、今ではそういうことは国がやってくれるようになってきたし、お金によって請け負う業者もでてきた。
人間は、自分の理性、判断、あるいは意志とか努力などによって、相当なことができるようになってきた。それとともに家族の役割も希薄になってきたといえる。
(父親の力、母親の力「講談社+α新書」より)
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